水曜の夜9時、英会話教室が終わったところです。斜め前の席の人がノートをしまい、軽く会釈して駅のほうへ歩いていきます。帰り道は同じ方向で、あなたは10メートルほど後ろを歩きながら、頭の中ではもう3周しています。追いついて何か話す?何を言う?追いかけてるみたいに見えない?軽い女だと思われない?彼が改札を通るころになっても、まだ最初の一言を考えています。
答えははっきりしています。女性から誘っても、軽く見られることはありません。「女から積極的なのは軽い」という言い方は、同じことを男性がやれば誠実、勇気があると言われ、女性がやれば追いかけている、安っぽいと言われる、というものです。これはただのダブルスタンダードで、事実の裏づけはありません。もし先に声をかけたことであなたを軽く見る人がいたら、その人のことが早めにわかってよかった、というだけの話です。
先に動くときに気を配ることは別にあります。相手がOKしやすく、断りやすくもすること。ノーと言われたら止まること。このルールは、誰が先に声をかけても同じです。
記事では相手を「彼」と書いています。先に声をかけたいのに誤解が怖い、という悩みがいちばん多いのが、男性を好きになった女性だからです。相手がどんな性別でも、やり方は同じです。
なぜ「積極的すぎると軽く見られる」がこんなに怖いのか
小さいころから多くの人が聞かされてきたのは、こんな話です。女の子は控えめに、追いかける女は大事にされない、男に追わせてこそ価値がある。これを長く聞いていると、自動の警報になります。自分から動こうと思った瞬間、頭の中で「人にどう思われるか」が先に鳴る。評価する権利を他人に渡してしまうこの癖については、人の目を気にしすぎるときどうする?に自己チェックがあります。
この警報は、2つのところで計算を間違えています。
1つ目は、習慣を生まれつきの性質だと思っていることです。誰が先に声をかけるべきかは、かなりの部分が社会の習慣です。アメリカのノースウェスタン大学のイーライ・フィンケルとポール・イーストウィックは2009年、スピードデーティングのイベントで実験をしました。普通の回は男性が席を移動し、女性は座ったままで、男性のほうが相手をあまり選ばない傾向がありました。ところが女性が立って男性のところへ行く形に変えると、この差は消えました。立って相手のところへ行く側のほうが自信を持ち、OKを出しやすくなったのです。男女どちらでもそうでした。
2つ目は、相手からの悪い評価を大きく見積もりすぎていることです。心理学には「好意のギャップ」と呼ばれる発見があります。エリカ・ブースビーらは2018年、初対面の二人が話したあと、どちらも相手がその会話をどれだけ楽しんだかを低く見積もっていることを見つけました。あなたが帰り道ずっと「しゃべりすぎたかな」と心配しているあいだ、彼はたぶん「話しやすい人だったな」と思っています。
リスクは一つだけ、断られることです。このリスクは男性から動くときにもまったく同じだけあります。断られたというのは、このタイミングでこの二人が合わなかったということで、あなたという人がだめだという意味はありません。無料レッスン1回のノーで自分は否定されないで、この2つを分けて考える練習ができます。
場面1:決まった場所で顔を合わせるだけで、まだあまり親しくない
冒頭のようなケースです。英会話教室、読書会、週末のビーチクリーンのボランティア。顔は知っているけれど、ちゃんと話したことはない。
声のかけ方:その場にあることを一つ使って短く話しかけ、彼が乗ってくるかを見ます。
「さっきの仮定法、答えるの速かったね。私いつもあそこで詰まる。前に勉強してたの?」
この一言にはいいところが3つあります。二人に共通の場所の話であること、彼が返しやすいこと、返ってきても来なくても気まずくないこと。彼が立ち止まって、こちらを向いて、自分から少し多めに話してくれたら、来週も続きを話せます。2〜3回話したら、自然に「LINE交換しよう。宿題の答え合わせできるし」と言えば、断りやすい小さな誘いになります。彼が「大丈夫」と言ったら、「わかった」と返して終わりです。
続けていいかの見分け方:彼が聞き返してくる、話を広げる、次に会ったとき自分からあいさつしてくる。「まあね」とだけ返してイヤホンをつけ直したら、今日は都合が悪いということです。笑って終わりにすれば十分です。
やめておくこと:住んでいる場所、彼女がいるか、仕事は何か、と私的なことを一度にたくさん聞く。彼が急いで改札に向かっていて、明らかに帰りたそうなときに無理に話し続ける。
場面2:もうやりとりしているのに、ずっと「友だち」のまま
たとえば、会社の飲み会で隣になってから LINE を交換し、この2週間ほぼ毎日やりとりしていて、夜中まで続くこともある。でもどちらも二人で会おうとは言っていない。このときに怖いのは別の誤解です。誘ったら友だちになりたいだけだと思われる、あるいははっきり言ったら今の心地よさが壊れる。
声のかけ方:はっきりした誘い方で、二人のデートだと伝えます。
「二人で」の3文字が大事です。意味がはっきりしていて、彼は推測しなくて済みます。
文に「興味なかったら遠慮なく言ってね」をつける必要はありません。逃げ道は行動で示します。彼がだめと言ったら「わかった」と返し、翌日もいつもどおりやりとりする。そうすれば彼は、あなたを断っても何の代償もないとわかります。用語集ではこれを断りやすさと呼んでいます。
脈ありかどうかの見分け方:すぐにOKする、あるいは「土曜はだめだけど日曜はどう?」と自分から日にちを出す。どちらもいい知らせです。「最近ちょっと忙しくて、また考える」と言って日にちを何も出さないなら、ひとまずそれを答えとして受け取ります。
やめておくこと:「みんなで行こう」と包んで、彼が二人で誘ってくるかを見る。ほのめかし続けて、彼が拾ってくれるのを待つ。
彼が乗ってこなかった理由が、興味がないからなのか、意味が通じなかったからなのか、ずっとわかりません。
場面3:はっきり「好き」と言いたい
もう二人で何度か会っていて、自分の気持ちには確信がある。これ以上推測を続けたくない。
伝え方:まず自分の気持ちを言い、その場での答えは求めません。
「好きです。友だちとしてじゃなくて。今すぐ答えなくていいよ」
言ったあとは話題を変えてかまいません。彼がすぐに何か返すのを待つ必要はありません。逃げ道はここでも行動で示します。彼がノーと言ったら、「わかった、はっきり言ってくれてありがとう」と返し、声のトーンを変えない。彼が少し考えたいのは普通のことです。まだそこまで確信がなくて、まず軽く彼の気持ちを確かめたいだけなら、無料レッスンわからないなら聞くにもっと軽い聞き方があります。
やめておくこと:友だちが大勢いる前で言う、お酒を飲んでから言う、彼が別れた直後や仕事で大きなトラブルがあった週に言う。もう一つよくある間違いは、告白したあと「で、どう思う?」と何度も聞いて、気持ちを伝えたはずが制限時間つきの回答に変わってしまうことです。「いいよ」「わからない」「ノー」と言われたあとそれぞれどう返すかは、相手に好きかどうか直接聞くにはにまとめています。
そのまま変えて使える誘い方
3つの場面の文を分解すると、実は同じ形をしています。
| 要素 | 例 | なぜ必要か |
|---|---|---|
| 何をするか | 谷中を散歩する | 具体的で、相手がイメージできる |
| いつ | 土曜の午後 | 時間を何度もすり合わせなくて済む |
| どのくらい | 2、3時間 | どのくらい時間を使うかわかるので、OKしやすい |
| 逃げ道 | 文には書かない。彼がだめと言ったら「わかった」と返し、いつもどおりやりとりする | 断るのに言い訳がいらない |
4つの欄がそろえば、重くならない誘いになります。
「土曜の午後 谷中を散歩しよう 二人で」
「あの店行ってみたいな」と言って、彼が拾うのを待つ。
自分の気持ちを直接伝え、その場での答えは求めない。
共通の友だちに探りを入れてもらう。
そこで止めて、次の一手は彼に任せる。
2日後に代わりの日を3つ送る。
インタラクティブレッスン女性から動くのもいいで、自分の状況に合わせた一言を練習できます。
誰にとっても同じルール:「ノー」と言われたら止まる
女性から誘うのは「安全な側」だと思われがちです。女性に誘われて断るくらい大したことない、というように。そんなことはありません。先に声をかけるなら、次のことは同じように守ります。
- 具体的な誘いは一度。彼がノーと言ったら、あるいは「また考える」と言って日にちを出さなかったら、そこで止めます。
- 理由を問いたださない。「なんで?」は気づかいに聞こえますが、実際には彼に断った理由の弁明を求めています。
- 事情だけを言われたら、次の一手は彼に任せる。「今週は実家に帰るんだ」と言われたら、「わかった、また空いたら教えて」と返せば十分です。代わりの日を一度に3つ出す必要はありません。
- 共通の友だちに聞きに行かない。二人のことがグループのことになると、彼は囲まれている気分になります。
- 断られたあとも普通にあいさつする。避けない、冷たくしない、彼の前でわざと楽しそうにふるまうこともしない。
反対の面も同じです。彼が食事の誘いに応じたなら、応じたのは食事だけです。あなたが先に動いたからといって彼が何かを借りたわけではないし、この先の一歩をすべてあなたが進めなければいけないわけでもありません。
ちょうどいい動き方ができたかは、こうするとわかります。誘ったあと一晩じゅうトーク画面を見つめていない。彼の答えがイエスでもノーでも、次に教室で会ったとき自然に会釈できる。心の持ち方についての記事は、ほかにもマインドセットのトピックページにあります。
セルフチェック:ちょうどいい動き方ができるか3問
1. 毎日のやりとりが2週間続いていて、二人で出かけたい。いちばんいい一言は?
2. 誘ったら「今週は実家に帰るんだ」と返ってきて、別の日は出てこない。どう返す?
3. 女性から誘うとき、男性から誘うときと違うルールは?
よくある質問
女性から LINE を送ると、重いと思われる?
思われません。具体的で返しやすいメッセージを1通送って、彼がどう返すかを見る。それで手に入るのは少しの情報で、何も失っていません。最初の1通の書き方や、そのあとの彼の反応の見方は、男性とのLINEのやりとりのコツを読んでみてください。
女性から告白すると、成功率は下がる?
この問いに答えられる確かな数字はありません。ネットで出回っているパーセンテージは、ほとんど出どころがたどれません。比較的はっきりしているのは、結果を決めるのはおもに相手にもともと好意があるかどうかで、どちらが先に言うかはその次だということです。どちらが先に言うかで決まるのは、答えがわかるまでの早さです。
自分から誘って彼もOKしたけれど、そのあとも誘うのはいつも自分。どうすればいい?
1〜2回会ったら、いったん止まって、彼が自分から次を言い出すかを見ます。お互いが同じくらい力を注いでいるのが大事です。彼が自分からは一度も動かず、誘われたら応じるだけなら、直接どう思っているか聞くか、力を自分の生活に戻しましょう。彼が本当に気持ちを向けているかどうかは、男性の脈ありサインに確かめやすい見方をまとめています。
「自分から追いかけたいタイプなんだ」と言われた。どういう意味?
本当に彼の好みかもしれないし、遠回しな断りかもしれません。どちらでも言葉どおり受け取れば十分で、彼に合わせてこの先ずっと受け身のふりをする必要はありません。彼があなたに好意を持っているなら、あなたが先に声をかけたことで嫌いになったりはしません。
断られたあと、友だちでいられる?
いられます。ただ、急がなくて大丈夫です。お互いいったん落ち着いて、次に会ったときは普通にあいさつし、関係が自然に戻るのを待ちましょう。友だちでいるのが実は彼の気が変わるのを待つためだと気づいたら、少し距離を置くほうが自分のためになります。