少し冷たく聞こえるかもしれません。でも、この進め方がいちばん自分の力を使わずに済み、相手のことも尊重できます。片思いでいちばん消耗するのは、たいてい終わりのない推測です。
片思いに性別は関係ないので、ここでは「相手」と書きます。
片思いがつらいのは、期限がないから
1970年代、アメリカの心理学者ドロシー・テノフは著書『Love and Limerence』で、「リメランス」という言葉を使って強い恋のとらわれを説明しました。相手のことを繰り返し考え、少しの反応にも大きく揺れ、何よりも相手も自分を好きだと確かめたくなる状態です。テノフは、不確かさや障害があるほど、この気持ちが強くなりやすいことに気づきました。
のちの実験もこれを裏づけています。バージニア大学のエリン・ウィッチャーチらは2011年、女子大学生に何人かの男子学生のプロフィールを見せる実験を行いました。「相手はあなたをとても気に入っている」と伝えられた人は、「普通に気に入っている」と伝えられた人より強く惹かれました。ところが「相手がどのくらい気に入っているかはわからない」と伝えられたグループが、いちばん相手のことを考え、いちばん惹かれていました。
片思いは、不確かさのきわみです。今日は返信が早くて一晩じゅううれしい。明日は返信が短くて、夜中までトーク履歴を読み返す。よかったり悪かったりする不規則な反応ほど、手放しにくくなります。だから片思いが長く続いて進展しないとき、その気持ちを育てているのはたいてい「まだわからない」の部分です。あなたの想いが特別に深いからとは限りません。
はっきりした答えをもらうと、たとえノーでも、気持ちは少しずつ引いていくのが普通です。期限を決めることをすすめるのはそのためです。
このガイドで相手に好きになってもらうことはできません。できるのは、数週間で推測を答えに変えること、そしてそのあいだ自分の生活を守ることです。
ステップ1:2〜3週間、目に見える行動を見る
やること:いつもどおり相手と接しながら2〜3週間観察し、目に見える行動だけを記録します。
| 信号 | 目に見える行動 | 次の一手 |
|---|---|---|
| 青信号 | 自分から話しかけてくる、前に話したことを覚えていて続きを聞いてくる、誘った日がだめなら自分から別の日を出す、グループの中でも自分から話しかけてくる | ステップ2へ |
| 黄信号 | 連絡すれば返ってくる、会話はそこそこ続くが自分からはあまり来ない、「また今度」と言うが日にちは出ない | もうしばらく自然に接する。2〜3回たっても相手から続けようとしないなら、青信号はなかったと考える |
| 赤信号 | 付き合っている人がいる、返信がだんだん短くなる、二人きりになるのを避ける、はっきり友だちだと言われた | 「あきらめ方」の章へ進む |
赤信号は断りのサインです。手を引き、別のやり方で試し直したりはしません。中でもいちばんはっきりしているのは、相手に恋人がいるとわかっている場合です。そのときは手を引き、友だちという名目でそばに居座ることもしません。いつか相手が本当にフリーになったら、そのときにもう一度誘えばいい話です。
実はほとんど話したことがないなら、最初のステップは普通に会話することで、観察はまだ先です。ほとんど知らない人への片思いは、好きなものの大部分が自分の想像です。相手が具体的な一人の人になる機会をつくって初めて、好きなのがその人なのか、その想像なのかがわかります。相手の前に出ると頭が真っ白になるなら、まず好きな人の前で緊張するときどうする?を読んでみてください。
よくある間違い:礼儀正しさをサインだと思うこと。誰にでも丁寧な人が自分に丁寧でも、それだけでは何もわかりません。相手が何時にストーリーを見たかを調べても、読み取れることはほとんどありません。見るべきサインは、相手が自分から時間と気持ちをあなたに使っているかどうかです。もっと確かなサインは女性の脈ありサインと男性の脈ありサインにまとめています。
ステップ2:青信号なら、一度誘うか一度聞く
やること:はっきりしていて、重すぎず、断りやすいお願いを一度だけします。言い方は2つあります。
- 一度誘う(こちらがおすすめ):「土曜がイラスト展の最終日だから、一緒に見に行こう」。日にちが具体的で、人の多い場所で、長すぎない。
- はっきり聞く:「あなたのことが気になってる。金曜の夜、二人でごはんに行きたい」。言ったら黙って、相手の返事を待ちます。相手の気持ちがわからないとき、はっきり聞くのがいちばんの近道です。無料レッスンわからないなら聞くで言い方を練習できます。
どちらの文にも「都合が悪ければ全然いいよ」はつけていません。逃げ道は行動で示します。相手がだめと言ったら「わかった」と返し、声のトーンを変えない。これが断りやすさです。
具体的で、人の多い場所で、長すぎない。相手がOKしたら、その時間を楽しく過ごしましょう。もう付き合っているつもりにはならないように。
タイミングも選びます。二人のときに、相手が急いでいないときに。相手が別れた直後や落ち込んでいるときは避け、相手が抜け出しにくい場所、たとえばあなたの車の中も避けます。
昔ながらの「大告白」はおすすめしません。長い時間をかけて準備する、長い手紙を書く、友だちに頼んで飾りつけをする、大勢の前で言う。大がかりになるほど相手はノーと言いにくくなり、ノーと言ったあとの二人も気まずくなります。小さな誘いのほうが、大告白より正直で、相手も答えやすいです。
告白は確信が持てるまで待つもの、と思っている人は多いですが、実際は逆です。待つほど気持ちは重くなり、口に出すときには期末試験のようになります。早めに、小さく聞くほうが、お互いのプレッシャーは小さくなります。
よくある間違い:急ぎすぎるか、遠回りしすぎるか。急ぎすぎは、もう1日も待てなくて今夜長文の気持ちを送りたくなることです。この焦りはたいてい不確かさに耐えられないことから来ていて、好きの大きさとはあまり関係がありません。無料レッスン焦りは弱いサインは、まさにこういう瞬間を分解しています。遠回りは、友だちに伝言を頼んだり、冗談で探りを入れたりすることです。
相手には本気かどうかわからないので、冗談で流すしかありません。ぐるっと回っただけで、答えはわからないままです。
ステップ3:答えが出たら、言葉どおりに受け取る
| 相手の答え | 意味 | どうするか |
|---|---|---|
| 「いいよ」、または自分から時間を出してきた | 乗り気 | 普通に会って、その時間を楽しむ。もう付き合っているつもりにはならない |
| 「今週はだめだけど、来週の土曜は?」 | 興味があって、代わりの案も出している | 新しい日にちを受ける |
| 「今週は実家に帰るんだ」と、事情だけ伝えてきた | まだ決めかねている | 少したってからもう一度だけ誘っていい。それでもだめならやめる |
| 「最近ちょっと忙しくて、また考えるね」と、日にちは出ない | 遠回しなノーの可能性が高い | 「わかった、また時間があるときに」と返し、それ以上は追わない。次の一手は相手に任せる |
| 「友だちだと思ってる」「好きな人がいる」 | ノー | 正直に言ってくれたことにお礼を言い、理由は聞かず、もう誘わない |
相手がずっと忙しいと言いながら日にちも出さないなら、少し踏み込んで直接聞いてもかまいません。「本当に忙しいのか、会いたくないのか、どっち?会いたくないならそう言って」。会いたくないと言われたら、手を引きます。本当に忙しいと言われたら、空いている日を相手に選んでもらいます。
断られたあとにいちばん大事なのは、ノーと言われたら試し直さないことです。「待ってるから」「あきらめない」は一途に聞こえますが、実際には「あなたの断りは数に入らない」と相手に伝えています。相手はこの先あなたに会うたびに、もう一度断らなければいけなくなります。
反対に、このノーであなたという人間全体が否定されたわけでもありません。一度断られただけで「自分は全部だめだ」と感じることを、用語集では拒絶への過敏さと呼んでいます。ノーが言っているのは、このタイミングでこの二人は合わなかった、ということです。無料レッスン1回のノーで自分は否定されないでは、この両面を同時に守る練習をします。
アメリカの心理学者ロイ・バウマイスターらは1993年、片思いをした側とされた側の両方の体験談を集めました。そこからわかったのは、同じ気持ちを持てなかった側もかなりつらい思いをしていることです。罪悪感があり、どう断れば傷つけずに済むのかもわからない。だから「言ってくれてありがとう」と落ち着いて返せることは、相手にとって大きな思いやりになります。
あきらめ方:力を自分に戻す
気持ちを手放すには、しばらくのあいだ小さな行動を積み重ねる必要があります。一度決めただけではできません。
- 刺激を減らす。宣言はいらない。相手のストーリーを非表示にするだけで十分です。ブロックや友だち削除で意思表示をする必要はありません。昔のトークもしばらく読み返さないでおきます。
- 考えるなと自分に無理強いしない。考えるなと言い聞かせるほど、かえって考えてしまうのが普通です。心理学者ダニエル・ウェグナーのシロクマの実験は、まさにこのことを示しています。思い出したら「また考えてるな」と認めて、次のことに移ります。
- 推測していた時間を、自分の時間に置き換える。この期間、相手のことを調べるのに使った時間はかなりのものです。それを取り戻しましょう。習い事を始める、友だちと会う、後回しにしていたことを片づける。
- 毎日顔を合わせるなら、普通に接する。同僚、同級生、サークル仲間なら、いつもどおりあいさつし、いつもどおり一緒に動きます。自分のつらさの責任を相手に負わせないようにします。職場の場合の距離感は職場恋愛の記事にもっと詳しく書いています。
- 友だちでいたいなら、まず正直に自分に聞く。相手の気が変わるのを期待して残るなら、それは待ち続けているだけです。友だちでいたいと言われたらに、先にできる自己チェックがあります。
ネットの片思い攻略、やめておきたいもの
片思いで検索すると、「相手を振り向かせる」攻略がたくさん出てきます。次のようなものはよく見かけますが、おすすめしません。
- 偶然を装って会う。相手の時間割や通勤時間を調べて「たまたま会う」。回数が増えると相手は怖くなり、つきまといに近づきます。やめてほしいと言われたあとも続けるのは、一線を越えています。
- 嫉妬させる。わざとほかの人の話をする、ほかの人とのツーショットをわざと投稿する。わざとやると、相手に見えるのは、あなたが満たされていなくて注目を欲しがっている姿です。
- 都合のいい人になって尽くしを積み重ねる。送り迎え、手伝い、プレゼント。「いつか感動してくれる」と思いながら。順番が逆です。相手がまだあなたに惹かれていないうちは、どんな親切もただのサービスとして受け取られます。しかも心の中では相手の知らない貸し借りの帳簿をつけていて、最後には恨みに変わることがよくあります。
- 断られたあとも「優しくし続ける」。断りを、まだ感動していないだけだと受け取ること。相手がノーと言ったら、それはノーです。
どれも、遠回りに力を使っている点で共通しています。まっすぐいきましょう。青信号があれば誘う、ノーと言われたら手を引く。
ネットで神秘的に語られる「押したり引いたり」「わざとそっけなくする」も、分解するととても単純なリズムです。温度を相手に合わせる。相手が冷めているときは追わない。相手が近づいてきたら、こちらももう少し温かくする。自分のことは一度に全部話さず、相手が知りたくなる余白を少し残す。前提は、あなたにもともと自分の生活があって、毎日相手に連絡しなくても平気なことです。
うまくできたかどうかの見分け方
- 自分で決めた期限のうちに答えをもらったか、手放すと決めた
- 相手がノーと言ったとき、「言ってくれてありがとう」と言えた
- 相手があなたのそばで今も気楽にしていて、避けられていない
- 推測に使う時間が減り、自分の生活に使う時間が増えた
どれも、相手がOKしたかどうかとは関係ありません。正しくやっても、答えはノーかもしれません。それでも早く立ち直れますし、相手もあなたに好かれたことを重荷に感じずに済みます。片思いと両片思い(友だち以上恋人未満)の境目や、いつ一歩進めるかは曖昧な関係とはでまとめています。ほかの心の持ち方についての悩みはマインドセットのトピックページにあります。
セルフチェック:相手の答えを読めるか3問
1. 本当の青信号はどれ?
2. 土曜に展示に誘ったら、「今週は実家に帰るんだ」と返ってきて、別の日は出てこない。どうする?
3. 相手に「友だちだと思ってる」と言われた。いちばんいい返し方は?
よくある質問
片思いが長く続いていて、まったく進展しない。どうすればいい?
まず自分に聞いてください。二人のあいだに青信号は一度でもあったか。何か月も自分から動いているのが自分だけなら、この片思いを支えているのはほとんどが想像と不確かさです。2〜3週間の期限を決めて、一度聞くか、手放すと決める。どちらでも、推測を続けるよりはずっといいです。
片思いの相手に告白するべき?
青信号があるなら、していいです。ただ、大がかりな告白より小さな誘いをおすすめします。相手は答えやすいし、自分もどんな答えでも受け止めやすくなります。青信号がまったくないときの告白は、自分が楽になるためのものに近く、相手には大きなプレッシャーになるかもしれません。
告白して断られたあと、友だちでいられる?
いられます。ただし二人ともがそう望んでいて、あなたが「相手の気が変わるのを待つ」つもりで残るのではない場合に限ります。たいていの人は、いったん距離を置いて気持ちが落ち着いてから、その友情がまだあるかを確かめる必要があります。
片思いの相手に恋人ができた。どうすればいい?
手を引きます。友だちの立場でそばに居座ることもせず、相手の投稿をずっと見張ったり、こっそり別れるのを待ったりもしません。つらいのは当然です。いつもどおり自分の毎日を過ごし、ほかの人とも知り合って、この気持ちが少しずつ引いていく時間をあげましょう。いつか相手が本当にフリーになって、誘いたいと思ったら、そのときにもう一度誘えばいいです。