同意とは何か。一歩進むたびに「いい?」と聞いて、相手が「いいよ」と口にしてはじめて数に入る、と思っている人はたくさんいます。実際のデートはめったにそうはなりません。たいていの場合、同意は相手が行動で示すものです。あなたが手を差し出すと、相手が握り返す。あなたが近づくと、相手はよけないで、むしろもっと近づいてくる。あなたが「行こう、うちで映画の続き見よう」と言うと、相手はバッグを持ってついてくる。どれも答えで、しかも遠慮がちな「いいよ」よりずっと正確です。
ここでは、デートで出会う反応を3つに分けます。同意、ためらい、はっきりした拒否。見分けられれば、いつ続けていいか、いつ話をちゃんと聞くべきか、いつ止めるべきかが分かります。これはこのサイトの考え方で、「一歩ごとに口に出して聞こう」という多くの呼びかけとは違います。なぜそうなのかは、下で説明します。
同意、ためらい、はっきりした拒否:表で見る
| 状態 | 相手がしていること | あなたがすること |
|---|---|---|
| 同意 | 自分から隣に座る、近づいてくる、キスを返す、手を握る、自分から触れる。あなたの家で何が起きるか分かっていてついてくる。「したい?」と聞くと「したい」と言う | 続ける。ずっと相手の反応を見ながら |
| ためらい | 口では「それはちょっと」「初対面で家に行くのはよくない」と言うが、まだ座っている、話している、一緒に歩いている | 何が心配か聞く、筋の通る理由を伝える、冗談で気がかりを軽くする、あるいは「したいとは思ってる。でも、そっちがしたくないことは何も起きないよ」とそのまま言う |
| はっきりした拒否 | 「行かない」「いや」「したくない」「帰る」。あなたを押しのける、手を引く、立ち上がって帰ろうとする。泣く、固まって反応しない。判断がつかないほど酔っている | 止める。頼まない、粘らない、言い方を変えてもう一度行かない |
| 体に触れている途中で「早すぎる」「まだ知り合ったばかりだし」 | 言葉に出していて、体も後ろに引いている | まず止める。手を戻して、話を続け、相手が自分からまた近づいてくるのを待つ |
いちばん混ざりやすいのは真ん中の2行です。ためらいは、ひとつの誘いに気がかりがあるだけで、相手はまだあなたのそばにいます。はっきりした拒否は、相手がもう止まってと伝えている、もう離れようとしている状態です。
同意は、相手が何をしたかで見る
相手がその気かどうかを知りたいなら、行動を見るのがいちばん正確です。笑顔で「どっちでもいいよ」と言いながら、目はずっとドアのほうを見ている人もいます。ひと言も言わずに、あなたの肩に頭をもたせかけてくる人もいます。前者は遠慮していて、後者はあなたに応えています。
心理学者のアントニア・アビーは1982年に、感じのよさが性的なサインと受け取られるかを調べる実験をしました。男女が5分話して、それを別の人が見る。平均すると、男性のほうが女性よりも、その女性の感じのよさを誘っているサインだと読みがちでした。だから、笑顔、気づかい、優しくしてくれることは、ひとまず数に入れないでおきます。見るのは、相手があなたのほうに来ているかどうかです。自分から話をつなぐ、自分から近づく、あなたの手を握る、キスを返す。
では、なぜ一歩ごとに「いい?」と聞かないのか。お願いする口調で聞くと、決定を相手に投げて、しかも相手にあなたの後ろ盾になって大きな声で言ってもらうことになるからです。心の中ではその気でも、「いいよ、キスして」とは口に出しにくい人はたくさんいます。意図をはっきりさせたいなら、言い切る形で伝えます。「キスしたい」「ここうるさいね。行こう、うちで一杯飲もう」。言ったら、相手がどう動くかを見ます。
触れるときも同じで、軽いところから始めます。手を差し出す、腕に軽く触れる。相手が握る、寄ってくるなら、応えています。相手が手を引く、体がこわばるなら、止めて、さっきの話を続けます。謝る必要も、悪いことをしたと思う必要もありません。
相手がためらっているとき:気がかりをちゃんと聞く
「初対面でいきなり家に行くのは、ちょっとね」。こう言われると、すぐに「じゃあやめとこう」と言ってしまう人は多いです。相手がそう言いながらまだ座っていて、笑いながら話しているなら、たいていは納得できる理由がほしいだけで、まだ「ノー」とは言っていません。
相手がほしいのは、自分に説明がつく理由です。相手が「行かない」と言ったら、家まで送ります。
理由を聞くのは大事です。ネットでは「男がなんでと聞くのはダサい」とよく言われますが、聞かなければ、どこで引っかかっているのかはずっと分かりません。軽く見られるのが怖いのかもしれないし、明日早いのかもしれないし、まだあなたのことを十分知らないのかもしれない。その理由に合わせてひと言返してもいいし、冗談で空気をゆるめてもいい。いちばんまっすぐなのは、話をそのまま出してしまうことです。あなたはしたいと思っている。でも相手がしたくないなら、何も起きない。
このやり方を使うのは、相手がためらっているときだけです。相手が「行かない」「帰りたい」と言ったなら、それはまったく別の話です。
はっきりした拒否:「ノー」、押しのける、固まる。それなら止める
相手が「いや」と言う、あなたの手を押しのける、立ち上がってバッグを取る、泣き出す、固まって反応しなくなる。そうなったら止めます。相手がろれつの回らない、足元のおぼつかないほど酔っているときもここに入ります。そのとき相手はもう判断ができないからです。
止める理由はとても現実的です。無理やりするのは法を破ることで、刑務所に入ることになります。粘って引き出した「いいよ」も役に立ちません。相手はその場ではがまんしても、家に帰って頭が冷えれば後悔して、あなたを消して、訴えることもあります。それに、相手がしたくないことを無理に手に入れても、楽しくありません。
体に触れている途中で、相手が「早すぎる」「まだ知り合ったばかりだし」と言ったら、まず止めます。手を戻して、少し離れて座って、話を戻して雰囲気を取り戻します。相手が自分からまた近づいてきたら、そこではじめて先に進みます。続けるように説得しようとはしないこと。
断られたあと、お願いする必要も、不機嫌になる必要もありません。「わかった、駅まで送るよ」。それから家に帰って考えます。その前のどこで、相手に気持ちを向けてもらえなかったのか。
雰囲気がどれだけよくても止める4つの場面
次の4つにはグレーゾーンがありません。相手がどう反応していても同じです。
- 相手が酔っている。ろれつが回らない、支えがないと歩けない、同じことをくり返す、さっきのことを覚えていない。今夜あなたがするのは、相手を無事に家に帰すことだけです。理由はお酒を飲んでいても同意は成立する?にまとめています。
- 相手が未成年かもしれない。すごく若く見える、話が年齢と合わない、確信が持てない。それなら先に進みません。例外はありません。
- 相手がはっきり断ったあと。「ノー」と言った、帰ると言った、あなたをブロックした。それなら止めます。しつこくしない、別のアカウントで追加し直さない、ついて行かない。
- カメラとメッセージ。隠し撮りや隠し録りはしない。相手のメッセージ、写真、通話の録音を人に見せない。詳しくは写真を撮るときも同意が要る?にあります。
FRIES のチェック表、どこを残すか
ネットでよく見る FRIES のチェック表は、英語の頭文字5つでできています。自発的、取り消せる、情報を知っている、積極的、具体的。このうちいくつかは、このサイトの考え方と同じです。
- 自発的:粘られてうなずいた、飲まされて「いいよ」と言った。どちらも数に入りません。
- 取り消せる:朝は「いいよ」と言って、夜に帰りたくなった。それならいまの答えに従います。
- 情報を知っている:相手は、どこに行くのか、何が起こるのかを知っている必要があります。映画を見よう、一杯飲もうという理由を伝えるのはかまいません。何が起きるか分からない場所に人をだまして連れていくのはだめです。着いても相手は抵抗するだけです。
- 具体的:キスをしたからといって、相手があなたについてくるとは限りません。バーでキスした人が、最後にあなたの家まで来るとは限りません。
このサイトがそのまま使わないのは、「積極的」と「具体的」を、一歩ごとに口に出して確認すること、と解釈する部分です。積極的かどうかは相手の行動で見ます。声の大きさとは関係ありません。具体的とは、一歩ごとに相手が応えているかを見ることで、一歩ごとに止まって聞く必要はありません。
よくある4つの誤解
「一歩ごとに、いい?と聞かないといけない」。いりません。相手の反応を見て、意図をはっきりさせたいなら言い切る形で伝えます。ずっとお願いする口調で聞いていると、相手にはあなたが自信なさそうに見えますし、相手も答えにくくなります。
「相手が『それはちょっと』と言ったら、いやということ」。相手が何をしているかを見ます。まだその場にいる、話している、一緒に歩いているなら、ためらいです。気がかりを聞きます。「行かない」と言った、立ち上がって帰ろうとしたなら、それが「ノー」です。
「相手が押しのけなかったなら、その気だということ」。違います。手をつながれても握り返さない、まったく動かない、ただ黙っている。どれも応えているとは言えません。同意は相手が行動で示すものです。黙っていて押しのけなかったら同意?に比較表があります。
「付き合ったら、もう見なくていい」。恋人でも疲れることはあるし、したくない夜もあります。相手が「今日はやめとく」と言ったら止めます。付き合っていても同意は要るに書いています。
今夜から使える3つの習慣
- したいことを言い切る形で伝える。「ここうるさいね。行こう、うちで一杯飲もう」。どこに行くのかをはっきり言って、理由をひとつ添えて、言ったら止まる。「いい?」は付けない。
- 触れるのは軽いところから始めて、相手が応えるかを見る。握り返してくる、寄ってくるなら続ける。手を引く、固まるなら止めて、話を続ける。謝らなくていい。
- 相手が「ノー」と言ったら「わかった」と返して、声の調子を変えない。頼まない、問い詰めない、理由は家に帰ってから考える。あなたがちゃんと受け止められれば、相手は次もまた会おうと思いやすくなります。
場面問題でひととおり練習したいなら、無料レッスン同意とは何かから始めて、反応がないときはと一歩ずつ反応を見るで止まるタイミングを練習してください。キスのタイミングの見方は「キスしていい?」の聞き方にあります。同意と体の境界線についてのほかの記事は、同意のトピックにまとめています。
同意のないまま体に触れられた、性行為を強いられたことがあるなら、それはあなたのせいではありません。安全を優先してください。性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター #8891 に電話できます。緊急のときは110番です。あのときのことが同意だったのか、いまも考え続けているなら、あれは同意だった?が一歩ずつ整理するのを手伝ってくれます。
セルフチェック:見分けられる?
1. デートの途中で、相手が「ちょっと疲れたから先に帰りたい」と言った。でも朝は夜までいると言っていた。どうする?
2. 「ここうるさいね。行こう、うちで映画の続き見よう」と言ったら、相手は笑って「初対面で家はちょっとね」と言い、まだ座って話している。いいやり方は?
3. キスのあと、あなたが相手の腰に手を回したら、相手の体がこわばって後ろに引いた。このあとは?
よくある質問
同意のいちばんシンプルな定義は?
相手が行動であなたに応えるか、はっきり「いいよ」と言うことです。寄ってくる、キスを返す、あなたの手を握る、あなたの家に行く意味を分かったうえでついてくる。「ノー」と言う、押しのける、固まる、酔っている。これはどれも止まるサインです。
FRIES ってどういう意味?
FRIES は英語の5つの単語の頭文字です。Freely given(自発的)、Reversible(取り消せる)、Informed(情報を知っている)、Enthusiastic(積極的)、Specific(具体的)。自発的、取り消せる、情報を知っている、の3つはこのサイトでもそのまま使います。積極的と具体的は、相手の行動で見ます。一歩ごとに口に出して確認することは求めません。
何も言わずに、体の動きだけで示すのは同意?
どんな動きかによります。自分からあなたの手を取る、あなたを引き寄せる、キスを返す。これはとてもはっきりした同意です。ただ動かない、何も言わない、体がこわばっている。これは応えているとは言えないので、まず止めます。
法律でいう同意も、この記事と同じ?
完全に同じではありません。法律は国や地域によって違いますし、この記事は法律の助言でもありません。日本では2023年の刑法改正で「不同意性交等罪」が設けられ、アルコールの影響などで同意しない意思を示すことが難しい状態での性的な行為も処罰の対象になりました。相手が酔っている、未成年である、はっきり断ったあとも続ける。こうしたことは多くの国や地域で罪になりえます。その線からはできるだけ遠くにいてください。