「本当に大事に思ってくれているなら、わかってくれるはず。」カップルの話し合いが行きづまる理由の多くは、このひとことに隠れています。だからほのめかす。「隣のカップル、毎月どこか出かけてるみたいだね。」あるいは愚痴を言う。「あなたっていつもそう。」相手はわからないか、責められていると受け取るかで、二人の話はどんどん遠ざかります。
もっと役に立つやり方はとても簡単で、ただ私たちが慣れていないだけです。ほしいことをそのまま言う。どの出来事か、何がほしいか、自分はどうするつもりか。この3つがはっきりしていれば、相手は答えられます。
なぜほのめかしも愚痴も効かないのか
ほのめかすのは、推測する仕事を相手に押しつけることです。「最近ほんと疲れた」と言いながら、心の中では「皿洗いを分担してくれない?」と思っている。相手に届くのは「じゃあ早く寝なよ」かもしれません。相手が当てられなければ、大事にされていないと感じる。当てられても、運がよかっただけです。さらに困るのは、多くのほのめかしの裏に試験が隠れていることです。「本当に好きなら気づくはず。」相手は自分が試験を受けていることすら知りません。
相手が当てられなければ、大事にされていないと感じる。当てられても、運がよかっただけです。
愚痴は、相手のどこが悪いかを言っていて、自分が何をほしいかを言っていません。「あなたって皿洗いしないよね」が描いているのは相手の落ち度で、相手のいちばん自然な反応は守りに入ることです。「昨日洗ったよ」「そっちだって……」。そのあと二人が言い争うのはどちらがよく洗っているかで、あなたがほしかったことは誰も話さなくなります。
不満を口にすること自体は悪くありません。心理学者ジョン・ゴットマンは2つの言い方をはっきり分けています。ひとつの出来事への不満は、普通のコミュニケーションです。相手という人間への批判(「あなたって自分勝手」「一度も〜したことない」)のほうが、関係をずっと傷つけ続けます。彼とシビル・キャレールは新婚の夫婦124組のケンカを録画し、最初の3分間の口調を見るだけで、6年後に誰が離婚していたかを予測できました。最初のひとことが責める言葉だと、そのあとちゃんと話し合うのはとても難しくなります。
ほのめかしと愚痴には、もっと悪い親戚がいます。無視です。口をきかずに、相手が自分で気づくのを、相手が先に謝るのを待つ。これはコミュニケーションとは呼べず、沈黙で人を罰することで、続けるほど二人とも本当のことを言えなくなります。
ステップ1:まず頭の中で、愚痴を「ほしいこと」に言いかえる
口を開く前に、頭の中で一度言いかえます。愚痴はたいてい「あなた」から始まります。「あなたって〜しない」「いつも〜」「なんで〜」。はっきりした言い方は、出来事と自分のやり方を話します。「この2週間、片づけは全部自分だった」「これから交代」「土曜は展示に行こう」。
- 「皿洗いしないよね」→「家事は平等に分けたい。これから皿洗いは交代にしよう。」
- 「全然誘ってくれないよね」→「今週の土曜の午後、展示に行こう。2時に出発。」
- 「週末ゲームばっかり」→「週末は半日、一緒に出かける時間にしよう。今週はこっちで決める。」
このステップはよく飛ばされます。怒っているときは、相手の悪いところしか目に入らないからです。主語を自分に戻して、「相手のどこが問題か」より「自分は本当は何がほしいか」を聞く。これは練習できる習慣で、無料レッスンの主語を入れかえるで練習しているのがこのことです。
よくある失敗:言いかえてみたら、本当にほしいのは「相手に非を認めさせること」だった。それはほしいことと呼べず、勝ちたいだけです。一度止まって、勝ったあとに本当は何がほしいのかを考えます。
ステップ2:タイミングを選んで、一度にひとつだけ
同じひとことでも、相手が仕事から帰ったばかりでお腹がすいているときと、日曜の午後にコーヒーを飲んでいるときとでは、効き方がまるで違います。
いくつかの原則です。
- その日のうちに言う。ためない。嫌なことがあったら、その日のうちに言います。どうしても怒りすぎてうまく言えないなら、先に「ちょっと頭を冷やして、あとで話す」と言い、その夜に本当に戻ってきて話します。
- 人前で話さない。友だちとの集まりで「うちの人、家で全然家事しないの」と言えば、冗談でも人前で減点していることになります。
- 一度にひとつだけ。家事、返信、週末を一度に全部ぶちまけると、相手は罪状のリストを読み上げられた気分になります。いちばん気になっているひとつを選び、ほかは次にします。
- LINE は日時を決めるのに向いていて、話し合いにはあまり向かない。文字では表情が見えません。「わかった」ひとつでも、引き受けたのか、もう話したくないのか、どちらにも取れます。
よくある失敗:不満をためこんで、ある日一気に爆発させる。何か月分もの帳簿をまとめて清算されると、相手は不意打ちされた気分になり、一緒に問題を解こうという誘いには感じられません。
ステップ3:言い切りで伝える。どの出来事か、何がほしいか、自分のやり方
ここがいちばん大事なところです。いいひとことには3つの部分があります。
- どの出来事か:「この2週間、夕食のあとの片づけは全部自分だった。」
- 何がほしいか:「家事は平等に分けたい。」
- 自分はどうするつもりか:「これから交代。自分が月水金、そっちが火木土。」
言い切りで言います。質問の形にしないし、先に「すごく悔しい、すごく傷ついた」を長々と並べない。私たちの考えはこうです。自分のつらさを広げて見せるほど、相手は先にあなたの気持ちの手当てをしなければと感じて、肝心の出来事は話されなくなります。落ち着いて、真剣にひとつのことを言うほうが、本気だと相手に伝わります。3つめの部分はいちばん省かれやすく、いちばん大事です。これがないと、相手は謝るか守るかしかできません。これがあれば、相手は「いいよ」と言えるし、変えることもできるし、別の案を出すこともできます。
よくある失敗:ひとつの出来事を話しているつもりで、罪名を使う。「あなたって自分勝手」は相手という人を評価しています。「この2週間、片づけは全部自分だった」はひとつの出来事を話しています。
ステップ4:相手に答えてもらう
言い終わったら、そこから先は相手のことです。相手は「いいよ」と言ってもいいし、「皿洗いはほんとに苦手だから、ごみ出しと洗濯を担当するのでもいい?」と言ってもいいし、断ってもいい。あなたにできるのは、はっきりと、相手を尊重して言うことです。相手がどう返すかは相手のことです。どこまでが自分のことで、どこからが相手のことかを分けておけば、毎回の話し合いを自分への裁判のように感じなくてすみます。無料レッスンの課題を分けるに練習がたくさんあります。
やり方が決まったら、いつ振り返るかも決めます。「まず2週間やってみて、再来週の日曜に一緒に見直そう。」話し合いで結論が出たのに結局うまくいかないことが多いのは、話し終わったら誰も覚えていないからです。愚痴を具体的な次の一歩に変えて、一緒に追いかけていく。それが問題を解決する力のレッスンで練習していることです。
よくある失敗:言ったあとに追いかけ続ける。「で、わかったの?」「怒ってる?」。言ったら止めて、そのあとは相手が何をするかを見ます。相手の「いや」を話し合いの失敗だと思わないでください。それはひとつの答えにすぎないこともあって、答えがあるから相談ができます。
はっきりと、相手を尊重した言い方で何度も伝えたのに、相手が答えない、何も変えない。そうなると話し方のスキルの範囲を超えていて、見るべきなのは、この関係の中にあなたの必要の居場所があるかどうかです。照らし合わせられる特徴は健全な恋愛関係の特徴にまとめています。
日常の3つの例:家事、返信、週末
| 場面 | ほのめかし版 | 愚痴版 | はっきり言う版 |
|---|---|---|---|
| 家事 | 「シンク、いっぱいだね。」(ため息) | 「皿洗いしないよね。いつも私ばっかり。」 | 「この2週間、夕食の片づけは全部私だった。これから皿洗いは交代。ほかの家事と替えてもいい。」 |
| 返信 | 「忙しい人もいるよね」と投稿する | 「全然返事くれないけど、何してるの?」 | 言わなくていい。相手の返信が遅くても、いつもどおり自分の毎日を過ごす。本当に急ぎなら電話する |
| 週末 | 「友だちの彼氏、週末はいつもどこか連れていってくれるんだって。」 | 「週末ゲーム以外に何かすることないの?」 | 「今週の土曜の午後、高尾山に行こう。1時に出発。」 |
はっきり言う版に共通しているのは、具体的な出来事がひとつあって、相手がそのまま「いいよ」「いやだ」「じゃあこうしよう」と返せるやり方があることです。言わなくていいこともあります。相手の返信が遅くても、自分の生活が十分に埋まっていれば、たいして問題にならなくなります。
2つめの例の「投稿でほのめかす」には、ひとこと足しておきます。効かないだけでなく、大勢の前で相手を名指しするのと同じです。相手本人が気づかなくても、共通の友だちは気づきます。返信のペースが違うことは、既読スルーされたときでもっとくわしく扱っています。
困っているのが「付き合ってから相手が別人みたいになった」ことなら、付き合ったら変わったを読んでください。付き合ってからの悩みは恋人との関係のトピックページにまとめています。
セルフチェック:愚痴をはっきり言いかえられるか3問
1. 相手に皿洗いを分担してほしい。いちばんいいのは?
2. 怒りで爆発しそうで、今すぐ話したい。よりいいのは?
3. やり方が決まったあと、ほかに何をする?
よくある質問
話そうとすると相手が逃げて、話し合いたがらないときは?
まず、タイミングとやり方の問題ではないかを見ます。相手が「ちょっと話がある」と呼ばれるたび、結局怒られているということはない?小さなこと、気楽な時間から始めて、話し合いがいつも裁判になるわけではないと相手に知ってもらう方法があります。どう言っても相手が話すのを拒むなら、それはしっかり向き合うべきサインです。
何度言っても相手が変わらない。まだ言い続ける?
まず、言っているのが具体的なひとつの出来事か確かめてください。毎回の愚痴になっていないか。もう十分具体的で、やり方も決めたのに相手がやらないなら、10回目を言うより、自分の一線を一度落ち着いて伝えます。「このことはもう何度も言った。このままなら、この先も続けるか考えないといけない。」言ったからには、そのとおりにできる必要があります。
ケンカの最中はどう話せばいい?
ひどく興奮しているときは、たいてい何もうまく話せません。いったん止めて、それぞれ頭を冷やし、その日のうちに戻ってきて話し終えます。戻ってくると約束しておいてください。そのまま立ち去ったり、何日も続く無視に変えたりしないことです。
ついほのめかしてしまうのは、性格に問題があるから?
性格とは関係ありません。子どものころから「ほしいものをそのまま言うのは失礼」と教えられてきた人は多く、ほのめかしは自分を守るやり方なのです。断られても、自分は求めていなかったふりができる。ほしいことをそのまま言うのは練習できます。まずとても小さなことから。たとえば「今日の夕飯はラーメンが食べたい」。