劣等感が強いときは?足りないと感じたら先にやる5つのこと

劣等感が強いときは、「自信を持たなきゃ」と自分を追い込むより、まず自分自身と、条件や過去にけなされた経験を切り分けます。劣等感がどこから来るのかと、毎日できる5つの小さな行動をまとめました。

15 分で読めます更新日 2026-11-02根拠の強さ: 中程度

劣等感をどうにかしたいとき、ネットでいちばんよく見る答えは「自分を信じよう」「毎日自分を肯定しよう」です。間違ってはいないように聞こえますが、多くの人には効かず、逆効果になることさえあります。ウォータールー大学のジョアン・ウッドらはある実験で、参加者に「私は愛される価値のある人間だ」と繰り返し自分に言ってもらいました。すると、もともと自己評価の低い人は、言ったあとのほうが、言わなかった人より気分が悪くなっていました。自己評価の高い人は少しよくなったものの、効果はわずかでした。「自分は大丈夫」と必死に言い聞かせるほど、心の中の「そんなわけない」が大きくなることはよくあります。

ここでは別の方向をすすめます。この気持ちと言い争わず、まず「あなた自身」を、条件や昔見下された経験から切り離す。そのうえで、毎日ごく小さな、確実にできることをして、新しい経験を少しずつためていく。たいていは先に行動して、気持ちがあとからついてきます。逆はめったにありません。

劣等感はどこから来るのか。たいてい今の条件のせいではない

劣等感があるのは、自分が本当に劣っているからだと思っている人は多いです。背が低い、稼ぎが少ない、見た目がよくない。でもいろいろな人と知り合ってみると、条件のよしあしと劣等感をもつかどうかは、思ったほど関係がないことがわかります。IT企業で高い給料をもらっていても、会社の飲み会のたびに浮いている気がする人がいます。収入も見た目も普通なのに、知らない人ばかりの場に入ってもくつろいでいる人もいます。

劣等感をどんどん強くしやすいのは、次の3つです。

  • 人と比べ続けること。同窓会で誰が家を買ったか、インスタで誰がまた海外に行ったか、SNSに流れてくる「30歳で貯金2000万円」の投稿。人は自然と他人を使って自分を測りますし、自分よりうまくいっている人と比べると、たいてい気分が落ちます。昔はこういう比較に出会うのは年に数回でしたが、今はスマホを見るたびに何度も出会います。比べる癖のほどき方は、人と比べてしまうときはで詳しく扱っています。
  • 子どものころに言われた評価。「〇〇ちゃんはどうしていつもあなたよりいい点なの」「あなたの笑い方は変」。小さいころは言い返せないので、信じるしかありません。大人になって、とっくにその環境から離れていても、その言葉は残っていて、反射のようになります。相手が黙ると、まず「何か嫌がられているのでは」と考えてしまう。
  • 一度の大きな失敗。人前で否定された、別れ際に「あなたなんて私に釣り合わない」と言われた。それを「自分はそういう人間だ」という一文にして覚えてしまう。こうした、先に自分に下した結論を思い込みのブレーキと呼びます。

もうひとつ見落とされがちなことがあります。劣等感のある人が、みんなおとなしくて引っ込み思案とは限りません。むしろ自慢が多い、無理に強がる、人をからかう役を取りにいく、話すたびに先に自分を下げる。「自分はつまらないから、期待しないで」。先に自分をけなしておけば、人に先に言われずに済む。自分を守るやり方ですが、そうしているうちに、自分で自分の悪口をずっと聞き続けることになります。

心理学者のアドラーは、早くからこのふたつを分けて考えていました。人より劣っていると感じる「劣等感」はほとんど誰にでもあって、もっと頑張ろうという力になることもあります。でもそれが「自分はこうだから、どうせ無理」になると、人は動けなくなります。この記事で扱うのは後者です。

自分は足りないと感じたら、まずやる5つのこと

先に目標をはっきりさせておきます。劣等感の声はこれからも出てきます。練習するのは、その声が出たときでも、その集まりに行く、会議で「別の考えがあります」と言う、ということです。

用意するのはスマホのメモだけです。これから2週間、毎日5分使います。

1. その一言をつかまえて、誰が言ったのかを調べる

劣等感が出てくるとき、頭にはたいていとても具体的な一言が浮かびます。「こんな顔、誰が相手にするんだ」「自分の話はつまらない」「自分はそういうタイプじゃない」。その一言を一字一句そのまま書き出します。

それから自分に聞きます。この言葉が最初に出てきたのは、誰が言ったとき?どこで?答えはよく、中学の同級生、人と比べるのが好きな親戚、ある元恋人が別れ際に投げつけたひどい一言だったりします。書いたら横に一行足します。「これは、あのとき、あの人の考え」

その一言をつかまえて、誰が言ったか調べる

よくある失敗:書いた直後に、反対のスローガンをかぶせること。「いや、自分は最高だ」。言い返さなくていいので、どこから来たのかを見ておけば十分です。ここまで書いて初めて、ずっと事実だと思っていた一言が、中学のときに同級生が何気なく言ったものだったと気づく人はたくさんいます。子どものころに聞いた言葉がどうやって今までついてくるのかは、無料レッスンの子どものころの評価が、自分のイメージになるまでに場面がもっとあります。

2. 「条件」と「あなた」を2列に分ける

メモに2列作ります。左には条件を書きます。身長、収入、学歴、見た目、車があるかどうか。右には条件に頼らないものを書きます。人にどう接しているか、何を大事にしているか、何をしてきたか。たとえば「友達の引っ越しで、ひとりで3往復荷物を運んだ」「同僚がパクチーを食べられないのを覚えていて、弁当を頼むときにメモを書いた」「ひどい職場だったけど、引き継ぎを終えるまでやめなかった」。

左の列は変わりますし、必ず自分より多く持っている人がいます。右の列は、人があなたと一緒にいるときに実際に感じとれるものです。どんな条件を持っているかと、自分に釣り合うだけの価値があると感じられるかは別の話で、レッスンの条件はそろったのに、釣り合わない気がするで一通り練習できます。

よくある失敗:左の列を必死に長くして、条件でこの気持ちに勝とうとすること。条件をよくするのは悪いことではありません。運動する、身だしなみを整える、仕事をきちんとこなす。どれも自分にとっていいことです。でも計画が「左の列が埋まったら、自分は十分だと思えるはず」なら、その日はたいてい来ません。すぐに自分より条件のいい次の人が現れるからです。条件がよくなっても不安が消えない理由は、自己価値感と自信の違いで詳しく分解しています。

3. 比べる元をひとつ、1週間だけ切る

自分がいちばんだめだと感じるのはどこか、思い出してください。いくつかのインスタのアカウント、同級生のグループ、転職や年収の話ばかりの掲示板かもしれません。ひとつ選んで、1週間ミュートします。フォローを外さなくていいし、宣言もいりません。しばらく見ないだけです。

フェルデュイン、クロスらは一連の研究を行いました。実験室で、投稿もやりとりもせずにFacebookを眺めるだけにするよう指示された人は、積極的に使った人より気分が悪くなっていました。日常生活で追跡した調査でも同じ傾向が見られ、人をうらやむ気持ちと関係していました。ただ、その後40件のアンケート研究をまとめたレビューでは、ほとんどの研究でここまではっきりした関係は見つかっていません。なので確かな結論とまでは言えませんが、1週間ミュートするのにかかるコストはとても小さいので、自分で試してみる価値はあります。空いた数分は、半年前の自分と比べる時間にします。「あのころより、何ができるようになった?」

よくある失敗:下と比べるように切り替えること。自分よりひどい状況の人を探す、あるいは劣等感を感じさせる相手を心の中でけなす。「あの人は運がよかっただけ」。そうして得た安心は長くもたず、誰にでも順位をつける癖がかえって強くなります。自分も含めてです。

4. 毎日ひとつ、いつもの癖と反対の小さな動きをする

劣等感の強い人には、決まった小さな動きがよくあります。ほめられるとすぐ「いやいや」と言う、話す前に自分を下げる、あまり人の目を見られない、意見の前に「たぶん私の勘違いだけど」と付ける。

毎日ひとつ選んで、一度だけ反対のことをします。たとえば、ほめられたら「ありがとう」と言って、それ以上何も足さない。

✗ほめられて、すぐ打ち消す
今日のプレゼンすごくよかったね
いやいや 全然だめだった 後半はぐだぐだだったし

相手は好意でほめてくれたのに、すぐ否定してしまう。次から相手はあまりほめてくれなくなるし、自分もまた一度自分をけなしたことになる。

✓ほめられたら、ありがとうと言って止める
今日のプレゼンすごくよかったね
ありがとう あれ2週間準備したんだ

ありがとうと言って、本当のことをひとつ添えれば十分。謙遜も説明もいらない。

店員さんにありがとうと言うときに、相手の目を見る。会議で意見をひとつ最後まで言う。前に「適当に言うだけですけど」を付けない。

どれもちょっと笑ってしまうくらい小さな動きですが、とても現実的なループに働きかけます。心理学者のスティンソンらは2つの研究で、自分は受け入れられると思っている人は人と接するときに温かく親しげにふるまい、そのぶん周りも受け入れやすくなることを見つけました。拒否されると思っている人はそっけなくふるまい、周りの反応も冷たくなって、もとの考えがまた「証明」されたように感じてしまう。さらに、場面の中で拒否されるリスクを下げてあげると、もともと悲観的だった人も温かくなり、人との関わりの結果もよくなっていました。毎日の小さな動きは、このループを断ち切るためのものです。

よくある失敗:一気に大きく飛ぼうとすること。たとえば、明日好きな人に告白して、もう劣等感はないと「証明」しようと決める。結果が思いどおりでなかったら、劣等感の声はそれを新しい証拠として使います。

5. 「自分はどうせ」を「今回は」に言い換える

うまくいかなかったとき、自分がそれをどう言葉にしているかに気をつけてください。「自分はどうせ話すのが下手だ」は「今回のプレゼンは早口すぎて、後ろの人がついてこられなかった」に。「自分はどうせ誰にも相手にされない」は「今回の誘いは、相手が最近都合が悪いと言っていた」に。

プレゼンが早口すぎた
✓ 今回は(記録)

「今回のプレゼンは早口すぎて、後ろの人がついてこられなかった」

✗ 自分はどうせ(判決)

「自分はどうせ話すのが下手だ」

誘いをやんわり断られた
✓ 今回は(記録)

「今回の誘いは、相手が最近都合が悪いと言っていた」

✗ 自分はどうせ(判決)

「自分はどうせ誰にも相手にされない」

集まりで場がしらけた
✓ 今回は(記録)

「今回は次に何を言うかばかり考えていて、話を聞いていなかった」

✗ 自分はどうせ(判決)

「自分はどうせつまらない人間だ」

「自分はどうせ」は自分に判決を下すようなもので、確かめようも直しようもありません。「今回は」はできごとをひとつ記録するだけなので、見れば次に何を変えればいいかわかりますし、今回はそもそも自分のせいではなかったと気づくこともあります。断られたときは特にこの言い方が必要です。断られてつらいときはに24時間のやり方があり、無料レッスンの1回の「ノー」で自分は否定されないもこれを練習するものです。

よくある失敗:自分に厳しくするほど成長すると思うこと。カリフォルニア大学バークレー校のジュリアナ・ブレインズとセリーナ・チェンは4つの実験を行い、そのひとつでは参加者にまずとても難しいテストで失敗してもらいました。その失敗を思いやりのある見方でとらえるよう促された人は、そのあと勉強の準備にかけた時間が、ほかのグループの人より長くなっていました。自分を責めると、たいてい次の一回から逃げたくなるだけです。

恋愛での劣等感はどんなふうに出るか

好きな人の前では、劣等感の声はたいてい特に大きくなります。相手を気にするほど、相手の反応ひとつひとつが自分への採点のように感じられるからです。よくある形はこんなものです。

  • ときめく相手に出会うと縮こまって、緊張しないけれどあまりときめかない人のところに戻ってしまう。この感覚は好きな人に釣り合わない気がするときはで分けて説明しています。
  • 何にでもいいよと言って、何でも合わせる。自分の意見を言ったら嫌われそうで怖い。これは恋愛で相手に合わせすぎる人のいちばんよくある出発点です。
  • 人からの好意を信じられない。ほめられると「社交辞令かな」とまず考える。誘われると、ほかに誘う人がいなかったのかと疑う。
  • 逆に、自慢やそっけなさで場を持たせて、自信のなさを見抜かれないようにする。

もうひとつ、とても広く持たれている考えがあります。「誰かに好きになってもらえれば、自分も悪くないと思えるはず」。恋愛で劣等感を治そうとすることはすすめません。そうすると、自分がいいかどうかが、その日の相手の態度しだいになります。相手の返信が少し遅れただけで、まるごと崩れてしまう。相手もそのプレッシャーを感じて、最後にはあなたに気をつかいながら付き合うことになります。恋愛で人がよくなることは確かにありますが、それはもともと自分で立っていられることが前提です。

よくなってきているかどうか、どうわかるか

2週間たったら振り返って、次の項目と照らし合わせてください。

  • あの一言が出てきたとき、「ああ、またこれか」と気づける。
  • まだ嫌な気持ちにはなるけれど、立ち直るまでが短くなった。一晩かかっていたのが30分になった。
  • 前なら理由をつけてやらなかったことを、小さくてもひとつやった。
  • ほめられたとき、すぐ打ち消さずに「ありがとう」と言えた。
  • うまくいかなかったことを話すとき、「今回は」を使っている。

このリストに「もう劣等感はまったくない」という項目はありません。その日を待ってから人と知り合ったりデートしたりする必要もありません。緊張しているときでも話しかけられるようになりたいなら、次に自然体の自信のつけ方を読んでみてください。心の持ち方に関するほかの記事は、すべてマインドセットのページにあります。

セルフチェック:劣等感との付き合い方3問

  1. 1. また「自分の話はつまらない」という一言が出てきた。いちばんいいのは?

  2. 2. 同僚に「今日のプレゼンすごくよかったね」と言われた。いちばんいい返事は?

  3. 3. 「誰かに好きになってもらえれば、自分も悪くないと思えるはず」。この考えの何が問題?

よくある質問

劣等感は心の病気ですか?

病気ではありません。人より劣っていると感じるのはとてもよくある感覚で、特にひどい時期が何度かある人も多いです。ただ、長い間自分には何の価値もないと感じている、何にも気力がわかない、眠れない、自分を傷つけたいと思うようになった、という場合は劣等感だけではありません。心療内科の医師やカウンセラーに相談してください。安全がいちばんです。日本ならよりそいホットライン 0120-279-338(24時間)、いのちの電話 0570-783-556 に電話できます。緊急のときは119か110に電話してください。

「どうせ自分は負け組」という考えから抜け出すには?

「どうせ自分は負け組だから」は、先に言ったもの勝ちになっていることがよくあります。自分で先に言っておけば、人に言われたときにそれほど痛くない。問題は、この言葉がすぐに何もしない理由になってしまうことです。抜け出すために、自分を「勝ち組」と呼び直す必要はありません。このラベルで自分をまとめるのをやめて、具体的な「今回は」に言い換え、小さな行動をひとつすれば十分です。

劣等感が強くても恋愛していいですか?

いいです。先に「治して」からでないと資格がない、ということはありません。ただ、自分が十分だと感じさせる役目を相手に負わせないことです。「ときどき自信がなくなる」と相手に話すのはかまいません。でも自分を楽にするのは、やはり自分の練習です。

条件がよくなったのに、まだ自分は足りないと感じるのはなぜですか?

条件がよくなって変わるのは、周りからの注目の度合いで、心の中で自分に釣り合う価値があるかどうかは自動的には変わらないからです。昇進する、やせる、写真をいいものに替える。どれもより多くの人に目を向けてもらえるようになりますが、「自分は釣り合わない」という一言はそれで消えるわけではありません。大事にされるに値すると信じられる感覚を、用語集では自分は受け取っていいという感覚と呼んでいます。条件はこれからもよくしていけばいいし、それが終わるのを待たずに人と知り合いに行ってかまいません。

練習してみる

この記事のポイントをインタラクティブな練習に:場面の選択、サインの読み取り、メッセージ作り。間違えるとヒントが出ます。

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