「女の『いや』は『いい』ってこと」
「口ではいやって言ってても、本当はしたいんだよ。もっとぐいぐい行かなきゃ」
「押しに弱いくらいがかわいいでしょ」
こうした言い方は、日本ではひとつのことわざにまとめられています。「嫌よ嫌よも好きのうち」。表では嫌がっていても、本当はもう一歩進んでくれるのを待っている、という意味です。ドラマ、ネットの書き込み、友達どうしの「経験談」に出てきて、長く言われ続けるうちに常識のようになってしまいました。
「嫌よ嫌よも好きのうち」は本当なのか。押し切られてうなずくのは同意なのか。答えははっきりしています。ときどき心の中で迷っている人がいるとしても、あなたはその場で、どの「ノー」がうそかを見分けられません。そして読み違えたときの代償はとても重い。だから「ノー」はノーです。親密になっている途中で彼女が体を引く、あなたを押しのけるのも、ノーです。このサイトのレッスンでは、はっきりした拒否に「うその拒否」という分類はありません。彼女がひとつの誘いに気がかりを持っているのは別の話で、下で分けて説明します。
「嫌よ嫌よも好きのうち」を信じる人が多いのはなぜか
ドラマが「あきらめないこと」を深い愛として描く。多くの恋愛ドラマの名場面では、片方が背を向けて立ち去ろうとすると、もう片方が手首をつかんで引き戻す。あるいは、いきなり壁ドンする。断られても追いかける、家の前でひと晩待つ、人前で大声で告白する。物語は最後に相手が「心を打たれる」ように進みます。見慣れるうちに、見る側は「『ノー』は障害で、障害を越えるのがロマンス」だと覚えてしまいます。
ネタやミームが、それを笑い話にする。「おもしれー女」のような少女マンガのヒーローのセリフは、みんなが冗談に使います。でも、その裏にある筋書きは同じです。相手の断りは、ゲームの一部にすぎない。
友達の「アドバイス」。「女の子は最初は一回断るもんだって。じゃないと軽く見えるから」「本当に嫌ならとっくに帰ってるよ」。たいていは善意で、応援しているように聞こえます。でも実際は、許可証のように働きます。
この考え方は便利だ。「ノー」が「いいよ」かもしれないなら、断られたことに真正面から向き合わなくて済みます。この思い込みがこれほど長く生き残っている理由のひとつがこれです。守られているのは聞いた側で、聞かれた側はかえって守られていません。
本当に「ノー」と言いながらしたい人はいるのか
ここははっきりさせておきます。この思い込みは、本物の研究を後ろ盾にすることがよくあるからです。1988年、心理学者のシャーリーン・ミューレンハードとリサ・ホラボーは、アメリカの女子大学生610人に、実は性行為をするつもりだったのに「ノー」と言ったことがあるかを聞きました。39.3%が少なくとも一度はあると答えました。この数字はその後何年も、「嫌よ嫌よも好きのうちはよくあること」の証拠として引用されました。
10年後、ミューレンハードとキャリー・ロジャーズは、女性65人と男性64人に、そうした経験を自分の言葉で書いてもらいました。すると、ほとんどの人が書いた話は、「ノーと言ったが本当はしたかった」という定義にまったく当てはまりませんでした。多かったのは、気持ちが揺れていた、あるいは、したいけれど今夜ではなかった、という話です。多くの人は「ノー」と言ったとき本気でした。研究者の結論は、「ノー」と言う人のほとんどは本当にノーの意味で言っている、というものでした。別の研究では、アメリカ、ロシア、日本の大学生1,519人を調べて、男性もこうした経験を報告していて、アメリカのサンプルでは割合が女性より高いことさえ分かりました。だからこれは、最初から「女性の手口」などではありません。
ここから2つのことが言えます。ひとつは、したい気持ちと同意は別のものだということ。人はあなたに惹かれながら、しないと決めることができます。その決定が答えです。もうひとつは、あとで「実はあのとき少しその気だった」と言う人がいたとしても、その場であなたに分かるはずがないということ。多くの場合、相手自身もその場ではまだ気持ちがまとまっていません。
このサイトが「うその拒否」という分類を使わない理由
心の中に引き出しがひとつあると想像してください。ラベルには「本気じゃないノー」と書いてある。困るのは、聞きたくない答えなら何でもそこに放りこめてしまうことです。笑いながらのノー、言ったあとに少し笑ったノー、1時間前に手をつないでいた人のノー。引き出しがある限り、それはいっぱいになっていきます。だから、引き出しそのものを取り払います。無料レッスン「ノー」はノーで話しているのがこれです。
2つの方向に読み違えたときの代償を比べてみます。
| 相手の「ノー」を…と受け取った | 実は読み違えていた | 代償 |
|---|---|---|
| 本当のノー | 相手は心の中で少し迷っていた | キス1回、ひと晩がひとまず起きなかった。相手はあとから自分のやり方でまた切り出せる |
| 嫌よ嫌よも好きのうち | 相手は本当にいやだった | あなたは人の拒否を越えた。相手は長く残る傷を負うかもしれないし、あなたは法を破るかもしれない |
1つ目の間違いは、せいぜい少し惜しいくらいで、十分に取り返しがつきます。2つ目の間違いは、取り返しがつきません。代償にこれだけ差があるなら、確率を計算する必要はありません。
とても現実的な理由もあります。相手があとで本当に答えを変えたくなったとき、尊重のある付き合い方をしていれば、それがかえって簡単になります。相手は、あなたが「ノー」を聞けば止まる人だと知っているので、次に「いいよ」と言いたくなったとき、事態が手に負えなくなる心配をしなくていい。押し続けていると、相手のどの言葉も当てにならなくなります。「いいよ」も含めてです。
ためらいはノー?まず彼女が何をためらっているのかを見る
はっきりしない返事を全部ひとまとめにする人は多いですが、実際には3つに分けて見る必要があります。
これは「ノー」なので、言葉どおりに受け取る:「今日はやめとく」「そろそろ帰らなきゃ」「帰る」。立ち上がってバッグを持つ、手を引っこめる。読み解く必要はありません。止めて、家まで送るべきなら送ります。
ひとつの誘いに気がかりがある:「初対面でいきなり家はよくないよね」「明日も仕事だし」。そう言いながら、まだその場にいて、話していて、一緒に歩いている。これは彼女が自分にどう説明をつけるか考えているところで、ひと言で引き下がる必要はありません。何が心配か聞いて、その気がかりに合わせて返す。冗談で気がかりを軽くする。あるいは本当のことをそのまま言う。あなたはしたいと思っている。でも彼女がしたくないなら、何も起きない。それを聞いても彼女が行かない、帰ると言うなら、1つ目と同じです。家まで送ります。
ちゃんと聞いて、本当のことを言って、彼女に選んでもらう。「行かない」と言われたら、駅まで送ります。
親密になっている途中で「早すぎる」「まだ知り合ったばかりだし」「どうしよう」と言う、または体がこわばる:このときはまず止めます。手を戻して、もとの距離に座り直して、彼女が自分からまた近づいてくるのを待つ。彼女がまた寄ってきて応えてきたら、そこで続けます。寄ってこなければ、今夜はここまでです。このときは説得する方法を考えないこと。無料レッスンためらいを見分けるで、もっと場面を練習できます。相手がためらっているのが関係そのものなら、「考えさせて」と言われたらを見てください。
相手の側から見ると、「もうひと押し」はどう感じるか
ここで話すのは、彼女がもう「ノー」と言ったあとのことです。圧力をかけている人は、自分が圧力をかけているとはめったに思っていません。たいていは「説得している」と思っています。でも1回押すたびに、相手はもう一度断って、もう一度説明して、もう一度あなたのがっかりに対処しなければなりません。断るコストは回を重ねるごとに上がっていきます。4回目にやっと口にした「いいよ」は、この状況を止めるのにいちばん早い方法だっただけかもしれません。
3つのメッセージが、どれも相手にもう一度断らせようとしています。
「ノー」を聞いたあとは、次のことはどれも言わないこと。
- 「そっちもしたいくせに」。相手自身より自分のほうが相手のことを分かっている、と言っているのと同じです。
- 「しらけること言うなよ」。相手の境界線を、性格の問題にすり替えています。
- 「ここまで来たんだし」。どこまで進んでいても、続ける理由にはなりません。
- 断られたとたん急に冷たくなって、黙りこむ。相手が謝るか譲るまで。これは断ったことへの罰で、相手は「ノー」と言うと代償を払うことになると学びます。
- 言い方を変えて、もう一度聞く。問題があなたの言葉選びにあったかのように。
こうした「先にレッテルを貼って、それから冷たくする」連続した圧力は、無料レッスン何度も頼むのは圧力でくわしく分解しています。あなた自身の立場から見ても、割に合いません。粘って引き出した「いいよ」は、彼女が次の日に思い返して後悔するだけです。あなたを消したり、あとで無理やりだったと言ったりするのは、こうしたことから生まれます。
あいまいなところでは、こうする
- したいことを言い切る形で言う。「キスしたい」。あるいは、ゆっくり少し近づいて、彼女がどう応えるか見る。寄ってくる、応えてくるなら「いいよ」ということです。ずっと「いい?」と聞く必要も、後ろに「嫌なら全然いいからね」を並べる必要もありません。
- 彼女が体を引く、あなたを押しのける、体がこわばるなら、止める。それでも優しくしていていいし、今夜をちゃんと最後まで楽しく過ごしていい。
- 誘いへの気がかりには、一度聞いて、一度本当のことを言う。それでも行かないと言われたら、家まで送ります。言い方を変えてまた説得しない。
- 「今日はやめとく」は言葉どおりに受け取る。また今度かもしれないし、ずっとないかもしれない。どちらにしても、20分後ではありません。
- 「ノー」と言うのがあなたで、心の中で迷っているなら、複雑な気持ちのまま「ノー」と言っていいです。あとで気が変わったら、それを言うかどうか、いつ言うかはあなたが決めます。
優しいまま、今夜を最後まで過ごす。いい雰囲気は残っています。彼女があとで自分から寄ってきたら、またゆっくり進めばいい。
「押してだめなら引いてみろ」は、同意とよく一緒に語られます。まるで同じことの段階が違うだけのように。この2つは関係がありません。じらす駆け引きがなぜ裏目に出やすいかは、じらすのは効く?に書いています。同意の基本は同意とは何かにまとめています。ほかの記事は同意のトピックにあります。
あなたの「ノー」が無視されたことがあるなら、それはあなたのせいではありません。安全を優先してください。性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター #8891 に電話できます。緊急のときは110番です。
セルフチェック:「ノー」を聞き取れる?
1. 相手が笑いながら「いやだってば」と言った。安全な受け取り方は?
2. キスの途中で、彼女が体を引いて「あ、どうしよう……」と言った。このあとは?
3. 散歩していてあなたの家の前まで来たら、彼女が「初対面で上がるのは、よくないよね」と言った。まだ立ったまま話している。このあとは?
4. よく引用される1988年の研究は、その後どうなった?
よくある質問
女性が「いや」と言うのは、本当にいやということ?
そうです。言っているのが誰でも、笑いながら言っていても、「いや」は言葉どおりに受け取ります。相手の心の中に迷いがあるとしても、それは相手が自分で整理することで、あなたが相手の代わりに決めることではありません。
押し切られてうなずくのは、同意?
同意ではありません。親密になっている途中で彼女があなたを押していたら、その「押す」が止まるサインです。手を戻して、もとの距離に座り直して、彼女が自分からまた近づいてくるのを待つ。彼女がまた寄ってきて応えてきたら、それが「いいよ」です。
ためらいはノー?
彼女が何をためらっているかによります。親密になっている途中のためらいなら、止めます。ひとつの誘いへの気がかりで、まだその場にいて、話も続けているなら、何が心配か聞いて、本当のことを言っていいです。それでも行かないと言われたら、家まで送ります。
相手は最初「ノー」と言ったのに、あとで自分からキスしてきた。どういうこと?
人は気が変わることがあります。どちらの方向にもです。彼女が自分から寄ってきてキスしたなら、それが彼女の新しい答えなので、それに合わせていいです。この先の一歩一歩も、同じように彼女の反応を見ます。また体を引いたら、また止めます。
断られたあと、日を改めてもう一度誘ってもいい?
相手が言ったのが時間の問題で(「今日はやめとく」「今週は無理」)、2人の雰囲気も悪くないなら、日を改めて一度誘うのはかまいません。やり方は「また今度ね」は脈なし?にあります。はっきり断られたなら、もう誘わずに、ほかの人と知り合いに行きます。