日曜の夜中12時半、親指はまだ左、左、右とスワイプしています。今日は3人とマッチして、3人に「こんにちは、週末何してました?」と送り、返ってきたのは「家でごろごろしてた笑」ひとつだけ。アプリを閉じて、10分後にまた開く。スワイプするほど疲れるのに、やめられない。この感じがマッチングアプリ疲れです。
先にはっきりさせておきます。マッチングアプリ疲れは、あなたの理想が高すぎるという意味でも、魅力がないという意味でもありません。たいてい使い方に問題があります。たくさんの人に力を使っているのに、会うところまで進むやりとりがほとんどない。これは直しやすいことです。先に別人になる必要はなく、使い方を変えるだけです。
マッチングアプリ疲れはどんな形をしている?
次のうち2つ3つ当てはまるのは、よくあることです。
- スワイプが反射になっている。電車を待つとき、エレベーターを待つとき、寝る前に横になっているとき、指が勝手にアプリを開く。
- やりとりがコピペのよう。「お仕事は何を?」「休日は何してます?」同じ質問を20回して、自分でも聞き飽きている。
- マッチしてもうれしいのは一瞬。すぐに「また最初から話すのか」という疲れが来る。
- 返事が来ても返すのが面倒。誘われても行かない理由を探したくなる。
- 気分がマッチ数と一緒に上下する。今日あまり右スワイプされなかったら、自分という人全体がだめな気がする。マッチ数で自分を採点してはいけない理由は、マッチングアプリでマッチしないで別に書いています。
最後のひとつが特に当てはまるなら、このあとのアプリを消す段落をしっかり読んでください。
なぜスワイプするほどむなしくなる?ランニングマシンの上にいる
マッチングアプリのスワイプは、ガチャを引くのに似ています。ほとんどは外れで、たまに胸がどきっとするマッチが出る。当たりがいつ出るかわからないと、人は特に引き続けやすくなる。これは学習の心理学でかなり前から知られていることです。
当たったときのうれしさも、すぐに消えます。心理学ではこれを快楽順応と呼びます。新しく手に入れたものはすぐに基準になって、次はもっと多くないと何も感じなくなる。だからマッチが多いほど、ひとつひとつのマッチの価値は下がっていきます。
あまり知られていないこともあります。オランダのティルブルフ大学のティラ・プロンクとヤープ・デニッセンは2019年にオンラインデーティングの一連の実験を行い、同じ回の中で見るプロフィールが多くなるほど、参加者は次の人をそのまま断る傾向が強くなることを見つけました。二人はこれを「拒否モード」と呼んでいます。つまりスワイプが長くなるほど、一人の人をちゃんと見るのが難しくなります。
この3つが合わさると、ランニングマシンになります。ずっと走っているのに、位置は前に進まない。多くの人がアプリを開くタイミングにも、それがよく出ています。遅くまで残業したあと、週末に予定がないとき、上司に注意された直後。そのとき欲しいのは、実は「誰かに悪くないと思われること」で、特定の誰かと知り合いたいところまではいっていません。アプリはその感覚を少しはくれますが、全部はくれません。あなたが何で心の空白を埋めているのか、何に置きかえられるのかは、無料レッスンの外からの刺激のランニングマシンに、そのままやれる練習があります。
浅いやりとり10件の、本当のコストは?
時間を計算してみます。10人と同時にやりとりして、一人と1日5、6往復、1通ごとに1、2分考えると、1日で1時間を超えます。1週間なら8、9時間で、1日分の勤務時間より長くなります。
時間はいちばん高いコストではありません。
- 誰が誰だかわからなくなる。同じ質問を2回する、Aさんの猫をBさんの犬だと思って話す。相手はすぐに、自分はリストの1行にすぎないと感じとります。
- どのやりとりも表面で止まる。力を10等分しているので、どれも深くならず、自然に会うところまで進むものもありません。
- フェードアウトされる回数が10倍になる。10件のうちいくつかは必ず黙って終わり、そのたびに気分が削られます。
- 人は取りかえがきくと思いはじめる。どうせ次がいるから。この癖はデートにもついてきて、向かいに座っている人はそれを感じとります。
浅いやりとり10件では、会う約束はほとんど生まれません。盛り上がっている2、3人を選んでそのまま誘うと、たいていうまくいきます。知り合う人の数はもう足りていて、引っかかっているのは、どのやりとりも会うところまで進んでいないことです。
自分から連絡してくる、質問を返してくる数人を、早めに誘う。
10件を同時に進めて、Aさんの猫をBさんの犬だと思って話し、どれもその場から動かない。
火曜と日曜の夜に20分ずつ。時間が来たら閉じる。
エレベーター待ち、寝る前、上司に注意された直後に、指が勝手に開く。
相手が乗ってきているなら、一度具体的に誘う。
2週間話しても、予定がひとつもない。
よくある誤解2つ:「もっとスワイプすれば」と「休むのはあきらめること」
誤解1:もっとスワイプすれば、いつか出会える。引っかかっているのが一度も誘えていないことなら、数を増やしても問題が大きくなるだけです。簡単な式で確かめられます。進み具合はだいたい、行動×時間×効き目です。たくさんスワイプしているので、行動は少なくない。長く使っているので、時間もある。でも毎回同じ最初の一言、同じ質問のセットで、話が途切れても理由を考えたことがないなら、「効き目」はほぼゼロで、かけ算してもゼロのままです。この式で自分を確かめる方法は、レッスンの行動、時間、効き目にあります。
誤解2:休むのはあきらめること。2週間アプリを閉じても、運命の人を逃すことはありません。スワイプしすぎて感覚がまひした状態でデートに行くほうが、かえって逃しやすくなります。向かいの人をちゃんと見る力が残っていないからです。
4つの見直し:マッチングアプリを道具の位置に戻す
- 力は盛り上がっている数人に。何人かと同時に知り合うのはいいことです。選択肢があれば、一人から返事がないだけで慌てずに済みます。ただ、力の配分には強弱をつけてください。質問を返してくる、自分の生活の細かいことを話す、自分から連絡してくる人は、早めに誘う。何を送っても「うん」「へえ」しか返ってこない人とは、もう粘らないで、自然に薄れていくのにまかせます。
- 時間を決めて、それ以外は通知を切る。たとえば火曜と日曜の夜に20分ずつ、時間が来たら閉じる。アプリをホーム画面から最後のページのフォルダに移して、指が見つけられないようにします。
- どのやりとりも、一回会うほうへ進める。お互いまともな人だとわかって、相手がちゃんと返してくるなら、具体的に誘ってください。長く話す必要はありません。10日話してもまだ誘えないなら、たいてい話し方に問題があるので、一度はっきり聞くか、手放します。浅いやりとり10件より、毎週少なくとも1回本当に誘うほうが役に立ちます。どこまで話したら誘っていいかは、マッチングアプリで会うまでの期間は?にセルフチェックがあります。誘ったあと、または話が途切れたあとは、3つの問いでふり返ります。自分は実際に何をしたか。相手は実際にどう反応したか。次はどこを1点だけ変えるか。これがふり返りの3つの問いで、くり返しを練習に変えてくれます。
- 2週間のチェックポイントを決める。2週間後に自分に2つ聞きます。スワイプしたあとの気分は、する前よりよくなったか、悪くなったか。会うところまで進んだやりとりはひとつでもあったか。2つとも答えがNOなら、いったん止まるサインです。
マッチングアプリを消すべきなのはいつ?
次のようなことが起きていたら、少なくともしばらくは消すことをおすすめします。
- 何週間も続けて、スワイプしたあとの気分がする前より悪い。
- 会議中、食事中、友達と話しているときも、ずっと開きたくなる。
- 自分をどう見るかが、マッチ数と結びついている。
- 人に対して我慢がきかなくなって、返すのが面倒というだけで何人も既読スルーしている。
- もともと好きだったことを押しのけている。運動、睡眠、読書、友達と会うこと。
消すにも、いい消し方があります。今やりとりしていて話が弾んでいる1、2人は、消す前に誘うか、LINEを聞いておきます。ほかの人には特に説明しなくていいです。どれくらい休むかは、先に決めなくてかまいません。1、2か月休んでから戻ってくると、自分が何を求めているかがよくわかる人が多いです。いちばん大事なのは、スワイプしていた時間を、出かける用事に置きかえることです。教室、サークル、友達の集まり、あるいは道で気になる人がいたら話しかける。サークルで少しずつ人と仲良くなる方法は、趣味や習い事でどう出会う?を読んでください。アプリと自然な出会いがそれぞれどんな人に向いているかは、マッチングアプリと自然な出会い、どっちがいい?でひととおり比べています。
言い切る形で、やりとりをLINEに移して、ついでに会う約束も決めている。
アプリを消すのは、この道具が今は自分を望むものから遠ざけていると気づいたから、いったん置くということで、負けを認めることとは関係ありません。マッチングアプリやメッセージのほかの悩みは、LINEと誘い方のトピックページから探せます。
セルフチェック:ランニングマシンに乗っていない?3問
1. 同時に10人とやりとりしているのに、会うところまで進んだものがひとつもない。いちばん効く見直しは?
2. アプリを消すサインにいちばん近いのは?
3. アプリを消したいけど、一人すごく話の合う人がいる。どうする?
よくある質問
マッチングアプリ疲れは普通のこと?
とても普通です。特に何か月も使っていて、同時にたくさんの人とやりとりしているときは。これは使い方を見直すようにという合図のようなもので、あなたという人に問題があるわけではありません。やりとりする人数を減らす、時間を決めて使う、から始めて、2週間後に感じ方が変わったかを見てください。
マッチングアプリに依存することはある?
「マッチングアプリ依存」は正式な医学的診断ではありません。ただ、スワイプ、マッチ、通知という仕組みは、たしかにやめにくくできています。すでに睡眠や仕事に響いている、何度やめようとしてもやめられない、というなら、真剣に向き合うべきこととして扱い、信頼できる人や、公認心理師などの資格をもつカウンセラーに相談してください。
どれくらい休むのがいい?
決まった答えはありません。2週間あれば自分の状態を見直せるし、1、2か月あれば戻ってきたときに使い方を変えられます。日数より大事なのは、戻ってきたときにどう使うつもりかです。
アプリを消したら、運命の人を逃さない?
あるマッチを逃すことはあるかもしれません。でも同時に、ほかのたくさんのものを逃さずに済みます。睡眠、友達、本当なら行っていたはずの集まり。合う人はたいてい、あなたがちゃんと話して、ちゃんと会う力があるときに現れます。1時間多くスワイプしても出てきません。