友人の結婚式の披露宴。同じテーブルの同級生8人のうち、6人はカップルで来ています。式の日取り、家探し、誰が海辺の宿を貸し切ってプロポーズしたか。あなたの担当は笑うことと料理を取り分けることです。帰りの電車でインスタを開くと、元同僚がハワイで記念日を過ごしています。家に着くころには、ずいぶん遅れている気がしています。そんな競争に申し込んだ覚えはないのに。
人と比べてしまうのは、意志が足りないせいであることはまずありません。比較は自動的に起きます。脳は他人の姿を見ると、ついそれで自分を測ります。看板の前を通ると文字を勝手に読んでしまうのと同じです。変えられるのは2つ。あなたの自信が何に支えられているか、そして毎日どれだけ比べる材料を自分に流し込んでいるか。この2つが変わると、比べる考えは出てきても、あなたの行動を決めなくなります。
なぜ人と比べるのをやめられないのか
アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーは1954年に社会的比較理論を発表しました。中身はシンプルで、客観的な基準がないことについて、人は他人をものさしにする、というものです。ランニングにはストップウォッチがあります。でも「自分の恋愛のペースは普通か」「自分には魅力があるか」にはストップウォッチがありません。だから脳はいちばん近くにあるものさしをつかみます。さっき見たインスタ、同じテーブルの同級生、相手の元恋人。
恋愛にはほとんど客観的な基準がないので、特に比較に振り回されやすい分野です。30歳までに何人と付き合うのが普通か、付き合って何か月で親に会わせるのか、誰も教えてくれません。だから友だちを見て、ネットの相談掲示板を見て、他人ののろけ投稿を見ることになります。
しかも、比べる相手はたいてい自分より上の人です。上と比べること自体は悪くありません。差が追いつけそうに見えるときは「彼女は泳げる。私も習いたい」と、やる気に変わります。差が「あなたという人間が劣っている」と言っているように見えるとき、残るのはつらさだけです。
順位でできた自信は、自分より上の人に会うと崩れる
多くの人の自信は、実はランキング表です。用語集ではこれを順位で決まる自信と呼んでいます。その場のほとんどの人より背が高い、同級生より年収がいい、車が彼より新しい。ふだんランキングの上のほうにいると、気持ちは安定しています。
困るのは、ランキングには必ず自分より上の人がいることです。たとえば、ある人と2か月デートしていて、うまくいっているとします。ある夜、相手の元恋人のインスタにたどり着く。外資系で働いていて、週末はサーフィン、友だちの結婚式で2人が楽しそうに笑っている写真もある。その90秒のあいだ、2人の関係は何も変わっていません。なのにあなたの自信は底まで落ちます。もともと順位の上に建っていて、今ちょうど1回負けたからです。
この種の自信は、デートのときに2つの形で出ます。どちらも相手にはわかります。
- 縮こまる。話題が仕事や旅行、自分が負けそうなことに移ると黙ってしまう。比べる前から、自分は2位だと決めています。
- 張り合う。年収、行った国、昇進の話を早すぎるタイミングで何度も出す。相手が何か話すと、もっとすごい話をかぶせる。
どちらでも、相手はあなたを知ることができません。見えるのは、ずっとスコアボードをちらちら見ている姿だけです。
続きを聞く。「いちばんよかった日は?」
黙る。あるいはすぐ、もっと遠い国に行った話をする。
「おめでとう。今はどんな仕事が中心なの?」
さりげなく自分の年収や肩書きを出す。
閉じて、今週2人でやることに戻る。
1枚ずつ見て、自分と比べる。
この種の自信がどうやってできて、なぜ自分より上の人に会うと崩れるのかは、無料レッスン順位で決まる自信で、さらにいろいろな場面を練習できます。
多くの人は上に登ることで解決しようとします。もっといい仕事、もっといい体、もっといい写真。どれも生活をよくするかもしれません。でも順位の問題は解決しません。いつでも次の段があるからです。条件がよくなっても、大切に扱われていい人間だと自然に思えるようにはなりません。それは別の話で、用語集では価値と価値を感じる力と呼んでいます。このずれは条件はよくなったのに、まだ釣り合わない気がするのレッスンでしっかり練習できます。条件、自信、自己価値感の3つの違いは自己価値感とはで読めます。
比べ癖は恋愛にどう影響するか
比較はつらいだけでは終わりません。気づかないうちに、あなたの選択を書き換えます。
観客のために相手を選ぶようになる。頭の中の問いが「連れて歩いて見栄えがいいか」「友だちにどう思われるか」に変わります。すると、人に羨ましがられそうな相手に近づき、一緒にいて本当に楽な人を見逃しやすくなります。
自分の関係が、他人のハイライトに負け始める。火曜の夜9時半にソファで寝落ちしている恋人の姿を、他人の記念日ディナーと比べる。うまくいっていた関係が、急に何か足りないように見えます。違いは、他人のその瞬間が写真に撮られてネットに上がっていたことだけです。
焦るか、あきらめる。周りが同棲し、婚約し、子どもが生まれる。それで急いで、目の前の人と慌ただしく決めてしまう人がいます。もう遅れすぎたからと、試すのをやめる人もいます。どちらも、自分のものではないスケジュールに反応しています。
友だちののろけを見てつらくなり、そんな自分を心が狭いと感じる。これはよくあることです。次の章で詳しく扱います。
羨ましいのは悪いこと?比較の中には情報もある
ネットでいちばんよく見る慰めは「インスタは全部うそ。みんな裏ではボロボロ」というものです。これは半分しか合っていないし、あまり役に立ちません。のろけの多くは本物で、その人たちは実際にうまくやっています。ただ、他人の幸せが本物でも、それはあなたの生活についてほとんど何も教えてくれません。
比較がすべて悪いわけでもありません。簡単な見分け方があります。その考えは、動きたくなるものか、隠れたくなるものか。
| 考え | 何をしているか | 残す?手放す? |
|---|---|---|
| 「あの2人はケンカしてもちゃんと話し合う。私もそういう関係がほしい」 | 自分が欲しいものを指している | 残す。これは情報 |
| 「よその彼氏は旅行を計画してくれるのに、うちのは絶対しない」 | 恋人を競争に引きずり込んでいる | 手放す。恋人と直接話す |
| 「みんな相手がいる。きっと私に何か問題がある」 | スケジュールを判決に変えている | 手放す |
| 「彼女はよく知らない人とも自然に話せる。私もそれを練習したい」 | 練習できる力を指している | 残す |
| 「少なくとも自分はあいつよりうまくやってる」 | 1分だけ気が楽になる | 手放す。ランキングを逆から見ているだけ |
最後の例を見落とす人は多いです。下と比べて、自分よりつらそうな人を探して安心する。その安心は短く、人を順位で見る癖、自分を順位で見る癖を強めます。
友だちの恋愛が羨ましいとき、その裏にはたいてい具体的な望みがあります。仕事のあとに話せる人がほしい、マッチングアプリをもうやめたい、週末に一緒にお祭りや屋台を回る人がほしい。それを言葉にしてみてください。「カナが羨ましい」は気持ちの一つにすぎません。「年末に一緒に実家へ帰ってくれる人がほしい」は、向かう方向になります。
毎日1文:主語を自分に戻す
比べる考えは、ほとんどが他人が主語です。「あの子はもう結婚する」「よその恋人はあの子にすごく優しい」「同い年の人はもう……」。練習は簡単です。毎日1つ、こういう文をつかまえて、主語を自分に変え、順位がなくても答えられる問いを立てます。
| 比べる文 | 自分を主語にすると | 小さな行動 |
|---|---|---|
| 「あの子はもう結婚するのに、私はまだマッチングアプリ」 | 「これから半年、自分は何がほしい?」 | あの子と関係のない答えを1つ書く |
| 「よその恋人は毎日ごはんを作ってくれる」 | 「この関係に、もう少し何がほしい?」 | 今週、恋人に具体的なことを1つ伝える |
| 「彼の生活は自分よりずっと充実している」 | 「今週、誰も見ていなくてもやりたかったことは?」 | もう1回やる |
| 「会社の飲み会でみんな恋人の話をしている」 | 「このテーブルで、本当はもう少し話したいのは誰?」 | その人と話しに行く |
スマホのメモに、元の文、言い換え、行動を書きます。1日1回、2週間。ゆっくりした練習ですが、ゆっくりでかまいません。問いを「自分は何位か」から「自分は何がほしいか」に動かしていて、この動きは繰り返すしかないからです。
数日続けると、その文が出てくる時間に決まりがあることに気づきます。たいていは深夜、一日中疲れていたとき、あるアプリを開いた直後です。
15分のSNS整理:アプリを消さずに材料を入れ替える
SNSをやめる必要はありません。ただ、朝ごはんの前に100回も上との比較を流し込まれるのは止めましょう。15分でこれをやります。
- いつもどおり10分スクロールする。1つのアカウントを見終わるたびに、心の中で点をつけます。気になって何かやりたくなったら「+」。何も感じなければ「0」。見たあと遅れていると感じたら「-」。
- 「-」のうち、本当の付き合いがない相手はミュートする。インフルエンサーのカップル、中学卒業以来話していない同級生、見ると夕ごはんを食べたくなくなる筋トレアカウント。ミュートは相手に通知されず、いつでも解除できます。
- 仲のいい友だちが「-」なら、連絡の仕方を変える。親友のプロポーズ写真をミュートする必要はありません。直接 LINE を送ればいいだけです。大事な人と実際に話すと、その人のハイライトを眺めるのとはずいぶん違う気持ちになるのが普通です。
- なぜこのアプリを開いたのか、自分に聞く。正直に言って、退屈、さみしさ、何かからの逃避なら、そちらのほうが大きな問題です。
- マッチングアプリにも同じことをする。深夜1時に開くのが誰に「いいね」されたかを見るためだけなら、アプリをスコアボードとして使っています。
フィリップ・ヴェルデュインとミシガン大学のイーサン・クロスらは2015年に一連の研究を行いました。交流せずに眺めるだけの受け身の使い方をすると羨ましさが増え、気分も悪くなる、という結果です。同じグループの2020年のレビューでも、受け身の使い方は特に比較を引き起こしやすく、SNS上の比較はたいてい悪い影響をもたらすとまとめています。効果の大きさは研究によってばらつきがありますが、この整理は15分で済みます。自分で試してみてください。
比較の多くは、実は手順4から始まっています。深夜のスクロールは少し新鮮さをくれて、すぐに次の1回が欲しくなり、最後には開く前より空っぽになります。このループは外からの刺激のランニングマシンのレッスンで詳しく分解していて、代わりの習慣も練習できます。マッチングアプリそのものに疲れているなら、マッチングアプリ疲れのときどうする?を読んでみてください。
比較がもう「どうせ自分は足りない」という一言になっているなら、劣等感が強いときどうする?から始めるといいです。恋愛の心の持ち方についての記事はマインドセットのトピックページにまとめています。
セルフチェック:比較を見分けられるか3問
1. 「彼女はよく知らない人とも自然に話せる。私もそれを練習したい」。この比較はどう扱う?
2. 相手と2か月デートしている。深夜に相手の元恋人のインスタを見て、どんどん不安になる。次の一手は?
3. 毎日の主語の練習では、文をどう言い換える?
よくある質問
相手の元恋人のインスタを、どうしても見に行ってしまうのはなぜ?
元恋人はいちばん近くにあるものさしだからです。相手がかつて選んだ人が、今あなたのいる位置に立っていた。あなたが比べているのはほとんどが数枚の写真で、2人のあいだで今起きていることのほうが本物の関係です。まず検索をやめましょう。アカウントを1つ見るたびに、順位をつける材料が1つ増えます。どうしても気になるなら、軽く1回聞くだけにして、問い詰めないようにします。
友だちののろけを見てつらいのは、心が狭いから?
違います。とてもよくあることです。その羨ましさを「自分は何がほしいか」の手がかりにして、友だちの生活にはいつもどおり顔を出しましょう。つらいからと友だちから離れると、たいていさみしさが増すだけです。
インスタを消せば、もう比べなくなる?
材料がかなり減るので、効果はあります。でも比較は別のものさしを自分で見つけます。同級生のグループ LINE、会社、披露宴のあのテーブル。長く続くのは、自分に投げかける問いを入れ替えるやり方です。だから毎日の主語の練習のほうが、アプリを消すより効きます。
付き合ってからも、自分たちの関係を他人と比べてしまう。どうすればいい?
2人の関係を、その関係自身と比べてください。3か月前よりよくなったか、悪くなったか。2人が必要としているものはちゃんと満たされているか。本当に何か足りないなら、比べる言い方より具体的なお願いのほうが伝わります。「今年は1回旅行の予定を立てよう。海に行きたい」。「カナの彼氏は海外に連れて行ってくれるのに」と言うより、ずっと話が進みます。