いい喧嘩のルールが目指すのは、喧嘩が終わったあともあなたがしっかり立っていて、関係も続いていることです。違う2人がひとつの生活をしていれば、こすれ合うのは当たり前です。関係を傷つけるのは、たいてい2つの極端です。ひとつは何でも我慢して、何でも譲って、ある日まとめて爆発すること。もうひとつは、喧嘩になるとすぐ怒鳴る、嫌味を言う、3年前の話まで蒸し返して、終わったら今度は急いでなだめに行き、仲直りを求めること。
下の7つのうち、最初の3つは不満をどう口に出すか、残りの4つは喧嘩の最中と終わったあとにどう収めるかです。これは男女どちらでも同じなので、「相手」と書きます。
喧嘩しても関係が壊れない7つのルール
1. 不満はその日のうちに言う。のみ込まない
相手があなたの友だちの前であなたをネタにした、約束したことをずっと先延ばしにしている、話し方がどんどん雑になっている。最初に起きたときに言います。喧嘩が怖くてのみ込む人は多いですが、そうすると相手はあなたの限界がどこにあるのかまったくわからず、次も同じことをして、だんだんひどくなっていきます。あなたが毎回のみ込んでいると、怒りは消えずにたまっていき、ある日小さなことひとつで、昔の話を5つまとめて持ち出すことになります。
その日のうちに言えば、蒸し返しの問題も一緒に片づきます。どのことも起きたときに話し終えていれば、蒸し返す昔の話がそもそもありません。自分が「それにこの前も……」と言い始めたのに気づいたら、そこで止めます。「その話はまた今度。今日はこの件だけ。」
2. その件だけを話す。人をまるごと攻撃しない
相手が予約すると言っていた宿を、木曜まで忘れていて、もう満室だった。あなたが言えるのは、たとえばこの2つです。
- 「いつもこうだよね。何を任せても失敗する。」
- 「宿が取れなくて、がっかりした。次からは、やると言ったことはやって。」
1つ目は、ひとつの出来事を「あなたという人間に問題がある」に格上げしています。相手の注意はすぐに宿から離れて、自分を弁護するほうに向かいます。2つ目は、出来事とあなたの要求を話していて、相手には答えられるものがあります。不満をはっきりしたひとつの要求にする方法は、カップルの話し合い方にくわしく書いています。
言わないこと:「自分勝手なんだよ」「一度も〜したことないよね」。言いかえ:「これはすごく嫌だった。次からはやめて。」
3. まじめに言う。へらへらしないし、怒鳴らない
笑いながら「次やったら怒るからね」と言っても、相手は本気にしません。怒鳴りながら言えば、相手は声の大きさで張り合ってくるだけです。いちばん効くのは3つ目のやり方です。落ち着いた硬い口調で、相手の目を見て、1回言えば十分です。
相手の気持ちが高ぶって、あなたの耳元でひたすらまくし立ててきても、一緒になって声を大きくする必要はありません。落ち着いて「いったん止めて。少し言葉を減らそう」とひと言言うほうが、どんな理屈よりも効きます。効くのは落ち着きで、音量は役に立ちません。
4. 嫌味を言わない、白い目をむかない、相手を見下さない
鼻で笑う、「はいはい、すごいすごい、あなたがいちばん」、わざと相手の口まねをする、「バカなの?」。どれも同じことを伝えています。あなたを見下している、ということです。相手を下げることで自分が正しく見せようとするのは、根っこでは自信のなさの表れです。カップルの衝突を研究する心理学者のジョン・ゴットマンも、こうした侮辱を、関係をいちばん傷つける話し方のひとつに挙げています。
すごく怒っていいし、とても直接的に言ってもいい。ただ、人ではなく出来事に向けます。「今すごくイライラしてる。この話、もう3回してるよね。」
5. 自分が悪かった部分は短く認める。悪くない部分は、変えないし説明もしない
相手が言います。「昨日また脱いだ服をソファに置きっぱなしにしてたよね。」自分が置いたなら、「うん、置いた。あとで片づける」とひと言で済ませます。何時まで残業していたかの長い説明はいりません。自分が悪かった小さな部分を認めても、何も失いません。
逆に、相手が突いてきたのがあなたの生き方、友だち、好きなことで、あなたに別人になれと言っているなら、変えなくていいし、相手が満足するまで説明する必要もありません。「これが自分。ここは変えない。」相手が最初に好きになったのはそういうあなたです。喧嘩を避けるためにひとつずつ変えていくと、相手のあら探しはどんどん増えていきます。
言わないこと:「じゃあそっちはどうなの?」しないこと:丸く収めるために、本当は変えたくないことを変えると約束すること。
6. 言い終わったら止める。喧嘩を続けないし、なだめにも行かない
言いたいことを言い終えたら、自分のことをします。外を少し歩く、ジムに行く、仕事を片づける。部屋まで追いかけていって相手が非を認めるまで言い合うことも、30分もしないうちに戻ってなだめたり、夜食を買ってきたり、仲直りを求めたりすることもしません。
喧嘩のあと、すぐ元に戻そうとするのが最初の反応になっている人は多いですが、そうすると相手は「喧嘩すればこの人は譲る」と覚えます。相手が本当にあなたを大事に思っているなら、怒りが引けば自分から戻ってきます。戻ってきたらふつうに受けて、蒸し返さず、不機嫌な顔もしません。喧嘩のあとに話さないことと冷戦の違いは、頭を冷やす時間と無視の違いに対照表があります。
7. カッとなって別れると言わない。本当に限界に来たら、落ち着いて言う
どちらがお皿を洗うかで喧嘩している途中に「じゃあ別れれば」と投げつける。これは感情にまかせて相手をおどかそうとしているだけで、自分でも本当に離れるつもりはありません。こういう言葉をくり返していると、相手はもう本気にしなくなります。
心の中に持っておきたいのは、別の種類の自信です。この関係の中で自分はうまくやれているけれど、相手がいなくてもやっていける。本当にあなたの限界に触れたとき、たとえば相手がずっとあなたをおとしめる、ずっと嘘をつく、というときは、怒鳴らず泣かず、落ち着いて言います。「このままなら、続ける意味はない。」1回言って、しかも本気で言います。
その日のうちに言う。「これはすごく嫌だった。次からはやめて。」
3週間のみ込んで、ある日昔の話を5つまとめて持ち出す
落ち着いた硬い口調で、1回言えば十分
へらへらしながら言う、またはどんどん怒鳴る
「これが自分。ここは変えない。」
喧嘩を避けるために、ひとつずつ変えていく
自分のことをして、相手が戻ってきたらふつうに受ける
30分後に夜食を買って戻り、仲直りを求める
相手がひどいことを言ったら、どう言い返す?
喧嘩の途中で、相手が「ほんと役に立たないね」「だから元恋人にも逃げられるんだよ」と投げつけてくる。このときのみ込むのがいちばんまずいです。相手は、こういうことをあなたに言っていいと学びます。
落ち着いたやり方なら、いったん止まって相手を見て、「そのひと言はひどい。受け入れない」と言い、それ以上は喧嘩を続けません。もっとはっきりしたやり方なら、その場で強い口調で言い返して、そのひと言が一線を越えたと相手にわからせ、言い返したらふだんに戻って、ごはんの時間ならごはんにします。どちらのやり方も、怒鳴る必要はなく、こちらもひどい言葉で言い返す必要もありません。
気持ちがいっぱいのとき:まずその場を離れる
喧嘩には、これ以上話すともっと悪くなるだけ、という瞬間があります。心臓がばくばくして、顔が熱くなって、頭の中で次の反撃のせりふをくり返し練習している。このときいちばん役に立つのは、止まることです。「今は喧嘩したくない。少し外を歩いてくる」とひと言言って、本当に外に出ます。部屋にこもって、頭の中で喧嘩を続けないことです。
「喧嘩は次の日に持ち越さない」は半分だけ正しいです。ひとつのことを何日も冷えたままにしないのは正しい。でも夜中の1時に、2人とも目を開けていられないほど疲れているのに、無理に朝まで言い合っても、たいてい傷つける言葉が増えるだけです。「先に寝て、明日話そう」で十分です。
プレッシャーの中でまず自分を落ち着かせてから口を開く練習は、落ち着いた強さのレッスンでできます。相手が先に折れないと自分が立っていられないのは、なぜかえって揺らいでいる状態なのか。無料レッスン落ち着いていれば十分がわかりやすく分解しています。
LINE で喧嘩するときは、ルールがあと2つ
喧嘩の多くは LINE で始まります。文字には口調も表情もないので、「うん」「どっちでも」「へえ」は画面の上では本人の10倍冷たく見えます。
- 3往復しても熱くなる一方なら、電話か会って話すのに切りかえる。「これは文字じゃ伝わらない。夜、会って話そう。」長文は書かないこと。長く書くほど、相手はその中のひと言を拾って反撃しやすくなり、あなたも勝ち負けにこだわっているように見えます。
- スクショをグループに投げない。喧嘩の途中でやりとりを友だちに送って判定してもらうのは、2人の私的なことを大勢に公開するのと同じで、相手が知ればもっと怒るだけです。友だちが見るのはあなたが選んだ数枚だけなので、出てくる意見も役に立ちません。
相手が何度も一線を越えてきたら?
あなたはルールを守っているのに、相手は毎回嫌味を言う、怒鳴る、あなたの痛いところを突いてくる。それなら、喧嘩していないときに、自分のルールを1回伝えます。「喧嘩はいい。でも、おとしめられるのはだめ。またそうするなら、離れるから。」言ったら、そのあと相手が引くかどうかを見ます。健全な関係のサインと照らし合わせると、これが喧嘩のしかたの問題なのか、この人自身の問題なのかを判断する助けになります。
喧嘩のときに手を出す、物を投げる、ドアの前に立ちふさがって行かせない、あなたや相手自身を傷つけると脅す。ここまで来ると、もう喧嘩で扱える範囲を超えています。まず安全を第一にしてください。日本では、DV相談+(0120-279-889、24時間)や DV相談ナビ(#8008)に相談できます。誰かに話を聞いてほしいときは、よりそいホットライン(0120-279-338、24時間)へ。緊急のときは110番です。恋人との付き合い方の記事は、恋愛関係のトピックにまとめています。
セルフチェック:喧嘩のしかたがわかっているか3問
1. 相手が宿の予約を忘れていて、がっかりした。いちばんいいひと言は?
2. 喧嘩の途中で、相手が「ほんと役に立たないね」と言った。どうする?
3. 喧嘩が終わって、相手は部屋で黙って怒っていて、なだめに来るのを待っている。どうする?
よくある質問
よく喧嘩するカップルは、合っていないということ?
そうとは限りません。喧嘩が多いのは、片方がずっとのみ込んで譲り続けているから、あるいは片方がずっと相手のあらを探して別人になれと迫っているから、ということがよくあります。まず、自分が最初のころの自分のままでいるか、毎回自分が先に折れていないかを見てみてください。いつも同じ話に戻ってしまうなら、同じことで何度も喧嘩するに分解があります。
喧嘩のとき、相手がずっと黙っている。どうする?
無理に口を開かせようとしないこと。「話したくなったら言って。先に用事してくる」とひと言言って、本当に用事をします。相手が毎回黙り込んで終わらせるなら、落ち着いているときに1回伝えます。「不満があるなら直接言って。当てっこはしない。」
喧嘩のあと、どちらが先に謝る?
悪いほうが謝り、しかも自分の分だけ謝ります。自分が悪かったなら、1回はっきり認めます。認め方は恋人への謝り方を見てください。悪くないなら、早く仲直りしたいからと謝らないこと。それをすると、相手は喧嘩すればあなたが譲ると思うようになります。
相手が怒って、なだめてもらうのを待っている。なだめるべき?
なだめなくていいです。言うべきことは言ったし、自分の悪い部分も認めた。残りの気持ちは相手のことです。本当にあなたを大事に思っている人は、怒りが引けば自分から戻ってきます。毎回あなたが長々となだめないと機嫌が直らないなら、それはたいてい、これまでなだめてきたことで身についた習慣です。喧嘩のあとにひと言で仕切り直す練習は、喧嘩のあとの収め方のレッスンでできます。