土曜の夜、もうすぐ12時。居酒屋のテーブルにはビールの空き瓶がずらりと並んでいる。向かいに座っているデートの相手は、話すテンポがワンテンポ遅れ始めて、同じ冗談を2回言い、トイレに立つときに壁に手をついた。
友達が酔ったらどうするか。デートの相手が酔ったらどうするか。答えは同じです。この瞬間から、今夜あなたの役目はひとつだけ。相手を無事に相手自身の家まで帰すか、相手が信頼している人に引き渡すこと。あなたの家でも、ホテルでも、「ちょっとどこかで休もう」でもありません。2人の間に次があるかどうかは、相手がしらふに戻ってから考えます。
このチェックリストは時間の順に並べています。どの項目も、目に見えて、実際にできる行動です。先に保存しておくと使えます。ここでは酔っている人を「相手」と書きます。男性でも女性でも同じです。
まず判断する:今夜は「家まで送る」か「救急車を呼ぶ」か
どれくらい酔っているかは、何杯飲んだかより、いまの様子で見ます。
| 状態 | 見える様子 | あなたがすること |
|---|---|---|
| ほろ酔い、でも意識ははっきり | いつもより声が大きく、話すのが遅いが、普通に受け答えできて、自分でしっかり歩ける | お酒をやめて水に替える、タクシーを呼ぶ、着いたら連絡してもらう |
| 酔っている | ろれつが回らない、支えがないと歩けない、同じことを何度も聞く、さっきのことを覚えていない、吐いた | ずっとひとりにしない。信頼している人に引き渡す |
| 危ない | 呼んでも起きない、起きてもまた意識を失う。呼吸がとても遅い、長く止まってからやっと息を吸う。けいれんする。肌が冷たく湿っている、青白い、紫っぽい。もうろうとしたまま吐く | 119番する。横向きに寝かせて、救急隊を待つ |
いちばん下の行は、全部そろうのを待たなくていいです。ひとつ見えたら電話します。それから、知らない人が多いことがもうひとつあります。アメリカ国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)は、最後の1杯を飲んだあとも、アルコールは胃や腸から血液に入り続けると注意しています。飲むのをやめたあと、眠っているあいだにも、もっと酔いが回ることがあるということです。「寝てるだけ」の人を、そのまま放っておくことはできません。
チェックリスト1:まだその場にいるとき
- お酒をやめて、水に替える。周りがまた注ごうとしたら、あなたが止めます。「今日はもう十分。水飲ませるね」。水は少しずつ渡せばいい。相手がもうろうとしているときに無理に飲ませないこと。
- ひとりでトイレに行かせない。ひとりで外の空気を吸いに行かせない。多くのことは、ひとりになったその10分の間に起きます。トイレで吐いて喉を詰まらせる、自分で車道のほうへ歩いていく、あまり親しくない人に「親切に」連れて行かれる。相手が信頼している友達に付き添ってもらいます。
- 相手が信頼している人を見つける。そのまま聞きます。「誰に電話する?ルームメイト?家族?どの友達?」。相手がはっきり言えなければ、同じテーブルで相手を知っている人に聞きます。今夜いちばんいいのは、相手のそばに相手自身が選んだ人がいることです。
- コーヒー、冷たい水、「ちょっと歩こう」で酔いをさまそうとしない。さっきの NIAAA の解説にもはっきり書いてあります。冷たいシャワーも、熱いコーヒーも、歩くことも、酔いをさましませんし、かえって悪くすることもあります。実際よりしらふに見せるだけで、あなたも早く安心しすぎてしまいます。酔いをさますのは時間だけです。
- 相手の持ち物をまとめておく。スマホ、財布、鍵、交通系ICカード。スマホの充電が残っていれば、家に着いてから連絡がつきます。
チェックリスト2:帰り道
- 配車アプリでタクシーを呼んで、行程を相手の友達と共有する。ナンバーを控えて、行き先が相手の家になっているか運転手さんと確かめます。あなたの家の住所を伝えないこと。
- 自転車や車で来ていても、今夜は乗らない、運転しない。車は明日取りに来ればいい。あなたが飲んでいるなら、あなたも同じです。
- 一緒に乗るかどうかは、相手の様子で決める。自分で歩けて、普通に受け答えできるなら、タクシーを呼ぶ、行程を共有する、着いたら連絡してもらう、で十分です。支えがないと歩けないほど酔っているなら、ひとりで乗せないこと。相手が信頼している人が付き添うのがいちばんです。あなたしかいないなら、家の前まで付き添って、同時に相手の友達に、いま2人がどこにいるかを知らせておきます。
- 行き先は1種類だけ。相手の家か、相手が信頼している人の家。あなたの家でも、ホテルでも、「うちのほうが近いから、ちょっと横になろう」でもありません。酔った人にとって、よく知らない人の部屋はいちばん出にくい場所です。あなたが何もしていなくても、次の日によく知らない人の家で目を覚ましたときの怖さは本物です。
チェックリスト3:玄関の前で、そして次の日
- 相手が家に入るのを見届けてから、帰る。相手が「ちょっと上がってく?」と言ったら、こう返します。「今日はゆっくり休んで。また明日話そう」。酔っているときの誘いは数に入りません。2人の間に好意があるかどうかとは関係ありません。酔った人がなぜ同意できないのかは、無料レッスン酔っていると同意できないに判断の練習があります。
- 家に誰かいるなら引き継ぐ。ひとり暮らしで明らかにひどく酔っているなら、ひとりにしない。相手が信頼している友達に来てもらいます。ひとりにしておくのが怖いほど酔っていて、相手が信頼する人も見つからないなら、それ自体が119番する理由になります。
- 家に着いたらメッセージを1通もらう。ルームメイトに知らせてもらってもいい。「着いたら連絡して」で十分です。
- 次の日は、恩を着せないメッセージを1通。「今日は大丈夫?水たくさん飲んでね」。「昨日めっちゃおもしろかった」とも、「次はおごってね」とも書かないこと。人の面倒を見たことを、何かと引き換えにはできません。
- 撮らない、送らない、投稿しない。道端で吐いている姿、あなたの肩にもたれて寝ている姿を、ストーリーに上げたり、グループに流したりしないこと。昨夜相手が言ったことも同じです。「昨日、俺と付き合いたいって言ってたよ」のようなことは、相手がしらふになってから、もう一度言うかどうかを相手自身が決めます。
相手が家に入るのを見届けてから、帰ります。
ひととおりの流れは、家まで送るの無料レッスンにいくつか場面があるので、先に練習しておけます。家に着いたあとのメッセージの返し方も入っています。
119番したら、救急車を待つあいだにこれをする
なかなか電話をかけられない人は多いです。大げさだと思われるのが怖い、相手が家族に怒られるのがかわいそう。救急隊員はあなたよりずっと多くの酔った人を見ています。かけてみて何でもなかった、というのがいちばんいい結果です。かけずに何かあったら、取り返しがつきません。
待っているあいだは、こうします。
- 横向きに寝かせる。上になった脚を曲げて体を支え、顔を少し下に向けます。吐いたときに喉に詰まらせないためです。あおむけにしないこと。
- そばを離れない。ときどき名前を呼んで、呼吸を見ます。
- 食べ物を与えない、冷たい水をかけない、無理に吐かせない。
- 知っていることを救急隊員に伝える。何を飲んだか、だいたいどれくらいか、どれくらい前か、薬を飲んでいるか。
- あまり飲んでいないのに急に様子がひどくおかしくなったなら、薬を盛られたかもしれないとそのまま伝える。病院での対応が変わりますし、警察に届ける必要があるかもしれません。
119番の担当者も電話でいま何をすればいいかを教えてくれるので、そのとおりにすればいいです。
よくある2つの落とし穴:「そっちの家でいい」と「俺が連れて帰る」
1つ目:相手が自分からあなたの家に行きたいと言う。酔った人は、しらふのときなら言わないことをよく口にします。「帰りたくない。そっち行く」もそうです。誰が先に言ったかは関係ありません。いま相手が決められる状態かどうかが問題です。返事はシンプルでいい。「今日はまず自分の家に帰ろう。タクシー呼ぶね」。お酒が判断や「ノー」と言う力にどう影響するかは、お酒を飲んでいても同意は成立する?にくわしく書いています。
2つ目:周りの誰かが名乗り出る。会社の飲み会がお開きになって、同僚がもう支えないと歩けないほど酔っている。あまり親しくない別の同僚が言う。「うち近いから、ちょっとうちで横にならせるよ」。彼女はずっとうなずいているだけで、目はほとんど閉じかけている。
うなずくだけの人は、誰と行くかを選べません。誰かを責める必要はありません。計画をみんなに見える形にして、言ったらそのとおりにすればいいです。
相手の面倒を見るよう頼まれていたのに先に帰らなければならないなら、はっきり言います。「先に帰らなきゃいけない。誰か代わってくれる?」。誰かが引き継いだのを確かめてから帰ります。カラオケや飲食店、バーなら、店員さんにそのまま助けを頼んでもいいです。
誰かが薬を盛られたかもしれない、あるいはあとで誰かが酔っているところにつけこんで線を越えたと分かった。そういうときは安全を優先してください。性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター #8891 に電話できます。緊急のときは110番です。相手のほうがあとになってあの夜は何かおかしかったと感じているなら、あれは同意だった?に、どう整理するか、どこに相談するかをまとめています。
次に出かける前に、ひとつだけ準備する
このチェックリストは、使わずに済むのがいちばんです。もっと現実的な準備は出かける前にあります。スマホに緊急連絡先を設定しておく、一緒に行く友達と「一緒に来て一緒に帰る」と決めておく、デートは帰りの交通が便利な場所にして、終わる時間をだいたい決めておく。
自分が飲む側になるときも、同じルールが自分に当てはまります。会う前に何をしておけばいいかは、レッスン初デートの安全チェックリストか、初デートの安全チェックを見てください。デートの終わりにどう別れて、どこまで送るかはデートの終わり方にあります。バーやクラブのような場所でやめどきのルールをどう守るかは、バーやクラブで声をかけるにはにくわしく書いています。同意についてのほかの記事は、同意と境界線のトピックにまとめています。
セルフチェック:家まで送れる?
1. デートの相手がろれつが回らず、支えないと歩けない状態で「帰りたくない。そっち行く」と言った。あなたは?
2. 友達が飲みすぎて、ずっと眠そうにしている。正しいのはどれ?
3. 次の日に送るメッセージとして、いいのはどれ?
よくある質問
酔った人は、ひと晩寝れば大丈夫?
そうとは限りません。飲むのをやめたあともアルコールは吸収され続けますし、眠っている人は寝ているあいだに吐いて喉を詰まらせることがあります。ほろ酔いくらいで普通に受け答えできるなら、横向きに寝かせて、そばに誰かがいれば大丈夫です。呼んでもなかなか起きない、呼吸が遅い、不規則。そうなったら、もうひと晩寝てどうにかなる範囲を超えています。すぐ119番してください。
酔った人は、どう寝かせるのが安全?
横向きに寝かせて、上になった脚を曲げて支え、顔を少し下に向けます。吐いたものが逆流して喉に詰まらないようにするためです。あおむけにしないこと。枕をひとつ置いてそのまま離れるのもやめて、少なくとも誰かがときどき様子を見るようにします。
相手が「大丈夫、送らなくていい」と言う。どうする?
話し方がはっきりしていて、しっかり歩けるなら、相手の決定を尊重していいです。タクシーを呼ぶのを手伝って、着いたら連絡してもらいます。ろれつが回らない、立っているのもふらつくなら、「大丈夫」をそのまま信じることはできません。相手が信頼している友達に一緒に説得してもらうか、誰かが迎えに来るまで一緒に待ちます。無理強いする必要はありませんが、そのままひとりで帰らせないこと。
自分も飲んでいる。どうすればいい?
あなたが飲んでいれば、あなたの判断力も落ちています。だからこそ、しらふの人に任せます。同じテーブルで飲んでいない友達を探す、店員さんに頼む、タクシーを呼ぶ。自分で自転車や車に乗らないこと。2人とも飲んでいる夜は、今夜は何も決めないのがいちばんの決め方です。しらふのときに改めて会いましょう。