遠距離恋愛が続くかどうかは、距離そのもので負けることはあまりない。よくあるのは「リズムがない」ことで負けるパターン。今夜ビデオ通話するのかわからない、次にいつ会えるのかわからない、これが何年続くのかわからない。「わからない」をひとつずつ想像で埋めることになって、想像はたいてい悪いほうへ転がる。
下の10個は、ほとんどがリズムを作るためのもの。おおまかな電話の予定表、会う日のカレンダー、口に出して言える終わりの日。二つの都市に分かれていても、海をはさんでいても、太平洋の向こうでも、原則は同じ。
まずリズムを作る
1. 「この距離はだいたいいつまで」を話しておく
これをいちばん上にしたのは、ほかの全部がこれに支えられてるから。遠距離でいちばん削られるのは、あとどれくらい会いたい気持ちを抱えればいいのかわからないこと。会いたい気持ちそのものは、案外耐えられる。
終わりの日は何日と決まってなくていい。でも、二人とも口に出して言えるバージョンはほしい。「来年の6月に修士を卒業したら、戻ってきて仕事を探す」「まず2年やってみて、2年目の年末までにはどっちかが引っ越す」。今どうしても言えないなら、せめて「この話をいつもう一度するか」の日を決めておく。
よくある失敗:話すとケンカになりそうで、ずっと先延ばしにする。話さないままだと、二人の頭の中にそれぞれ別のバージョンができて、ある日合わないとわかったとき、今話すよりずっと深く傷つく。
2. 電話のおおまかなリズムを決める。出勤表にはしない
たとえば平日は2晩だけ30分ずつビデオ通話して、週末は長めの時間をとる。ほかの日はメッセージだけでいい。ポイントは「おおまか」にしておくこと。何曜日に話せるか二人ともわかっていれば、毎晩スマホを握りしめて待たなくていい。
リズムは二人で決めて、変えてもいい。今日は残業、明日は友だちとごはん、というときは先にひとこと言えばいい。「今日は会社の飲み会で、帰りは11時になる。明日にしよう。」
よくある失敗:リズムを出勤管理にしてしまう。5分遅れて電話したら文句を言われる、毎回必ず1時間話すことになってる。そうなると予定表は、二人を安心させるものから、守れなかったほうを捕まえるものに変わってる。もうひとつは詰めこみすぎ。毎日寝る前まで話して、なんでも報告していると、話すことはすぐに日報だけになって、会うのがそれほど楽しみじゃなくなる。LINE は少なめにしておくから、会ったときに熱くなれる。
3. 時差:まず二人とも起きてる時間帯を探す
同じ時間帯に住んでるならこれは飛ばしていい。時差があるなら、まず座って、お互いの1日の流れを並べてみる。日本とアメリカ西海岸の時差は16時間か17時間で、アメリカがサマータイムかどうかで変わる。サマータイムなら、日本の夜10時はロサンゼルスの朝6時。日本の朝8時は、ロサンゼルスの前の日の午後4時。だからちゃんと話せる時間は、だいたい「片方の朝と、もう片方の夜」になる。
重なる1、2時間を固定しておくほうが、毎日その場で合わせるよりずっと楽。交代で合わせるのもあり。今週はこっちが早起きして、来週は相手が夜ふかしする。
よくある失敗:いつも同じ人が合わせてる。夜中の1時までビデオ通話を待ってる側にたまっていくのは、目の下のクマだけじゃない。「なんでいつも自分なんだ」もたまっていく。
4. 次に会う日は、いつもカレンダーに入れておく
会って帰ってきた直後の数日がいちばんつらい。次の日がもう決まってるだけで、かなり楽になる。おすすめは、毎回別れる前に次を決めること。航空券が買えるならもう買っておく。
会う頻度は距離と予算しだい。電車やバスで数時間なら、2、3週間に1回はよくある。飛行機で1、2時間なら、1、2か月に1回はそれほど難しくない。大陸をまたぐなら、年に2、3回でもかなり頑張ってる。お金のこともはっきりさせる。誰が行くのか、航空券をどう分けるのか、今回はどっちの街に行くのか。交代でもいいし、収入の割合で分けてもいい。ちゃんと決めておいて、黙って心の中で帳簿をつけないこと。
よくある失敗:会うたびに観光の予定を詰めこんで、朝から晩まで遊んで、帰ってから二人でちゃんと話してなかったと気づく。1、2日は「普通の日」を過ごす時間を残しておく。一緒にスーパーに行く、相手の家の近くで朝ごはんを食べる、相手が平日の夜をいつもどう過ごしてるかを見る。どこに遊びに行くかより、将来同じ街に住んだらどうなるかがよくわかる。
毎日の連絡:報告は少なめ、一緒に何かするのを多めに
5. 「今日どうだった」だけで終わらせない。一緒にやることを見つける
遠距離で話しつづけてると、だんだん二人が交代で日報を出すだけになりがち。「今日会議だった」「こっちも」。気持ちが冷めたとは限らなくて、話題が報告しか残ってないだけ。
一緒にできることを探す。同じドラマを同時に見て、LINE でツッコミを入れ合う。ビデオ通話しながら同じ料理をそれぞれ作る。同じスマホゲームをやる。地図のストリートビューで、家の近所のパン屋を案内する。ときどき物も送る。手書きのカード、相手のほうでは買えないお菓子。小包を開ける数分は、メッセージ10通よりずっと存在感がある。
よくある失敗:話すことがないのに無理に話して、盛り上がらないとまた不安になる。ビデオ通話はつないだまま、それぞれ自分のことをして、ときどき顔を上げてひとこと話す。それもひとつの「一緒にいる」形。
6. 日常は文字で、難しい話は声で
文字は小さなことや写真を共有するのに向いてる。でもケンカ、誤解、すごく落ちこんでるときは、打ちこむと特にこじれやすい。口調が見えないし、返信まで何時間も空く。寝る前に送った「好きにすれば」ひとつで、時差の向こうの相手は一晩中つらくなる。
文字から電話に切りかえたいときは、今大丈夫かを先に聞く。だめと言われたら、時間を決める。
難しい話は文字に頼らない。相手が今だめなら、時間を決める。
どう切り出すか、なぜ先に聞くのかは、20秒のボイスメッセージのレッスンで練習できる。文字と電話がそれぞれ何に向いてるかは、電話とLINE、どっちがいい?の比較表を見て。
よくある失敗:聞かずにかけつづける。相手が会議中でも寝てても、かまわずかける。ここまで来ると会いたい気持ちを超えていて、圧力になってる。
7. 大きな約束より、小さな約束
「来年は一緒にアイスランドに行こう」はいい響き。でも遠距離で心を落ち着かせてくれるのは、「10時に電話する」と言ったら10時にかけてくること。相手がそばにいないと、何をしてるのかは見えない。見えるのは、言ったことが守られてるかどうかだけ。
だから小さなことを特に大事にする。送ると言った写真を送る、約束した電話に時間どおりに出る、急に無理になったら先に言う。たまに忘れるのは問題ない。同じことが何度も守られなくて、毎回言い訳があるなら、話し合いに出す。小さな約束で人が頼りになるかを見るのが、無料レッスンの言ったことを守るかで練習してること。
安心は、話して作る。調べて作らない
8. 二人ともそれぞれの生活を持つ
遠距離はすぐ「待機モード」になりやすい。仕事が終わったら家に帰ってビデオ通話を待つ、相手が起きてる数時間を逃したくなくて週末の誘いを断る。数か月なら持つけど、2年続けたら息がつまるし、話せることもどんどん減っていく。
自分の街に友だち、運動、趣味を残しておく。相手にも残しておいてほしいと思う。相手が同僚と飲みに行く、週末にキャンプに行くのは、こっちから離れたいからじゃない。自分の毎日を送ってるだけで、そのおかげで二人に新しい話題ができる。自分の時間と空間のレッスンで練習するのが、関係の中で自分の部分を守ること。
よくある失敗:相手の人付き合いを脅威として見る。相手が出かけるたびに一晩中不安になる、写真を送って報告しつづけてと言う。
9. 不安なときは、まず自分を落ち着ける。チェックにしない
遠距離で不安になるのは普通。顔が見えないと、つい想像がふくらむ。よくある対処は2つで、ひとつはチェックすること、もうひとつは相手に「すごく不安」と言いつづけて、もっと一緒にいて、もっと安心させてと求めること。どっちも不安を相手に預けてるから、相手は疲れるし、こっちもそれで安心できるわけじゃない。私たちの考えでは、役に立つのは不安の波が過ぎるのを待って、自分の生活に戻ること。毎日が埋まってるほど、相手の返信が1通遅れるのは大ごとに感じなくなる。
今日見たおもしろい光景の写真を1枚送って、自分のことをする
急にビデオ通話をかけて、本当に家にいるか確かめる
「楽しんで」
ずっと位置情報をオンにしておいてと言う
約束した電話の時間まで待って話す
相手が最近誰をフォローしたかたどる
チェックはしばらく安心できる気がしても、長い目で見ると必ず反動が来る。チェックされる側は疲れるし、チェックする側もそれで怖くなくなるわけじゃない。スマホを見たくなったとき、スマホを見せろと言われたとき、それが信頼なのか束縛なのかは、恋人のスマホを見るべき?で見分けられる。
10. ときどき「このやり方でまだ大丈夫?」と聞く
1、2か月に1回、急がない夜を選んで、リズムそのものについて話す。電話の回数は足りてる?会う予定は二人とも無理がない?終わりの日は変わってない?反省会じゃなくて、ちょっとした調整。転職、新学期、と生活が変われば、リズムも変えるのが当たり前。
話しているうちに、終わりの日がどんどん先に延びてる、頑張ってるのがいつも片方だけ、と気づいたら、それはまた別の問題。遠距離恋愛を続けるか迷ったらに、照らし合わせられる6つの質問がある。
遠距離でいちばん多い2つの失敗:調べすぎ、話さなすぎ
上の10個を裏返すと、遠距離がだめになる方向はだいたい2つ。
| 調べすぎ | 話さなすぎ | |
|---|---|---|
| どんな様子か | 報告を求める、位置情報をオンにさせる、抜き打ちでビデオ通話する、なぜ返信が遅いのか問い詰める | 何日もスタンプだけ、ビデオ通話がどんどん減る、相手が最近何で忙しいのか知らない |
| その裏にあるもの | 不安。確かめることで安心を買おうとしてる | 疲れた、忙しい、あるいは少しずつ離れようとしてる |
| 相手の感じ方 | 見張られて息がつまる | 放っておかれて、大事にされてない |
| どう直すか | 生活を埋めて、約束した電話の時間に戻る | 2番に戻って、まず最低限のリズムを決める |
この2つは、同じカップルが交互にやってることがよくある。片方が放っておかれてると感じて、チェックしはじめる。もう片方は見張られてると感じて、逃げはじめる。するとチェックがもっと激しくなる。このくり返しを止めるのに、どっちが勝ったかを決める必要はない。二人で座って、リズムをもう一度話し直せばいい。
遠距離以外の付き合いの悩みは、恋人との関係のトピックページで探して。
セルフチェック:二人のリズムができてるか3問
1. 遠距離でいちばん先に話しておきたいのはどれ?
2. ケンカの途中で、相手から「好きにすれば」と来た。よりいいのは?
3. 今夜は特に不安。いちばんいいのは?
よくある質問
遠距離恋愛で話すことがなくならないためには?
「今日どうだった」は少なめにして、具体的なことを話す。今日会った人、思わず笑った場面、最近ずっと考えてること。一緒に何かするのもいい。同時にドラマを見る、ビデオ通話で料理する、一緒にゲームする。話すことがない夜は無理に話さなくていい。ビデオ通話をつないだまま、それぞれ自分のことをするのも「一緒にいる」になる。
遠距離恋愛で不安なときはどうする?
まずリズムを作る。何曜日に電話するか、次にいつ会うかがわかってると、不安の多くは勝手に小さくなる。残った不安は、まず自分で消化する。友だち、仕事、運動で予定を埋めて、報告、スマホのチェック、ずっとそばにいてと求めることで安心を買わない。不安がもう睡眠や仕事に響いてるなら、カウンセラーに話してみて。
遠距離恋愛は毎日ビデオ通話しないとだめ?
しなくていい。毎日のビデオ通話が心地いいカップルもいれば、負担になる人もいる。時差があるときや仕事が忙しいときは特にそう。回数より、二人ともおおまかなリズムをわかっていて、急に無理なときは先に言うことのほうが大事。
遠距離はどれくらいの頻度で会うのがいい?
距離と予算しだい。電車で数時間の別の街なら、2、3週間に1回はよくある。飛行機で短く行ける距離なら、1、2か月に1回。大陸をまたぐなら、年に2、3回でもかなり頑張ってる。頻度より効くのは、毎回別れる前に次がいつかわかってること。
遠距離恋愛はうまくいく確率が高い?
信頼できるひとつの数字はない。心理学者グレッチェン・ケルマーらは遠距離の人と同じ街の人、合わせて870人を比べた。遠距離のグループのほうが関係の質を高く答えていたけど、追跡の時点では、別れた割合は両グループでほとんど同じだった。コミュニケーション学者のクリスタル・ジャンとジェフリー・ハンコックはカップルにやりとりの日記をつけてもらい、遠距離の人のほうが深い話をしているけど、相手を理想化しすぎやすいことも見つけた。大きな違いになるのは、距離を終わらせる計画があるか、そして二人とも頑張ってるか。