夜10時、トーク画面はこんな感じ。
全部「はい・いいえ」で終わる質問で、毎回話題が変わっていて、自分の情報はひとつも出していない。
3問聞き終えて、入力欄を見つめながら、4問目に何を聞こうか考えはじめる。
LINEの会話が続かないのは、たいていやりとりが、こっちが出題して相手が答えるアンケートになっているから。どっちが面白い人かは関係ない。アンケートは答え終わったら終わる。やりとりを生き返らせるのは2つの動き。相手が今言ったことにもう一段興味を持つこと、そして自分の話を少し入れること。下に、話をつなぐ10の返し方を、それぞれ例文つきでまとめた。先に言っておくと、例文は仕組みをつかむためのもので、暗記しなくていい。暗記した文は、たいてい相手に伝わる。
LINEの会話が続かないのはなぜ?
上のやりとりを見返すと、問題は3つある。全部が「はい・いいえ」や一言で終わる質問で、「疲れた?」「おいしかった?」には一言か二言しか返せない。毎回話題が変わっていて、相手が「コンビニ弁当」と言ったのに、そこには乗らずに次の質問へ飛んでいる。そしてやりとり全体で、自分の情報をひとつも出していないから、相手は聞き返したくてもどこから聞けばいいかわからない。
ハーバード・ビジネス・スクールのカレン・ファンらは2017年、スピードデーティングを含む実際の会話を分析して、質問を多くする人ほど好かれること、そして差をつけていたのは「掘り下げる質問」、つまり相手が今言ったことにさらに聞く質問だったことを明らかにした。だから質問は、数より、相手が今言ったことにつながっているかが効く。
残りの半分は、自分の話をすること。心理学でいう自己開示は、お互いに連鎖しやすい。こっちが先に少し自分のことを話すと、相手ももう少し話してくれやすくなる。聞くだけで話さないと、相手は取り調べを受けている気分になる。話すだけで聞かないと、今度は自分ひとりのラジオ番組になる。
やりとりを双方向にする、話をつなぐ10の返し方
1. 今の一言をもう一段掘る、急いで話題を変えない
相手が「今日上司にプレゼン資料直せって言われて 7時までかかった」と言った。「お疲れさま」と返したり話題を変えたりするより、もう一段下に行く。「何回直したの 最後に結局1回目に戻るやつ?」。
掘り下げると、ちゃんと読んでいることが相手に伝わるし、同じ話題が何往復も長生きする。
一段掘って、自分の話を少し入れる。同じ話題が何往復も長生きした。
そのまま使うと危ないところ:掘り下げが連続尋問になる。毎回「?」で終わると、相手は取り調べられている気分になる。1、2段掘ったら、今度は自分が少し話す。
2. 「ある?」より「どうして?」を聞く
「運動してる?」には、してるかしてないかしか返せない。「どうしてボクシング始めたの?」なら、相手はひとつの話をすることになる。選んだもの、気持ち、「そのときどうやって決めたの」を聞くと、相手には話すことができる。ぼんやりした質問を、興味から出る掘り下げに変える練習は、レッスン好奇心から出る質問にある。
そのまま使うと危ないところ:「どうして?」に「そのときどんな気持ちだった?」と続けると、カウンセリングみたいに聞こえる。興味は本物であること。興味のないことを無理に聞かなくていい。
3. 自分の具体的な細かい話をひとつ出す
相手が残業中だと言ってきて、「お疲れさま」と返すと、やりとりはそこで止まる。かわりにこう返す。「こっちも うちのオフィス冷房強すぎて 全員上着着たまま報告書打ってる」。具体的な場面がひとつあると、相手は乗れるし、聞けるし、笑える。
そのまま使うと危ないところ:毎回「こっちも」で始めて、自分の話を3段落続ける。話し終わったら、話のバトンを相手に返すこと。ひとりで最後まで話さない。
4. 答えたら、同じ質問を返す
相手に週末何するのか聞かれたら、ちゃんと答えて、同じ質問を返す。「土曜は友達と温泉 帰りにそば2杯食べて 満腹で高速バスで爆睡 週末どこか出かけた?」
基本中の基本だけど、答えたところで止まってしまう人は多い。相手はまた新しい質問を考えるしかなくなって、二人で交互に出題することになり、すぐに疲れる。
そのまま使うと危ないところ:ちゃんと答えないで「そっちは?」だけ送る。質問をそのまま突き返しているのと同じ。
5. 前の話題に戻る
「先週面接って言ってたけど どうだった?」。相手が言ったことを覚えているのは、どんな書き出しよりも温かい。こういう振り返りは、途切れたやりとりをもう一度つなぐいちばん自然なやり方でもある。もう一度「いる?」と送らなくていい。
そのまま使うと危ないところ:相手が言ったことを全部メモして、順番に聞いていく。少しノートを取っているみたいになる。本当に気になっていることだけに戻る。
6. 立場のある小さな意見を言う
「鍋のシメはラーメン一択 雑炊は認めない」。こういう害のない小さな立場のほうが、「何食べるのが好き?」よりずっと返しやすい。相手は同意しても、反論しても、笑ってもいい。
そのまま使うと危ないところ:小さな意見を議論にして、相手に認めさせようとする。意見が違ったらお互いそのままにして、話題を変える。勝ち負けはいらない。
7. 目の前で見ているものを送る
写真を1枚撮る。「会社の前で前撮りしてる 新郎が緊張しすぎて手と足が一緒に出てる」。日常の小さな場面がいちばん返しやすいし、相手も自分が見たものを送ってくるようになる。
そのまま使うと危ないところ:写真だけ送って一言もつけない。相手は「笑」としか返せない。写真には自分の反応か、小さな質問をつける。
8. 答えやすい二択を出す
「週末どっちか1つしか選べないなら 昼まで寝る?朝早く起きて山登る?」。二択は考えこまなくていいし、答えに少し人柄が出る。1日働いて疲れていて、頭を使いたくない夜にちょうどいい。
そのまま使うと危ないところ:1問ずつ続ける、ネットで拾った「動物にたとえたら?」を一式全部送る。たまに1問ならいいけど、5問続いたら心理テストになる。
9. 詰まったら、軽く口に出す
「さっきから質問してばっかりだ 次はそっちが聞いて」。または「今日は二人ともLINEの電池残り10%って感じ」。少しユーモアを入れて沈黙を言葉にすると、無理に話題を探すよりずっと気楽になることが多い。
そのまま使うと危ないところ:愚痴にする。「全然聞いてこないよね」「話してて疲れる」。沈黙を口に出すのは空気を軽くするためで、責める口調にはしない。
10. 盛り上がっているうちに締める、またはそのまま誘う
「お風呂入ってくる あの店の続きは明日話す」。やりとりは毎日話すことがなくなるまで続けなくていい。まだ少し名残惜しいくらいでおやすみを言うと、次が始めやすい。もっといい締め方は、そのまま誘うこと。「あの店 土曜に食べに行こう 食べてからどっちが正しいか決めよう」。
そのまま使うと危ないところ:毎回夜中まで話さないと終われない。熱を全部トーク画面の中で燃やしてしまって、会ったときには新鮮なものが残っていない。
なぜ例文をそのまま使ってはいけない?
上の例文が効くのは、どれも本当の細かい話とつながっているから。本当に残業している、本当に前撮りを見た、本当に温泉に行った。文を暗記して、相手が「コンビニ弁当」と言ったときに無理やり「どうして?」を当てはめると、相手は手順をこなしているのを感じとる。
もっとよくある副作用もある。話しながら頭のどこかで「今は何番の技を使えばいい?」と探していると、注意が相手からそれる。相手が言ったことに乗れなくなって、やりとりがかえって乾く。こういう状態を理論中毒と呼んでいて、無料レッスン理論にとらわれるに照らし合わせられる場面がたくさんある。いい使い方は、あとで振り返ること。話し終わってからどこで詰まったかを見返せば、次は自然と変わる。自分が送って滑ったメッセージをそのまま書き直したいなら、いい書き出しを書くを試してみて。
何をしても冷たいなら、もう話題を探さない
10の返し方が効くのは、相手も話したいと思っているときだけ。2、3回試して、答えやすい質問に変えて、自分の話もして、それでも相手が「うん」「笑」しか返さない、一度も聞き返してこない、自分から話しかけてこないなら、問題はたいてい、相手が今は乗ってくるつもりがないこと。返し方の技をいくら変えても同じ。
そのときは、一度はっきり言っていい。「なんでずっとうんだけなの 話したくない?」。相手の態度が変わったら、ちゃんと話す。変わらなければ止める。ひとりで場をつなぐのをやめて、話が合う人に力を使う。短い返信にどんなパターンがあって、それぞれどう見ればいいかは、LINEの返信がそっけないときで分けて話している。相手がそもそも返してこないなら、既読スルーされたときどうする?を。
話が弾んだら、やりとりを会う方向に持っていく
どんなにLINEがうまくいっても、それは橋でしかない。文字は直せるし、返す前にいくらでも考えられるけど、会ったらそうはいかない。二人の間に何かあるかどうかは、たいてい会ってから決まる。何往復か話して、お互いまともな人だとわかったら、もう誘っていい。何をするか、いつかをはっきり言う。「十分親しくなった」日を待たなくていい。その日はたいてい勝手には来ない。
最初の1通から誘うまでのやり方を全部見たいなら、男性は好きな女性へのLINEの送り方を、自分から動きたい女性は好きな男性へのLINEの送り方を。両思い手前の時期に、やりとりはすごく盛り上がるのになかなか会えない場合は、曖昧な関係とは?で話している。ほかのやりとりの悩みは、メッセージと誘い方のトピックページにまとめてある。
セルフチェック:話のつなぎ方3問
1. 相手が「今日上司にプレゼン資料直せって言われて 7時までかかった」と言った。いちばんつなげやすい返しは?
2. 相手に週末何するのか聞かれた。いちばんいい返し方は?
3. 返しやすい話題を3回試したけど、相手は「うん」としか返さず、聞き返してもこない。どうする?
よくある質問
LINEで話すことがないのは、相性が悪いから?
そうとは限らない。文字はとても狭い通り道で、文字だとそっけないけど会うとすごく話しやすい人もいる。会う約束をするか、相手の都合のいいときに電話してみる。会ってもやっぱり話が弾まなくて、相手もあまり乗ってこないなら、それがもっと現実的な答え。
両思い手前の時期は、どんな話題がいい?
日常の細かいこと、前に話したこと、害のない小さな意見。どれもいい。たまに相手をからかう、口調に少し男女としての気配を混ぜるのもいい。下ネタや性的なほのめかしで「温める」のはおすすめしない。まだ会っていなくて、相手がまだこっちに惹かれていない段階で性の話をすると、焦っているように見えるだけで、そのまま消される。
いつも自分ばかり話題を探している。これって普通?
最初は少し偏りがあるのは普通。ゆっくり打ち解ける人もいる。でも1、2週間話しても毎回こっちから始めていて、相手から一度も来ないなら、熱量がつり合っていないサイン。一度誘ってみる。会えるなら会ってから考える。会えないなら、ひとりで場をつなぐのをやめて、次の1通は相手に任せる。
LINEは毎日しないとだめ?
だめじゃない。毎日話すのには毎日話すよさがあるし、何日かおきでもまったくかまわない。二人とも心地よくて、やりとりが会う方向に進んでいればいい。頻度の決め方は両思い手前のLINEの頻度を見てみて。