恋愛で不安で落ち着かないとき、いちばんしたくなるのは、相手に安心させてもらうことです。「好きだよ」「どこにも行かないよ」を何回も言ってもらう、行く場所ごとに報告してもらう。求めるたびにほっとしますが、そのほっとした気持ちがもつのは、相手の返信が次に遅れるとき、相手が次に同僚とカラオケに行くと言うときまでです。もっと役に立つやり方は2つの半分に分かれます。半分は、警報が鳴ったときに自分で自分を落ち着かせること。もう半分は、自分の生活を広げて、相手のメッセージ1通があなたという人間まるごとを支えなくて済むようにすることです。
安心感がないとき、何を探している?
よくある夜を見てみます。恋人が、仕事のあと大学の友だちと飲みに行くと言います。あなたは「楽しんできてね~」と返し、そのまま40分音沙汰がない。SNS を開いて友だちの投稿を探すと、テーブルを囲んでみんながビールを掲げて楽しそうに笑っています。本当なら安心していいはずなのに、かえっていらいらします。写真を撮る暇はあるのに、返信する暇はないんだ。11時半に相手が帰ってきて、あなたは半分冗談で聞きます。「あっちのほうが楽しいんでしょ?」相手は「そんなことないよ、会いたかった」と言い、あなたはほっとします。次の日のお昼、同じ気持ちがまた戻ってきます。
心理学には「過剰な安心希求」という言葉があります。自分は嫌われていない、捨てられないということを、何度も相手に確かめることです。安心させてもらうたびに不安は一時的に下がり、その下がること自体がごほうびになるので、次はもっと早く手が伸びます。困るのは、安心の効き目がどんどん短くなり、相手もどんどん疲れていくことです。人は疲れると答えが少しおざなりになり、あなたはそのおざなりさをまた証拠として読みます。心理学者のトーマス・ジョイナーらは大学のルームメイトを調べました。気分が落ち込んでいて、何度も安心を求める人は、ルームメイトから距離を置かれやすかったのです。ルームメイトでさえ疲れるのですから、恋人ならなおさらです。
安心させてもらうと不安は一時的に下がり、その下がること自体がごほうびになって、次はもっと早く手が伸びます。
もうひとつ、あまり言われないことがあります。安心をずっと求め続けると、相手の目には「自分を失うのがすごく怖い人」に映ります。あなたが離れられないと確信している人ほど、あなたを大事にしなくなります。だからこの記事の目標は、「ずっと求める」を「まず自分を落ち着かせて、気持ちの大半を自分に戻す」に置きかえることです。不安で落ち着かない気持ちがひと晩で消えることはありませんが、少しずつ小さくすることはできます。
恋愛の不安から抜け出す5つの練習
1. 警報が鳴ったら、まず警報だと認める
不安の反応はとても速く、胸がぎゅっとしたときには、指はもう LINE を開いています。最初の練習は、そこに一時停止をはさむだけです。心の中で「自分の警報が鳴ってる」と言います。それから、事実と物語を分けて書きます。
| 事実 | 頭の中の物語 |
|---|---|
| 相手から40分返信がない | 相手は友だちといると自分のことを忘れる |
| 投稿でみんなが笑っている | 自分がいないほうが、相手は楽しい |
| 帰ってきた相手が「会いたかった」と言った | ただ適当に言っているだけ |
左の列はたいていびっくりするほど短く、右の列は1ページ埋まるほど書けます。この練習で「何もかも大丈夫」と自分を説得する必要はありません。自分をつらくしているものの大部分が右の列に住んでいる、と気づくだけで十分です。
愛着理論では、不安型寄りの人は距離のサインにとくに敏感です。これはとても感度よく調整された警報で、性格の欠点ではありません。自分がどちら寄りかを知りたいなら、まずサイト内の愛着スタイル診断をやってみて、それから愛着スタイルのインタラクティブなレッスンで、結果を毎日の中でどう使うかを見てください。それぞれのタイプがどんなものかは、愛着理論とはにくわしく書いています。
よくある失敗:口では「これは警報だってわかってる」と言いながら、手は相手のフォロー欄をスクロールしている。名前をつけたら、手も一緒に止めます。
2. 不安に20分あげる。でもハンドルは渡さない
警報だと認めても、すぐには止まりません。このときいちばんよくある反応は2つです。ひとつはすぐ動くこと。続けて送る、電話する、SNS を調べる。もうひとつは自分を責めること。「また始まった、本当にうんざり。」どちらも警報をもっと大きくします。
もっと効くのは、不安がそこにあるのを許しつつ、その指示どおりには動かないことです。20分のタイマーをかけて、その間は体を使うことをします。シャワーを浴びる、下のコンビニに飲み物を買いに行く、お皿を洗い終える、ゆっくり何分か息を吐く。時間が来たら、メッセージを送るかどうかを決めます。そのころにはもう送りたくなくなっていることがよくあります。まだ送りたいとしても、口調はふだんの自分に近くなっています。
緊張を認めて、さらに自分を責めない。このやり方は緊張していいの無料レッスンでじっくり練習できます。レッスンはデート前の場面を使っていますが、仕組みはまったく同じです。怖さを否定するほど、怖さは大きくなります。
よくある失敗:20分を「我慢する時間」にして、歯を食いしばってスマホを見つめながらカウントダウンすること。こらえても自分は落ち着きません。落ち着くのは、注意を体のほうに移したときです。
3. 安心を求めるのをやめる。報告もさせない
「まだ好き?」「いなくなったりしない?」は答えの出ない問いで、答えてもらってもまた聞くことになります。これはよくないとわかっている人の多くは、別の形で求めるようになります。飲み会が11時を過ぎたら1通送ってもらう、誰とごはんに行くか先に言ってもらう、お昼にお弁当の写真を送ってもらう。具体的で筋が通っているように見えますが、中身は同じです。自分の安心を相手に預けているのです。相手が覚えていれば、1日安心できる。相手がある日忘れたら、警報はもっと大きく鳴ります。
だから3つ目の練習はシンプルです。聞かない、報告もさせない。相手が飲み会に行くと言ったら「わかった、楽しんできて」と返して、自分の夜を過ごします。
何時に帰るかも聞かないし、無事の連絡も求めません。あなたはいつもどおり夜を過ごし、相手が帰ってきたときも待ってはいません。
本当に会いたいなら、会いたいと言えばいいです。「今日はちょっと会いたい」はごく普通のことです。会いたいと言うのと、安心させてと求めるのは別のことで、前者は気持ちを分け合うこと、後者は安心をねだることです。
よくある失敗:口では「わかった」と言っておいて、30分ごとに相手の投稿を開くこと。手も一緒に止めます。
4. 価値の感じ方の一部を、自分の手に取り戻す
不安の中には、相手が何をしたかとはあまり関係なく、もっと根っこのほうにある感覚もあります。「自分は足りない。相手もいつか気づく。」こういうとき、相手がどれだけ安心させてくれても届きません。心の中に、いいことを言われるたびに「それはまだ本当の自分を見ていないから」と訳し直す声があるからです。
条件がよくなっても、自分は釣り合うと感じられるとは限りません。この2つは別々に手当てする必要があり、無料レッスン条件はそろっているのに、釣り合わない気がするで扱っているのがまさにこのずれです。実際の練習はごく小さいものです。
- 毎週ひとつ、恋人と関係のない、自分のためだけのことを残しておく。決まった運動、習いごと、友だちとの夕食。相手が急に空いたからといってキャンセルしない。
- 自分が前に進み続けるようにする。仕事、収入、体、視野。少なくともひとつは伸びていれば、自分への評価は自然と上がっていきます。
- ふつうの人づきあいを続ける。まだお互いだけと会うと決めていないなら、どんどん人と知り合う。もう付き合っているなら、相手を自分の唯一の世界にしない。
不安で落ち着かない人の多くは、根っこに「自分には選べるものがない」という感覚を持っています。手元にこの人しかいないので、誰が近づいてきても脅威に見えるのです。相手がいなくてもちゃんとやっていける、ほかの人とも出会える、と本当にわかっていれば、相手の返信が1通遅れるくらいはそれほど怖くなくなります。相手があなたの心の2割を占めていれば十分で、残りはあなた自身の人生です。
よくある失敗:「自分の生活がある」を演じること。体はジムにいても心はスマホの上にあって、5分ごとに相手から返信が来たか見ている。演じた無関心は自分をだませないし、相手にも伝わります。
5. 小さな実験をして、脳のために反証を集める
不安は予測が得意ですが、答え合わせはめったにしません。この練習では、予測を書き出して、それを試します。
- 予測を書く。「今夜、相手が誰とごはんに行っているか問い詰めなかったら、ひと晩眠れないし、きっと何か隠している。」
- ひとつだけ変える。今回は問い詰めず、2つ目の練習で20分を過ごす。
- 実際に何が起きたかを記録する。何時に眠れた?次の日、相手は自分から昨夜の話をした?
- 2、3週間後に振り返る。予測は何回当たった?
たいていの人は、予言した大惨事が起きた回数は思ったよりずっと少なく、自分が乗り切れた回数は思ったよりずっと多いことに気づきます。安心感はこうやって育っていきます。「問い詰めなかったけど、世界は崩れなかった」を何度も何度も見ること。ある日やっと十分に安心させてもらって怖くなくなる、ということはめったにありません。
愛着の研究には「獲得された安定(earned security)」という言葉があります。心理学者のグレン・ロイスマンらは、23年にわたる追跡研究を使ってこのグループについて論じています。子どものころの経験はあまり安定していなかったけれど、大人になってから安定した関係、振り返り、カウンセリングを通して、少しずつ安心できるようになった人たちのことです。愛着の傾向は変わります。ただ、変わるのはゆっくりで、小さな経験をたくさん積み重ねる必要があります。
よくある失敗:相手が何をしたかだけを記録して、自分のことを記録し忘れること。実験のポイントは、自分の予測が当たったかどうか、そして自分が何回乗り切れたかです。
先に分ける:警報が敏感すぎるのか、関係が本当に不安定なのか
ここまでの練習には前提があります。相手の行動がだいたい安定していることです。不安の中には、警報が敏感すぎるのとは関係なく、正確に鳴っているものもあります。
| 自分の警報が敏感すぎる場合に近い | 関係そのものが不安定な場合に近い |
|---|---|
| 相手は言ったことをやる。たまに返信が遅れるだけ | 電話すると言っておいて、そのまま消えることがよくある |
| こちらから連絡しなくても、相手から連絡してくる | こちらが連絡しないと、相手は何日も消える |
| 相手の生活はあなたに開かれている | スマホは伏せたまま、予定はあいまい、友だちにも会わせない |
| 温度の波はあるが、理由を説明してくれる | 熱くなったり冷めたりで、冷たくなるのはいつもあなたが近づいたあと |
右の列のことは、自分をなだめてのみ込まないでください。右の列にいくつもチェックがついたなら、問題は相手の頼りなさにあるかもしれず、あなたの安心感はその次です。続けてサインがはっきりしないときの見分け方と健全な関係のサインを読んでみてください。言ったことをいつもやらないなら、恋人との信頼関係の築き方のほうが合っています。
どんなときにカウンセリングを考える?
ひとりでの練習でもかなり遠くまで行けます。でも次のような場合は、専門の人に一緒にいてもらうほうがずっと早く、ずっと安全です。
- 不安が何週間も続いて、睡眠や仕事、食欲に影響している。
- 相手のスマホや位置情報を見るのがやめられず、あとで強く恥ずかしくなる。
- どの恋愛も同じところで詰まり、相手が変わっても同じ。
- この不安が過去と結びついている。たとえば浮気された、捨てられた、子どものころから大人の顔色を見て過ごしてきた。
- パニック発作が起きる、自分を傷つけたい気持ちがある。
カウンセラーに会うのは、あなたに「問題がある」という意味ではありません。ひとりではとても練習しにくい動きを、一緒に練習してくれるコーチを見つけるようなものです。2人ともその気なら、カップルカウンセリングという選択肢もあります。気持ちがいっぱいで、今すぐ誰かに話を聞いてほしいときは、日本ではよりそいホットライン(0120-279-338、24時間)やいのちの電話(0570-783-556)に電話できます。差し迫った危険があるときは、110番か119番へ。
不安がよく嫉妬の形で出てくるなら、嫉妬しやすいときはに、嫉妬がわいてきたときの落ち着かせ方のステップがあります。恋愛のほかの悩みは、恋愛関係のトピックにまとめています。
セルフチェック:自分を落ち着かせられるか3問
1. 相手から40分返信がなく、胸がぎゅっとした。最初の一歩としていちばんいいのは?
2. 相手が今夜、友だちと飲みに行くと言う。本当に安心できるのはどれ?
3. 相手は電話すると言ってはよく消え、こちらが連絡しないと何日も姿を見せない。このときの不安は?
よくある質問
安心感がないのは、自分の問題?相手の問題?
たいていは両方に少しずつあり、その割合は人によります。まず相手の行動が安定しているかを見ます。言ったことをやり、こちらから連絡しなくても相手から連絡してくるなら、おもな宿題はあなたの側にあります。よく消える、嘘をつく、こちらが連絡しないと姿を見せなくなるなら、その不安の一部はもっともなものです。
安定型の愛着はどうやって育てる?
近道はありません。確かな道は、小さな経験を何度も重ねることです。警報が鳴ったら先に自分を落ち着かせる、問い詰めなかったけど何も起きなかった、予測した大惨事が起きなかった。それに加えて、自分の生活がどんどん充実していくこと。安定した関係とカウンセリングは、どちらもこの過程を少し早めてくれます。
相手にずっと安心を求めていると、相手は離れたくなる?
なります。たまにひと言聞くくらいは問題ありません。でも同じ質問をくり返し、答えてもらっても信じないと、相手は何をしても足りないと感じ、あなたは離れられないとますます確信するようになって、ときめきも下がっていきます。報告のルールに置きかえず、そのまま止めて、力を自分に戻します。
恋愛の不安は、忙しくしていれば治る?
助けにはなりますが、忙しくするのは本当に自分にとって意味のあることにしてください。仕事、体、友だち、新しく知り合う人。考えないためだけに予定を詰め込んでも、手が空いたとたんに不安は戻ってきます。生活が本当に広がったとき、不安も一緒に小さくなります。不安が出てきたときは、それまでどおり最初の2つの練習で落ち着かせます。