夜10時、二人でソファにもたれてドラマを見ている。テーブルの上で相手のスマホが光って、LINE の通知に「笑 前に朝までカラオケしたの覚えてる?」と出る。送ってきたのは相手の元恋人。相手はちらっと見て少し笑い、返信はせずにドラマに戻る。あなたはその回の内容がまったく頭に入らない。考えているのはひとつだけ。こんなに嫉妬深いのを、どうしたら直せるのか。
「もう二度と嫉妬しない」はまず無理だし、そこまでしなくていい。練習するのは2つ。嫉妬がわいたその数分間、嫉妬に何もさせないこと。そして長い目で見て、あまり嫉妬する必要のない人になること。男女どちらでも同じなので、以下では「相手」と書く。
なぜそんなに嫉妬しやすいのか
嫉妬しているとき、怖いのは相手をほかの人に取られること。そこまで怖いのは、たいてい自分の重みが足りないと感じているか、手の中にこの人しかいないから。心理学者デイヴィッド・デステノらは実験で、第三者に注意を奪われる場面を用意し、嫉妬の強さのかなりの部分が、その人が自分の価値をどれだけ脅かされたと感じたかで決まることを示した。
だから嫉妬は、相手が何をしたかとはあまり関係ないことが多い。同じ元恋人からのメッセージでも、生活が充実していて、自分には選択肢がたくさんあると思っている人なら、見てそれで終わる。一日じゅう相手のことばかり考えている人は、一晩眠れなくなる。
それと、意外と気づかれていないことがある。嫉妬すると、あなたの立場はかなり下がる。嫉妬して張り合おうとするのは、買い物中に「ほかにも買いたい人がいます」と聞いた客が、あわてて値段を上げるのと同じ。相手は自分がモテると感じて、この関係でのあなたの重みはむしろ下がっていく。
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嫉妬がわいたとき:調べる、問い詰める、禁じる、の3つの手を引っこめる
嫉妬しているときにいちばんやりたくなるのはたいていこの3つで、いちばん事態を悪くするのもこの3つ。
調べる。相手のフォロー一覧をさかのぼる、誰に「いいね」したかを見る、相手がシャワーを浴びているあいだにスマホを見る。調べているそのときは少し安心する気がする。でも「何もなかった」という答えにたどり着くことはめったにない。よく見つかるのは、知らない名前や意味のわからない絵文字みたいな、はっきりしないもの。そしてもっと調べたくなる。心理学者エイミー・ミューズらは大学生308人を調べ、Facebook に使う時間が長い人ほど、そこでの恋人の動きに嫉妬しやすいことを見つけた。どうしても調べたくなったら、恋人のスマホを見るべきかで、なぜ調べても意味がないかを書いている。
問い詰める。「その人誰?」「どうやって知り合ったの?」「さっき何笑ってたの?」と一問ずつ重ねると、相手は守るしかなくなる。一問増えるたびに、あなたがどれだけ怖がっているかを相手はもう一度確かめる。
相手は守るしかない。全部答えられたとしても、あなたがどれだけ失うのを怖がっているかははっきり見えてしまう。
禁じる。「もうあの人とごはんに行かないで」「あの子、消して」。これがいちばん早くて、いちばん役に立たない。相手が本気でほかの人とどうにかなりたいなら、禁じても止められない。相手がもともと何も考えていなかったなら、禁じたことでかえって、あなたが心の狭い人に見える。
多くの記事がすすめる4つ目の手もある。相手のところへ行って「嫉妬しちゃった、大丈夫だって約束して」と言うこと。これは自分の不安を相手に預けるのと同じ。1、2回なら慰めの言葉がもらえるかもしれない。でも言う回数が増えると、相手はあなたのことを、いつもなだめてあげないといけない人だと感じるようになる。
ステップ1:やりすごす。嫉妬に代わりにしゃべらせない
嫉妬はたいてい先に体に出る。胸がつまる、胃がきゅっとなる、顔が熱くなる、急に嫌みをひとこと言いたくなる。そうなったら心の中で「今、嫉妬してる」と一回言う。認めるだけでいいし、自分を心が狭いと責めなくていい。それから何もしないで、別のことをする。シャワーを浴びる、ちょっと買い物に出る、仕事のメッセージに返信する。熱さはだいたい10分から20分で大半が引く。
よくある失敗:口では「別に」と言って、一晩じゅう冷たい口調で返事をして、ときどき嫌みをはさむ。これもまだ嫉妬していて、出し方を変えただけ。相手にはしっかり伝わっている。
ステップ2:自分の想像か、相手が本当に一線を越えたかを分ける
| 状況 | 例 | どうするか |
|---|---|---|
| 自分の想像 | 元恋人からメッセージが1通来た、相手が同僚と楽しそうに話している、相手が異性の投稿に「いいね」した | 反応しないで、いつもどおり過ごす。相手は何もしていないので、問い詰めた時点で「怖い」と伝えていることになる |
| 相手があおっている | わざと「また誰かに言い寄られた」と言う、異性とごはんに行った写真を載せる、集まりであなたの友だちとやけに親しげにする | 乗らないで、いつもどおりほかの人と話す。あなたが動じないとわかると、しばらくして相手のほうから寄ってくる |
| 相手が本当に一線を越えた | 夜中にずっと元恋人と悩み相談をしている、どこに行ったかでうそをつく、気になっている人の話をしょっちゅうあなたの前でする | 自分の線を一度だけ伝えて、そのあと相手がどうするかを見る |
嫉妬のほとんどは1つ目に入る。2つ目もよくある。わざと「誰かに言い寄られてる」とあなたの前で話して、あなたがあせるか見ようとする人もいる。いちばんいい返し方は、乗らずに話を変えること。
誰なのかを聞かない、相手と一緒にその人を悪く言わない、嫌みも言わない。あなたがまったくあせっていないことが相手に伝わる。
ステップ3:本当に一線を越えたら、一度だけ線を引く
相手が本当にあなたの受け入れられないことをしたら、言う。問い詰めなくていいし、どれだけつらいかを話さなくていい。何を受け入れないかだけを言う。
ひとつのことに、線をひとこと。細かく聞かない、誓わせない。言ったら自分のことに戻る。
言ったあと、相手がやめたらその話は終わり。やめないなら、あなたが考えるのは、この関係を続けるかどうか。あなたの態度が「そうするなら、もう終わりにする」なら、相手はかえって勝手なことをしにくくなる。あなたの態度が「お願いだからやめて、怖いの」だと、相手はかえって問題を起こしやすくなる。
ここで使えるのが課題の分離。相手が誰と連絡を取るかは、相手の課題。あなたがそれを受け入れられるか、ここに残るかは、あなたの課題。相手のスマホは管理できないけれど、自分が続けるかどうかはいつでも自分で決められる。課題の分離の無料レッスンにもっと練習がある。
長い目で見ると:自分に選択肢を持つ
嫉妬が少ない人で、生まれつきおおらかな人は意外と少ない。たいていは生活が充実しているから。自分の仕事があって、友だちがいて、鍛えている体や趣味があって、この関係が終わっても次の人は見つかるとわかっている。本気でそう思っている人は、相手がほかの人と楽しそうに話しているのを見ても「好きにすれば」と思うだけ。
だから嫉妬深いのを直すなら、いちばん効くのはこれ。
- 相手のために手放したものを拾いなおす。友だちとの集まり、運動、習いたかったこと。
- 自分をずっと前に進め続ける。仕事、収入、体つき、視野。少なくともどれかひとつは伸びている状態にしておく。
- たくさんの人と知り合う。まだお互いだけと会うと決めていないなら、どんどん出かけて人と知り合う。もう付き合っているなら、普通の人付き合いを続けて、相手を自分の世界のすべてにしない。
条件は悪くないのに、それでも心のどこかで自分は負けると思ってしまうなら、無料レッスンの条件はそろっているのに釣り合わない気がするがそのずれを専門に扱っている。
恋人の異性の友だち、元恋人:いちばん引っかかりやすい2つ
相手にすごく仲のいい異性の友だちがいる。よくあることだし、何かあるという意味でもない。いつもどおり付き合えばいいし、機会があれば一緒にごはんを食べてもかまわない。嫉妬の多くは想像から来ている。集まりで相手がその友だちと盛り上がっていたら、あなたはあなたでほかの人と話す。夜中の1時にまだ個別メッセージで悩み相談をしている、のような具体的に嫌なことがあるなら、ステップ3のとおりにそのことを言う。
相手が元恋人とまだ連絡を取っている。まずどのタイプかを見る。共通の友だちの輪でたまに顔を合わせる、仕事や子どものことで連絡が必要、それとも個人的によく話して、悩みを打ち明け合っている。前の2つは生活の一部なので、口を出さなくていい。3つ目なら自分の線を伝えていい。別れたあとの友だち関係がいつ成り立つかは元恋人と友だちに戻れる?を、どんな連絡が一線を越えるかはどこからが浮気?を見て。その線をどうはっきり言うかをまとめている。
進歩しているかどうか、どうわかる?
「もう嫉妬しなくなる」はまず無理なので、こういうことが起き始めているかを見る。
- 嫉妬したとき、まず動かずにいられる回数が増えてきた。
- スマホを調べないと安心できない、ということがなくなった。
- 相手があなたの前でほかの人の話をしても、笑って流して話を変えられる。
- 同じことで嫌な気分が続く時間が、一晩から10分になった。
- 生活がどんどん充実して、相手が誰と話しているかを考えるひまがないときもある。
ここまでやっても嫉妬が大きすぎて生活をのみこんでいるなら、たとえば毎日どうしても相手のスマホを見てしまう、もう睡眠や仕事に響いているなら、公認心理師や臨床心理士などのカウンセラーに話してみて。
嫉妬は愛情の表れなのかは嫉妬は愛情の裏返し?に書いている。恋愛のほかの悩みは恋人との関係のトピックページにまとめている。
セルフチェック:嫉妬をうまく扱えるか、3問
1. 相手の元恋人からメッセージが来て、相手は返信しなかった。あなたはその回のドラマがまったく頭に入らない。最初の一歩は?
2. 相手が「また同僚がしつこくごはんに誘ってくる、めんどくさい」と言った。いちばんいい返しは?
3. 相手が最近、夜中によく元恋人と悩み相談をしている。いいのはどれ?
よくある質問
嫉妬したことは相手に伝えるべき?
ふつうの嫉妬なら、言わなくていい。「嫉妬した」と言うのは、相手を失うのが怖いと伝えることで、何度も言うとあなたはどんどん軽く見られる。やりすごして、自分のことに戻る。相手が本当に一線を越えたことをしたら、自分の線を言う。「それは受け入れない」。これは嫉妬したと伝えるのとは別のこと。
嫉妬が抑えられないときはどうする?
嫉妬するかしないかは、もともと抑えられないので、抑えなくていい。練習するのは、嫉妬がわいたあとの数分間。まず気づく、まず動かない、別のことをする。長い目で見れば、手の中の選択肢が増えるほど、嫉妬は自然に減る。
恋人に独占欲が強いと言われた。どう直す?
まず調べる、問い詰める、禁じるをやめて、相手に「もうスマホは見ない」とひとこと言い、本当にそのとおりにする。それから力を自分に戻す。友だち、仕事、運動。あなたの世界が大きくなれば、独占欲は自然に小さくなる。
自分の嫉妬が当たっていて、相手に本当に問題があったら?
ありうる。相手がうそをついている、わざと隠しているなら、なおさらこっそり調べない。見た事実をそのまま言う。「会社にいるって言ってたけど、あなたの友だちは一緒にごはんを食べてたって言ってた。だまされるのは嫌だ。」そして相手がどうするかを見る。相手が本当にあなたをだましているなら、それは信頼の問題になる。どう考えるかは恋人を信じられないときは?に書いている。