スマホのメモに、送っていないメッセージが一つあります。タイトルは「別れ」の2文字だけ。もう7回書き直しました。送信ボタンを押しそうになるたびに、相手がちょうど優しくなるか、ちょうどまた大ゲンカになって、今はそのときじゃないと思わされます。
有害な関係からどう離れるか。より安全で、引き戻されにくいやり方には、たいてい全部をはっきりさせる長い話し合いはいりません。必要なのは、いくつかのことを順番にやることです。先に自分の譲れない線を書き出す、信頼できる人一人に知らせる、現実的なことを先に片づける、一度だけはっきり言う、相手が引き止めてくると予想しておく、そして連絡を断つ。相手に暴力、脅し、つきまといがあるなら、順番が変わります。まず安全、別れの話はそのあとです。
ここでは「相手」と書きます。支配や操作に性別は関係なく、ステップも同じです。
まず見分ける:普通の別れか、安全計画が必要か
次のどれか一つでも当てはまるなら、先にこの記事の後半「暴力、脅し、つきまといがあるとき」の章を読み、まず DV相談+ 0120-279-889(24時間)に電話してどう進めるか相談することを考えてください。
- 相手に突き飛ばされた、つかまれた、ドアの前に立たれて出られなかった、首を絞められたことがある。
- あなたや家族、ペットを傷つけると脅された。あるいはプライベートな写真をばらまくと脅された。
- ケンカのときに物を投げる、壁を殴る、あなたの物を壊す。
- 位置情報を調べる、スマホを見る、お金を管理する。
- 別れ話を切り出すことを考えたとき、最初に来る気持ちが怖さで、悲しさはその次。
どれも当てはまらないなら、下の6つのステップをそのまま進めてかまいません。当てはまるなら、ステップはやはり役に立ちますが、後半の章を足してください。
有害な関係から離れる6つのステップ
1. 譲れない線のリストを書く
譲れない線に書くのは、あなたが受け入れない行動です。相手にこうなってほしいという願いとは別のものです。目に見えるくらい具体的に書きます。「ののしる、ばかにする」「スマホを見る」「別れるとか死ぬとか言って脅す」「物を投げる」「実家に帰らせない」。
落ち着いているときに書き、相手の目に入らない場所に置きます。理由は現実的です。次にケンカをして、相手が泣いて謝ってきたとき、あなたは必ず駆け引きを始めます。そのときに必要なのが、先に書いておいた、気持ちに流されないリストです。レッスンいつ離れるべきかで、自分用のリストを書いていけます。
よくある間違い:譲れない線を「次またこうなったら、もう一回だけチャンスをあげる」と書くこと。そう書くと、次の一周の席を先に用意したことになります。
2. 信頼できる人一人に知らせる
信頼できて、相手とつながりのない人を選びます。いつ伝えるつもりかを話し、その夜に電話してもらうよう頼みます。「土曜に別れ話をする。その日の9時に電話して。出なかったら、もう一回かけて」。
この人の役目は、なぐさめだけではありません。別れたあとの数日、あなたはとても戻りたくなります。経緯を全部知っている人がいれば、揺れているときに、なぜ離れるのかを思い出させてくれます。心理学者クリス・サリバンとデボラ・バイビーはシェルターを出た278人の女性を追跡し、一対一で支援先探しに付き添ってもらったグループでは、2年のあいだ一度も暴力を受けなかった人の数が、もう一方のグループの2倍以上だったことを示しました。
よくある間違い:共通の友だちに相談すること。あるいは「もう一回チャンスをあげたら」と必ず言ってくる人に相談すること。
3. 現実的なことを先に片づける
別れを告げたその瞬間に、今夜寝る場所がない、ノートパソコンが相手の家にある、二人の家賃が明日引き落とされる、と気づく人はたくさんいます。口にする前に片づけておきます。
- 今夜とこの先数日、どこに泊まるか。
- 身分証、ノートパソコン、仕事の道具、薬を、先に自分の手元に戻す。
- 共同の口座、一緒に借りている部屋、一緒に飼っている猫を、どう分けるか。
- 相手が知っているパスワード、共有している位置情報、一緒に使っている動画サービスのアカウントなど、変えるもののリストをつくる。
よくある間違い:先に言って、それから引っ越すこと。支配する人にとって、「もう出ていくと言ったのに、まだここにいる」時間は、いちばん引き止めをかけやすい時間です。
4. 一度だけ、はっきり言う
完璧な話し合いはいりません。はっきりした一言があれば十分です。
はっきりした一言で十分です。理由を並べる必要はありません。
理由は並べなくていいです。理由が多いほど、一つずつ言い返されやすくなります。「スマホを見すぎって言うなら、もう見ないよ」。決めたことは言い負かさなくていい。「もう続けたくない」それだけで十分です。レッスン理由はいらないが扱っているのはこのことです。
会って言うべきか。普通の別れなら、会って伝えるほうが誠実です。でも有害な関係や支配的な関係なら、メッセージや電話で伝えるのはまったく問題ありません。会うなら、人の多いカフェを選び、自分で移動し、30分だけと先に決めておきます。「ノー」を短くはっきり言う練習を先にしたいなら、ノーの言い方を使えます。
よくある間違い:「一度ちゃんと話そう」と持ちかけること。相手はその話し合いを交渉の場にし、あなたは最後にはもう一度やってみることに同意してしまう可能性が高いです。
5. 引き止めを予想して、返し方を先に考えておく
あなたが言ったあと、相手が「わかった」の一言で終わることはめったにありません。よくある反応を並べておきます。返し方を先に考えておけば、その場で考えなくて済みます。
| 引き止め方 | 聞こえ方 | こう返せる |
|---|---|---|
| 変わると約束する | 「カウンセリングに行くから、もう一回だけチャンスをちょうだい」 | 「本当に行ってほしい。でも私の決めたことは変わらない」 |
| 罪悪感 | 「あんなに尽くしたのに、このまま出ていくの?」 | 「してくれたことには感謝してる。それでも別れる」 |
| 昔の話を持ち出す、あなたのせいにする | 「先に冷たくしたのはそっちでしょ」 | 「どっちが正しいかはもう話し合いたくない」 |
| 急にとても優しくなる | 深夜の長文、会社に花を届ける、家の前に現れる | 返さない。あるいは一度だけ「もう連絡しないで」と返す |
| 人に頼んで説得させる | 共通の友だちから LINE、相手の母親から電話 | 「心配してくれてありがとう。これは二人のことで、もう決めた」 |
| 脅す | 「出ていけるもんならやってみろ」「あなたがいないと生きていけない」 | もう交渉しない。証拠を残し、DV相談+ か 110 へ |
こうした言葉が効くのは、どれもあなたが本当に大事にしているところを突いてくるからです。大事に思いながら、決めたことを変えないことはできます。罪悪感のタイプは、恋人が罪悪感で縛ってくる?にもっと例があります。
よくある間違い:相手が新しい理由を出すたびに、もう一度説明すること。説明すればするほど、相手はまだ話し合えると思います。
6. 連絡を断ち、出口を一つずつ閉じる
- ブロックかミュート。どちらのほうが何度も見に行かずに済むかで選びます。
- 荷物のやりとりは一度で終わらせます。友だちに代わりに取りに行ってもらってもいい。「次に会ったときに取りに行く」にしないこと。
- 「最後に一度だけ会う」は受けません。本当に片づけることがあるなら、文字で要点だけ。
- 同じ会社、同じ学科、子どもを一緒に育てているなどで完全には断てないなら、必要なことだけ話すようにし、できるだけ文字で記録を残します。
連絡の断ち方、どのくらい続けるか、相手がしつこく連絡してくるときどうするかは、別れたあとの連絡断ちにくわしくまとめています。
よくある間違い:「念のため」に連絡手段を一つ残しておく、毎日こっそり相手のSNSを見る。見るたびに、あなたはまたあのサイクルに引き戻されます。
暴力、脅し、つきまといがあるときは、これも足す
ジャクリン・キャンベルらはアメリカの11の都市で行った研究で、支配欲の強い相手と別れることが、命にかかわる暴力の重要なリスクの一つだと示しました。現場の支援者も、別れ話や引っ越しの前後は特に気をつけるよう繰り返し呼びかけています。このときは「はっきり言う」より安全が先です。
- 予告しない。先に安全な場所へ移ってから、相手に伝えます。伝えるかどうか、どう伝えるかを、専門の人に一緒に決めてもらうこともできます。
- 一人で荷物を取りに戻らない。友だちについてきてもらうか、相談窓口と一緒に段取りを考えてから。
- 証拠を相手の手が届かない場所に保存する。脅しのメッセージ、けがの写真、医師の診断書、相手が家の前に現れた日時。
- 法律が助けになることを知っておく。多くの国や地域には、恋人や元恋人からの暴力に対する保護命令の制度や、つきまといを取り締まる法律があります。日本で自分の場合に何が使えるかは、DV相談+ や警察の相談窓口 #9110 で確かめられます。
スマホや位置情報の確認の仕方、離れるときに持ち出すものなど、もっと完全な安全計画はDV彼氏の特徴とは?にあります。今すぐ危険なときは 110。DV相談+ 0120-279-889 は24時間つながり、DV相談ナビ #8008 で地域の窓口にもつながります。誰かに話を聞いてほしいときは、よりそいホットライン 0120-279-338(24時間)へ。
仕返しはしない。「後悔させる」必要もない
ネットの別れのアドバイスの多くは、相手を後悔させる方法を教えています。やりとりのスクリーンショットをさらす、楽しく過ごしている投稿をする、相手の友だちと思わせぶりなやりとりをする、相手の物を返さずにおく、最後に一度会って何を失ったか思い知らせる。
私たちはすすめません。理由は3つあります。こうしたやり方は、あなたがまだ相手の反応を待っていることが前提になっていて、離れるというのは、もう相手の反応を必要としないということだからです。次に、仕返しは、もともと自分を抑えられない人をもっと危険にすることがあります。そして、相手のプライベートな写真ややりとりをさらす、相手の家や会社に押しかけるといったことは、法律に触れる場合もあります。被害を受けた側から、訴えられる側に回る必要はありません。
その力は自分に向け直しましょう。食べる、眠る、友だちに会う。この関係に押し出されていた生活を、一つずつ取り戻していきます。
うまくできているかの見分け方
「まったく相手のことを考えなくなる」はまず起きません。まだ思い出すし、長いあいだ思い出すかもしれません。特によかったり悪かったりを繰り返した関係ならなおさらで、なぜそうなるのかはトラウマボンドの記事で説明しています。もっと確かな目安はこちらです。
- 相手が泣いても、すがっても、脅しても、決めたことを変えなかった。
- 週末に何をするか、相手が機嫌を悪くしないかを先に考えずに、自分で決めるようになった。
- 誰かにメッセージを送る前に、頭の中で何度も予行演習しなくなった。
- 誰かに聞かれたら、落ち着いて「別れた」と言えて、自分を弁護しなくていい。
まだ離れるかどうか迷っているなら、まず別れるべきか迷ったらの8つの問いではっきりさせてみてください。操作や支配のほかのサインは、危険信号のトピックページにまとめています。
セルフチェック:準備ができているか3問
1. 別れると決めた。相手はスマホを見たりお金を管理したりする人。より安全なのは?
2. 相手に「カウンセリングに行くから、もう一回だけチャンスをちょうだい」と言われた。よりいい返し方は?
3. 別れたあと、どうしても戻りたくなった。いちばん助けになるのは?
よくある質問
離れたいのに怖い。どうすればいい?
まず、何が怖いのかを分けてみてください。一人になるのが怖い、さみしいのが怖い、なら、友だちと、少しずつ立て直していく生活で乗り越えられます。怖いのが相手の反応なら、それは安全の問題です。まず DV相談+ 0120-279-889 に電話して、専門の人と一緒に計画を立ててください。どちらの怖さも自然なものですが、対処の仕方は違います。
別れ話は必ず会って言わないといけない?
とは限りません。普通の関係なら、会って伝えるほうが誠実です。相手に支配、脅し、暴力の前歴があるなら、メッセージや電話で伝えるのは自分を守るためで、失礼には当たりません。相手が尊重されたと感じるかより、あなたの安全のほうが大事です。
相手に「出ていったら死ぬ」と言われた。どうすればいい?
その言葉は真剣に受け止めます。でも、だからといって残らないでください。110 や 119 に電話して相手の安全を確かめてもらう、相手の家族や友だちに連絡する、といったことができます。どう対応すればいいか、よりそいホットライン 0120-279-338 に相談することもできます。相手の安全は専門の人が見るもので、あなたがこの関係に残ることと引き換えにするものではありません。
一度離れたのに戻ってしまった。失敗?
まったく違います。何度か離れてやっと本当に離れられる人はたくさんいます。よかったり悪かったりのサイクルが特に断ちにくいから、あるいは現実的な準備がまだ足りなかったから、ということが多いのです。戻ったからといって次ができなくなるわけではありません。次は、先に何を準備すればいいか、もっとはっきりわかっています。