うつ病の人と付き合うときにいちばん大事なのは、先に役割をはっきり分けることです。あなたはパートナーで、治療者になる必要はありません。そばにいること、「病院に行く」をやりやすくする手伝い、相手がいちばん落ちているときに離れないこと。あなたにできるのはこうしたことです。相手が回復するおもな力は、専門の治療と相手自身から来ます。この2つを分けておくと、長くそばにいられますし、半年後に自分まで持たなくなる、ということも避けられます。
うつ病は治療できる病気で、考えすぎ、努力不足、あなたへの愛情不足とは関係ありません。よくある様子は、長く続く気分の落ち込み、もともと好きだったことへの興味がなくなる、睡眠や食欲の変化、一日じゅうだるい、集中できない、自分には価値がないと感じる、重いときには死を考える、といったものです。うつ病かどうかは医師が判断します。この記事は診断のしかたは扱わず、あなたがどうそばにいられるか、どう自分の面倒を見るかだけを書いています。性別には関係ないので、ここからは「相手」と書きます。
まず期待を調整する:そばにいることで何ができるか
途中でくじけてしまう人の多くは、最初に目標を「相手を元気にすること」に置いています。これはあなたにはできないことなので、毎日失敗し続けることになります。もっと現実的な目標は、いちばんつらいときに、相手のそばに誰かがいるようにすることです。
| そばにいるとは | そばにいるとは言えないこと |
|---|---|
| 隣に座って一緒にドラマを見る。何も話さなくていい | 毎日新しい方法で相手を笑わせようとする |
| クリニックを探す手伝いをして、初診に付き添う | 薬を飲むか、医者を替えるかを相手の代わりに決める |
| 相手の話を聞く。言葉が出てこなくてもいい | ひたすらアドバイスし、前向きな話をし続ける |
| デートはいつもどおりして、ハードルだけ下げる | 自分の生活を全部止める |
| 相手がそっけないとき、それが症状かもしれないとわかっている | 自分はまったく傷つかないふりをする |
最後の行は大事です。うつのとき、相手はメッセージを返さない、デートをキャンセルする、親密なことに興味がなくなる、話し方が平坦になる、といったことがあります。その多くは症状で、あなたに向けたものではありません。でも症状だとわかっていても、あなたが悲しんではいけないわけではありません。この2つは同時に成り立ちます。
相手が落ち込んでいるときの話し方
うつの人がいちばんよく聞かされる傷つく言葉は、本気で助けたいと思っている人の口から出ることが多いのです。並べてみます。
| 言わないほうがいい | 言っていい |
|---|---|
| 「もっと気楽に考えなよ」「考えすぎだよ」 | 「本当に疲れてるんだね。ここにいるよ」 |
| 「もっと大変な人はたくさんいるよ」 | 「私の前では無理しなくていいよ」 |
| 「前向きにならなきゃ。外に出れば元気になるって」 | 「下のコンビニまで一緒に飲み物買いに行かない?10分だけ」 |
| 「何かあったら言ってね」 | 「夜、お弁当買っていく。唐揚げと生姜焼き、どっちがいい?」 |
| 「そんなふうだと、もう私のこと好きじゃないの?」 | 今は言わずにおいて、相手の調子が少しよくなってから自分の気持ちを話す |
4行目はもう少し説明します。「何かあったら言ってね」は思いやりのある言葉に聞こえますが、うつの人にとっては、自分から頼むこと自体がとても力を使います。「うん」か「いらない」と答えるだけで済む具体的な選択肢を渡すほうが、開かれた好意よりずっと助けになります。
自分から頼むのはとても力を使います。具体的な選択肢のほうが、「何かあったら言ってね」より役に立ちます。
もうひとつよくある落とし穴が、手を貸しすぎることです。相手の毎日の予定を全部組む、代わりにメッセージを返す、仕事のことを全部片づける。愛情から出たことでも、一方的に引き受けてしまうと、相手はますます自分は役に立たないと感じるかもしれません。先にひと言聞きます。「代わりに片づけてほしい?それとも、そばにいるだけがいい?」これが貢ぐ側にならないのレッスンで練習する切りかえです。相手がただ話したいだけで、解決してほしいわけではないときの受け方は、聞くべきか、解決策を出すべきかにも例があります。
専門の助けを勧める。でも無理強いはしない
- 落ち着いているときに話す。喧嘩の最中や、相手が泣いたばかりのときは避けます。
- レッテルは貼らず、見たことを言う。「この2か月、ずっとよく眠れてないし、何もしたくないってよく言ってるよね。心配してる。」のほうが、「うつ病なんじゃない?」より相手の耳に入ります。
- 最初の一歩を小さくする。家の近くの心療内科や精神科のクリニック、予約できるカウンセリングルームを一緒に探します。日本なら、心療内科や精神科は健康保険で受診できますし、住んでいる自治体にも心の健康の相談窓口があります。初診に付き添ってほしいか、相手に聞いてみます。
- 1回言ったら、しばらく置く。相手が嫌だと言ったら、「わかった。気が変わったら一緒に行くよ」と言えばいいです。そのあとは毎日持ち出さず、何週間かあけてからにします。大人には、受診するかどうかを自分で決める権利があります。下に書くような安全の問題が出てこない限りは。
よくある失敗:受診を付き合いの条件にして、「病院に行かないなら別れる」と迫ること。あなたが本当にもう持ちそうにないなら、自分の限界について正直に話してかまいません。でも、それを治療のプランのように包まないでください。
自分をすり減らさずに、そばにいるには
うつのパートナーのそばにいるのはとても疲れます。それはあなたの愛情が足りないからではありません。心理学者のジェームズ・コインらは、うつ病の人と同居している42人に聞き取りをしました。相手がうつの時期にあるグループでは、4割を超える人が、自分自身もカウンセリングを勧められるほどのストレスを抱えていました。次のようなサインが出てきたら、あなたも手当てを受けるべきときです。
- よく眠れなくなった、一日じゅう相手の様子を心配している。
- 「相手のそばにいなきゃ」と、友だちとの連絡がどんどん減っている。
- 相手によく腹を立て、怒ったあとに強い罪悪感がある。
- この関係を支えているのは自分だけだと感じる。
実際にできることをいくつか挙げます。
- 自分だけのことをひとつ残しておく。決まった運動、友だちとの夕食。相手の今日の調子が悪いからといってキャンセルしません。あなたの生活が回っているから、そばにいる力も出てきます。これは自分の時間と空間のレッスンの話でもあります。
- 唯一の柱にならない。相手の友だち、家族、医師、カウンセラー。みんながこのネットの一部であるべきです。相手に聞いてみてもいいでしょう。「私以外に、今話せると思える人って誰かいる?」
- 限界を口に出す。「すごくそばにいたい。でも今日は本当に疲れた。11時に寝るね。明日のお昼に電話する。」限界を言うのは、明日もちゃんと来られるようにするためで、見捨てることとは関係ありません。境界線の伝え方は、境界線とはにもっと例があります。
- あなたも誰かに相談していい。カウンセリングは病気の人だけのものではありません。支える側が相談に行くのはよくあることです。
自分がなくなるまで尽くすのは、長くは続きませんし、そのほうが愛情が深いわけでもありません。無料レッスン尽くしすぎて自分がなくなるで扱っているのは、このことです。関係がもうかなり偏っていると感じるなら、恋愛で尽くすのが一方通行が状況をはっきり見る助けになります。
時間を言って、次の約束もある。明日のお昼の電話のほうが、今夜3時まで無理して起きているより役に立ちます。
うつは引きこもりの理由にはなるが、人を傷つける言い訳にはならない
この線ははっきりさせておきます。うつは、相手がなぜとても疲れていて、黙りがちで、いろいろなことに気力が出ないのかを説明できます。でも、ののしること、束縛、スマホのチェック、自分を傷つけることであなたの決定を止めようとすることを正当化はしません。
相手が「出ていくなら死ぬ」と言ったら、本当に危険があるものとして対応してください。相手のそばにいて、専門の助けに連絡するか、緊急の番号に電話します。同時に、相手の命の安全は専門の人と一緒に背負うもので、あなたがこの関係に残ることで保証できるものではない、ということも知っておいてください。相手の安全を気にかけることと、自分のために決めることは、ぶつかりません。こうした状況をひとりで抱えるのはとても難しいので、必ず誰かと一緒に向き合ってください。
こんなサインが出たら、まず安全を優先する
- 死にたいと言う、「自分なんかいないほうがみんな楽になる」と言う。
- 身の回りのことを片づけ始める、大事なものを人にあげる。
- 自殺の方法を調べている、道具を用意し始めている。
- 長く落ち込んでいたあと、急に落ち着いて、何かを決めたように見える。
こうしたときは、直接聞いていいです。「自分の命を終わらせたいと思ったことはある?」聞いたらかえってそうしたくさせるのでは、と怖がる人は多いですが、自殺予防の研究も現場の実践も、直接聞いても危険は増えず、むしろ相手が口に出すきっかけになると示しています。イギリスの精神科医サイモン・ウェズリーらが関連する研究を見直したところ、「聞くと死にたい気持ちが強まる」という証拠は見つかりませんでした。聞いたらそばにいて、危ないものを遠ざけ、専門の助けに連絡します。
相談先:日本では、いのちの電話(0570-783-556)や、24時間つながるよりそいホットライン(0120-279-338)に電話できます。命に関わる緊急のときは110番か119番です。
恋人との付き合い方の記事は、恋愛関係のトピックにまとめています。
セルフチェック:そばにいられるか3問
1. 相手が今週ずっと落ち込んでいる。助けになりやすいのはどれ?
2. 相手に病院へ行くよう勧めたい。いいやり方は?
3. 相手が「自分なんかいないほうが、みんな楽になる」と言った。どうする?
よくある質問
うつ病の人と付き合うと、自分も影響を受ける?
受ける可能性があります。落ち込んでいる人のそばに長くいると、支える側も疲れたり、不安になったり、気分が落ちたりしやすくなります。あなたが弱いわけではありません。自分の生活と支えを残しておくように、必要ならカウンセリングも受けるように、という合図です。
うつ病の恋人が急に別れたいと言い出した。本心?
本心のこともあれば、うつのせいで「自分は迷惑をかけるだけ」と感じていることもあります。その場で言い争わず、こう言ってみてください。「聞こえたよ。本当に別れたいの?それとも、自分が負担になってると思ってる?」答えがどうであれ、相手には決める権利があります。あなたも自分の考えを伝えて、お互いに少し時間をとってかまいません。
双極性障害の人と付き合うのは、何が違う?
双極性障害(躁うつ病)には、うつの時期のほかに、気分が異常に高ぶる時期もあり、ほとんど眠らない、大金を使う、衝動的な決定をする、といったことがあります。寄り添い方の原則は似ていて、あなたはそばにいて、治療は医師に任せ、きちんと受診を続けることが大事です。違うのは、相手の状態が安定しているときに、早いサインの見分け方と、それが出たときに2人がそれぞれ何をするかを一緒に話し合っておけることです。
もう持たないから、別れてもいい?
いいです。自分をすり減らす関係から離れても、あなたが悪い人だということにはならないし、愛していなかったということにもなりません。別れると決めたら、できるだけ相手の状態が比較的安定しているときに伝え、相手の周りにほかの支えがあることを確かめておきます。この決定を考え抜くには、別れるべきか迷ったらが参考になります。