土曜の夜、友だちの友だちの誕生日会が居酒屋である。12人が2つのテーブルにぎゅうぎゅうに座っていて、あなたが知っているのは連れてきてくれたユウキだけ。しかも彼は反対側の端に座っている。左では見たことのない韓国ドラマの話、右では会社のうわさ話。あなたはビールを持って20分笑っているけど、まだひと言もまともに話していない。
グループの会話に入るのに、すごい第一声を見つける必要はない。大事なのは順番だ。まずどの輪が開いているか見る。横で聞いてすき間を待つ。今の話題に乗ってひと言言う。それから、あなたと同じように端にいる人も引き込む。この4つのステップは、どれも外向的である必要も、面白い必要もない。
どうやっても輪が開かないのもよくあることで、たいていあなた自身とはあまり関係がない。そのときどうすればいいかは、最後の節で書く。
グループの会話に入る目標:参加している人になる
先に目標を正しく置いておくと、ずっと楽になる。リラックスして自分のままでいればいい。無理にテーブル全体の盛り上げ役になる必要も、全員のご機嫌をとる必要もない。ひとつの集まりで、2、3人と行ったり来たりの会話を少しできたら、それでもう十分いい。
出かける前に、小さな準備を2つしておくといい。
- 「最近何してる?」への答えを1つか2つ考えておく。すごくなくていい。具体的な絵がひとつあればいい。たとえば「最近水泳を習ってて、息継ぎで人生を疑ってる」。聞かれたときに「特に何も」しか出てこない、ということがなくなる。こういう小さいことを話して面白くする方法は、会話を面白くするにはを見てほしい。
- 連れてきてくれる友だちに、みんながどういうつながりか聞いておく。同僚?大学のサークル?それがわかれば、すぐ使える質問がひとつ手に入る。
着いたら緊張するのは普通のこと。心臓がドキドキする、手の置き場がわからない、それは人付き合いに向いていないという意味じゃない。緊張を追い払ってから話す必要はなくて、緊張したまま次の一歩をやればいい。これが無料レッスンの緊張していいと自分に許すで練習することだ(用語集:緊張を許す)。
入り方1:まず輪が開いているか閉じているか見る
人が立って、あるいは座って話しているとき、実は体で、加わっていいかどうかを教えてくれている。
| 入りやすい輪 | 無理に入らないほうがいい輪 |
|---|---|
| 3、4人が半円に立っていて、横に1人分のすき間がある | 2人が向かい合って、すごく近い |
| みんな笑っていて、話題は食べ物や今起きたことなど軽い | 誰かが悩みを打ち明けている、声をひそめている、空気が少し重い |
| ときどき外を見る人がいる、飲み物を取りに立つ人がいる | 全員が話している人を見つめていて、話がちょうど山場 |
| 長いテーブルで、あなたの側でもう話が始まっている | テーブルの半分向こうで、叫ばないと聞こえない輪 |
座っている集まりでも同じだ。長いテーブルで話題がひとつだけということはあまりなくて、たいてい2つか3つのかたまりに分かれる。一番近くて、一番気楽そうなかたまりを選べばいい。テーブル全体に自分の話を聞かせようと思わなくていい。
「今は邪魔していいときか」を判断すること自体がひとつのスキルで、まず注意を向けてもらうのレッスンにたくさんの場面がある。
よくある失敗:2人で恋愛の悩みを話している会話に、そのまま割り込むこと。そもそも3人目が入るのに向いていない瞬間で、2人があなたを歓迎していないわけじゃない。
入り方2:横で聞いて、すき間を待つ
輪を選んだら、すぐに口を開かなくていい。まず横に立つか、椅子を少しそちらに向けて、何の話をしているか聞く。面白いところで笑って、話している人を見てうなずく。そうすれば、みんなにわかる。あなたがここにいて、ちゃんと聞いていることが。
すき間はたいてい自然にできる。
- 話がひとつ終わって、みんなが笑い終えた1、2秒。
- 誰かが特定の相手のいない質問を投げたとき。たとえば「あそこって並ぶ価値あると思う?」。
- 誰かが料理を取る、飲み物を注ぐときに、会話が少しゆるむ。
- 誰かがそのままこっちを向く。
よくある失敗:近づいた瞬間に自己紹介して、話している最中の人をさえぎること。逆向きの失敗は、待ちすぎること。横に3、4分立っていても、すき間もないし、誰もこっちを向かないなら、別の輪に行ってみる。気疲れするまでそこで粘らなくていい。
入り方3:今の話題に乗る。自分の話題に変えない
すき間ができたら、一番乗りやすいひと言は、みんなが今話していることに関係するものだ。今の話題に少し足せばいい。自分が一番詳しい話題に変える必要はない。
使いやすい乗り方を3つ。
- 細かいところを掘り下げて聞く。みんながある焼肉屋の話をしていたら、「それって駅前の、2時間並ぶあの店?」と聞く。
- 自分の小さな経験をひとつ足す。「この前並んだら、途中で大雨になって、列ごとアーケードに逃げ込んだ」。
- 見ていない、わからないなら、そのまま聞く。「それ見てないんだけど、そんなに盛り上がるって、どういう話?」。わからないのは恥ずかしくないし、むしろみんなに説明する理由をあげることになる。人は自分の好きなものを説明するのが大好きだ。
友だちの友だちと話すなら、2人の共通の知り合いが一番いい話題だ。「ユウキとはどういうつながり?」はほぼ毎回話が続くし、みんな共通の友だちの失敗談を話すのが大好きだ。笑える話だけにして、プライベートなことはばらさないこと。
よくある失敗:口を開いた瞬間に話題を自分に引き寄せること、人の言ったことを訂正すること。みんなが映画の話をしているのに「それ、実は小説が原作で、原作のほうが断然いいよ」と言うと、あなたが正しくても、場が冷えやすい。もうひとつの失敗は、自虐を入場券にすること。「自分はつまんないから、続けて続けて」。これを聞いたみんなは、どう返せばいいかわからなくなるだけだ。
入り方4:一番静かな人も引き込む
輪の中で居場所ができたら、周りを見てみよう。たいてい、さっきまでのあなたと同じように、端にいて、口数が少なくて、ずっとスマホを見ている人がひとりいる。誰かの恋人かもしれないし、初めて来た新しい同僚かもしれない。
その人を引き込む。「そっちは?このドラマ見てる?」、あるいは「誰と一緒に来たの?」。
これが一番すすめたいステップで、一番直感に反するステップでもある。自分の居場所を作る一番早い方法は、ほかの誰かの居場所を作ることだ。あなたは受け入れてもらうのを待つ人から、その輪をもっと話しやすくする人に変わる。みんな、たいていそういう人を覚えている。その場の全員に気を配るのは、彼女の友だちに気を配るのレッスンでも練習することだ。あのレッスンは声かけの場面を使っているけど、理屈は同じ。誰も置いてけぼりにされていないから、全員が気楽に、話を続けるかどうかを自分で決められる。
よくある失敗:輪の中で一番にぎやかな人や、一番知り合いたい人にだけ話して、ほかの人に背を向けること。そうすると、すぐにその輪の中で少し居心地の悪い人になってしまう。
横で聞いて、話がひと区切りつくすき間を待つ。
近づいた瞬間に自己紹介して、話している最中の人をさえぎる。
細かいところを掘り下げて聞く、または小さな経験をひとつ足す。
「それ、実は小説が原作で、原作のほうが断然いいよ。」
「そっちは?このドラマ見てる?」と静かな人を引き込む。
一番にぎやかな人にだけ話して、ほかの人に背を向ける。
会話に溶け込めたかどうかは?
何回話したか、みんなを笑わせたかは、あまりあてにならない。もっとあてになるのはこういうことだ。
- 誰かがあなたのさっきの話を掘り下げて聞いてきた。
- 誰かがあなたの名前を呼んだ、話すときにこっちを向いた。
- 輪が自然とあなたのほうに少し開いた。
- お開きのときに誰かが「次も一緒に来なよ」と言った、LINEグループに入れてくれた。
もうひとつ知っておいてほしいこと。あなたはたぶん、自分の出来を低く見積もっている。コーネル大学のエリカ・ブースビーらは2018年、人は知らない人と話したあと、相手は自分をあまり好きじゃなかったと思いがちだけど、相手の実際の好感はその予想より高いことを見つけた。だから帰り道に聞こえる「さっきの自分、気まずかったかな」という声は、あまりあてにならない。
輪が開かない、誰も相手にしてくれないときは?
順番どおりにやっても、話に入れないことはある。これはよくあることで、理由はたいてい平凡だ。久しぶりに会った昔からの友だち同士が思い出話をしている、一晩じゅう内輪ネタばかり、みんな疲れている。これは、その輪のその時点の状態を表しているだけだ。
できることはこう。
- 別の輪に行く。別のかたまりに行く、主役のケーキを切るのを手伝う、冷蔵庫に飲み物を取りに行く。その途中で別の人に会うことはよくある。
- 誰かひとりと1対1で話す。2人の会話は、大人数の会話よりずっと入りやすい。
- 外の空気を吸いに行く。店の前に5分立って、メッセージをいくつか返して、戻ってもう一度試してもいい。
- 連れてきてくれた友だちにひと言言う。「誰も知らないから、1人か2人紹介して」。これは少しも恥ずかしいことじゃない。
おすすめしないのは、むすっとした顔でスマホをいじる、閉じた輪の横に無理にくっついてずっと待つ、家に帰ってから心の中で「やっぱり自分は人付き合いができない」と判決を下すこと。ひとつの集まりで話に入れなかったのは、その夜のことを表しているだけだ。
ひとりで集まりに行くのが特に苦手なら、知り合いがいないパーティーでどうする?に、店に入ってから帰るまでのやり方がひととおりある。集まり以外でゆっくり人と知り合いたいなら、趣味や習い事での出会い方を見てほしい。話しかけ方や出会いのテーマは声かけ・話しかけのトピックにまとめてある。
セルフチェック:輪に入れるか3問で確認
1. 集まりに2つの輪がある。入りやすいのはどっち?
2. みんなが見たことのないドラマの話をしている。どう入るのが一番いい?
3. 輪の中で居場所ができた。横にずっとスマホを見ている人がいる。どうする?
よくある質問
集まりでずっと話に入れないのは、内向的すぎるから?
そうとは限らない。話に入れないのは、場のせいなことが多い。人が多すぎる、音楽が大きすぎる、みんなが何年来の友だち同士。内向的な人は「まず聞いてから乗る」やり方にむしろ向いている。もともと聞くのが得意だからだ。テーブル全体を相手にするより、3、4人の小さな輪から始めるほうがずっと楽だ。内向的な人に向いたやり方は内向的な人の出会い方にもっとある。
友だちの友だちと、気まずくならずに話すには?
2人の共通の知り合いから始めよう。「どういうつながり?」「あいつ、昔からああなの?」。それから、その日の場のこと、たとえば食べ物や店の話をする。仕事や恋愛の話は急がなくていい。まず一緒にいて気楽な人だと思ってもらえれば十分だ。
LINEグループで発言しても、誰も返してくれない。どうする?
グループのメッセージに返事がないのはよくあること。みんな忙しいだけかもしれないし、たまたま流して見ていないのかもしれない。まったく新しい話題を投げるより、誰かがさっき言ったことに反応するほうが、たいてい返してもらいやすい。グループの中の誰かと仲良くなりたいなら、グループで発言するより、個別にひと言ふた言話すほうが効くことが多い。
ずっと聞いているだけで話さないと、変な人だと思われる?
ちゃんと聞いていて、笑って、うなずいている人が変な人だと思われることはめったにない。人を不安にさせるのは、無表情で横に立っていることだ。しばらく聞いたら、掘り下げる質問をひとつして加わればいい。いきなり長々と話す必要はない。