デートが始まって20分。あなたはもう聞きました。仕事は何か、どのへんに住んでいるか、兄弟はいるか、休みの日は何をしているか、好きな食べ物は何か。相手はどの質問にも丁寧に答えてくれます。どれも一言で。あなたの頭は6つ目の質問を探していて、テーブルのラテは2杯とも空になりかけています。
初デートで何を話すかは、そこまで気にしなくて大丈夫です。見るべきなのは、会話に往復があるかどうかです。上の場面が行き詰まっているのは、片方が聞いて片方が答えるだけになって、どんどん面接モードに近づいているからです。質問そのものは悪くありません。役に立つのは、3ステップの小さな流れです。目の前のことに反応する、自分の具体的な話を1つする、本当に知りたい質問を1つ返す。1周するごとに会話が一段深くなって、2人ともお互いを知ってもらえます。
目標も先にはっきりさせておきます。初デートの会話の目標はシンプルで、デートが終わったときに、会う前よりお互いのことを少し多く知っていることです。沈黙しないことや、相手をいちばん多く笑わせることは、その次です。聞くだけで自分の話をしなければ、相手はまた会うかどうか判断できません。話すだけで聞かなければ、相手は観客になった気がします。
出かける前に用意するもの:自分の話を3つ
沈黙が怖くて、出かける前に質問をずらりと用意する人は多いです。でもこれが、デートが面接になるいちばんよくある原因です。手元にリストがあると、全部聞き終えたくなるからです。
役に立つ準備は、細かいところまで話せる自分の話を3つ考えておくことです。
- 最近夢中になっていること。「運動が好き」より、「先月から水泳を習い始めたんだけど、最初のレッスンは息継ぎすらできなくて、隣のおじいさんが3倍速く泳いでた」のほうがずっといい。
- ちょっとした失敗談。失敗談は場の空気をゆるめるし、相手も自分の話をしやすくなります。
- 自分が大事にしていること。なぜ今の仕事をしているのか、最近どんな選択で迷っているのか。会社の飲み会でも話せるくらいの深さで十分です。
この3つには名前があって、個性サンプルと呼んでいます。条件の一覧より、具体的な1人の人が見えるほうが、ずっと知ってもらいやすくなります。どう選んでどう話すかは、個性サンプルのレッスンで練習できます。
準備にはもう1つ落とし穴があります。頭の中の文の主語が、全部相手になっていることです。「相手は何を聞きたがるだろう?」「こんな話、退屈かな?」。主語を自分に戻してみてください。「最近、自分は誰かと何を話したい?」。自分が興味を持っていることは、話すときに熱がこもります。この練習は「主語の入れ替え」と呼んでいて、無料レッスンの主語の入れ替えで毎日1回練習できます。
よくある失敗:話を台本のように覚えて、一字一句そのとおりに話す。あるいは用意した話が全部実績で、学歴、肩書き、行った国の数ばかり。実績はついでに触れるくらいならいいですが、それではあなたがどんな人かは伝わりません。
3ステップの流れ:反応する、話す、返す
ステップ1:目の前のことに反応する
今その場にあるものから拾います。このお店、2人が頼んだもの、相手がどうやって来たか、相手が今言った一言。「ここのシナモンロール、思ってたよりずっと大きい。」「さっき歩いてきたって言ってたけど、家近いの?」。目の前にあるものは2人とも見えているので、いちばん受けやすい話題です。
よくある失敗:相手が今言ったことを飛ばして、用意しておいた次の質問に移る。相手が「昨日10時まで残業だった」と言ったのに、「じゃあ週末は何してるの?」と返す。相手は、聞いていなかったんだなとわかります。
ステップ2:自分の具体的な話を1つする
質問を投げる前に、まず自分のことを少し出します。映像が浮かぶくらい具体的に。相手が10時まで残業だったと言ったら、こう返せます。「10時は無理。前に締め切りに追われたとき、3日連続でコンビニのパスタを会社で食べて、今でも見るだけでつらい。」
このステップで、会話が交換になります。人は相手が先に少し自分の話をすると、自分も少し話したくなります。心理学ではこれを自己開示の返報性と呼びます。心理学者のスーザン・スプレッカーらは、初対面の人を2人1組で話させる実験をしました。交代で自分の話をするペアと、片方がずっと話してもう片方がずっと聞くペアに分けたところ、交代で話したペアのほうが、お互いをより好きになり、より近く感じていました。
よくある失敗:自分の話が相手の話を奪ってしまう。相手が1話すとこちらが10話す。あるいは話が重すぎる。初対面で元恋人にどう傷つけられたか、家族にどう扱われたかを話す。重い話をしてもかまいませんが、もっと親しくなってからにとっておきます。
ステップ3:本当に知りたい質問を1つ返す
聞くなら気持ち、選んだ理由、エピソード。データは控えめにします。「仕事は何?」はデータで、答えたらそこで終わります。「どうしてこの仕事を選んだの?」や「仕事の中でいちばん仕事っぽくないのはどこ?」なら、話せるエピソードがあります。相手が話し終えたら、急いで話題を変えずに、もう一段聞きます。「それで?」「そのとき、どう思った?」
ハーバードのカレン・ファンらはスピードデートの会話の録音を分析して、質問を多くする人、とくに相手の答えにもう一度聞き返す人ほど、相手から「また会いたい」と選ばれやすいことを見つけました。理由はわかりやすくて、もう一段聞くのは、本当に話を聞いている証拠だからです。話題探しの質問を、好奇心から出る質問に変える方法は、好奇心からの質問のレッスンに練習がまとまっています。
よくある失敗:聞き返しが取り調べになる。相手の答えが短い、明らかに話をそらしたがっているなら、方向を変えます。無理に掘りません。
「どうしてこの仕事を選んだの?」
「仕事は何してるの?」
「理想の週末ってどんな感じ?」
「休みの日は何してるの?」
「歩いてきたって言ってたけど、そのへんでおいしい店ある?」
「どのへんに住んでるの?」
3ステップをつなげるとこうなる
3つを一度に言う必要も、この順番を守る必要もありません。相手の一言がすごく受けやすくて、聞き返すだけでいいときもあります。自分の話をしたところで止めて、相手が受けるのを待つときもあります。この流れは、詰まったときに戻ってくる地図です。毎回きっちりなぞる必要はありません。
初デートで何を聞けばいい?その先の返し方つき
いい質問に共通しているのは、答えやすくて、映像が浮かんで、その先に話が続くことです。次の質問はそのまま使えます。大事なのは右の列、聞いたあとにどう続けるかです。
| 聞いていいこと | なぜ続けやすいか | その先はこう続ける |
|---|---|---|
| 「最近、ちょっとうれしかったことある?」 | 軽くて具体的で、考え込まなくていい | 「そのとき何してたの?」と聞いて、自分の話も1つする |
| 「理想の週末ってどんな感じ?」 | 相手の生活のリズムがすぐわかる | 「最後に本当にそんな週末を過ごせたのはいつ?」 |
| 「話し出すと止まらないものってある?」 | 相手の好きなものを話してもらえる | 「どうやってハマったの?」 |
| 「子どものころ、大人になったら何になると思ってた?」 | エピソードがあって、よく笑いになる | 「今とどれくらい違う?」 |
| 「最近行った場所でいちばんよかったのは?」 | 映像が浮かぶし、次のデートにもつながる | 「行ってみたい。そこはどう楽しむのがいい?」 |
| 「このお店、来たことある?」 | 目の前から始められて、負担ゼロ | お互いのよく行く店を教え合う |
ネットで有名な「36の質問」は、もともと心理学者のアーロンが実験室で初対面の2人のために作った、だんだん個人的になっていく練習です。詳しくは36の質問の記事で説明しています。初デートで全部を順番に聞くとアンケートのようになりますし、後半の質問は重すぎます。前半の軽い質問から1〜2問選べば十分です。
話すことがなくなったら?5秒の沈黙は失敗ではありません
友達同士でも沈黙はあります。初デートの沈黙は、実際よりずっと長く感じるものです。場を気まずくするのは、たいてい黙った瞬間に焦って何かを足そうとすることのほうです。
急に話が途切れたら、こうしてみてください。
- まず3秒待つ。飲み物をひと口飲む、まわりを少し見る。沈黙をそのままにしておきます。相手のほうから話し出すことはよくあります。
- 相手がさっき話したことに戻る。「さっきのパン、4回目は成功した?」。前の話題に戻るのはいちばん受けやすい一言で、ちゃんと聞いていた証拠にもなります。
- 目の前のものから1つ拾う。「この曲、聞いたことある。誰が歌ってたっけ。」
- そのまま口に出す。「今、頭が真っ白になった。」正直に言うほうが無理に質問をひねり出すより楽で、たいてい笑いも1つ生まれます。
話題を探しているのが最初から最後まであなただけで、相手の答えはずっと短く、聞き返してこない、何度もスマホを見る。それなら、相手は今日あまり話したい気分ではないか、2人の相性があまりよくないのかもしれません。あなたの話し方が下手とは限りません。そういうときは気持ちよく切り上げれば十分です。相手に気があるかどうかの見方は、彼女は脈あり?や彼はあなたが好き?を参考にしてください。沈黙するととくに緊張するなら、初デートで緊張したらで、まさにこの瞬間を1つの場面に沿って分解しています。
初デートでまだ触れないほうがいい話題
禁止というわけではありません。タイミングがまだ早いか、品定めされていると感じさせやすい話題です。
- なぜ今フリーなのか:どう聞いても、欠点を探しているように聞こえます。
- 収入、貯金、家を買う予定:1人の人を知ろうとしているより、条件を照らし合わせているように見えます。
- 相手の体型や見た目への評価:ほめたいなら、相手が選んだものをほめます。選んでくれたお店、服の雰囲気など。体のことは評価しません。
- 下ネタや性的なほのめかし:初対面でこういう冗談を言うと、ほぼ確実に相手は居心地が悪くなりますし、それしか頭にない人だと受け取られやすくなります。
- 相手を説得したくなる議論:政治や宗教の話をしてもかまいませんが、勝とうとしないこと。意見が違ったら「考え方が違うね」と言って、話題を変えればいいのです。
元恋人の話については、ネットでよく「初デートで元カレ元カノの話は絶対NG」と言われますが、これは半分だけ正しい話です。自分から長々と話さないのは正しいです。でも相手に聞かれたら、短く正直に一言答えれば十分です。「2年付き合って、円満に別れた。」演じる必要も、全部話す必要もありません。
会話がうまくいっているかどうかの見方
会話が弾んでいるかどうかは、あなたがどれだけ話したかより、相手も一緒に力を出しているかで見ます。
- 相手が自分から質問してくる。こちらが聞いていない細かいことまで付け足してくる。
- 答えがだんだん長くなって、「それでさ」「そうそう、しかも」が出てくる。
- 2人で前に出た話に戻って話している。
- 思ったより時間が早く過ぎて、2人ともほとんどスマホを見ない。
- 相手がちょっとした先の話をする。「今度あの店に連れてってよ。」
逆に、ずっとあなたが押していて、相手は短く答えるだけなら、あなたが何か間違えたとは限りません。単に合わないのかもしれません。いい会話には2人が必要です。だからこそ、それはあなた1人の責任ではありません。
それから、騒がしい場所ではそもそも会話が深まりにくいものです。音楽が大きくて、ずっと身を乗り出して話さないといけない店では、どれだけ話し上手でも疲れます。場所選びは初デートはどこに行く?を参考にしてください。会話に好意の温度を少し足したいなら、重くならない口説き方で、軽くて一線を越えないやり方を紹介しています。デートの記事はデートのトピックページにまとめています。
セルフチェック:話の受け方を3問で
1. 相手が「昨日10時まで残業だった」と言った。いちばんいい返しは?
2. 次の質問のうち、いちばん話が続くのは?
3. 話の途中で急に5秒黙ってしまった。どうする?
よくある質問
初デートの前に話題を用意したほうがいい?
自分の話を3つ用意するほうが、質問を10個用意するより役に立ちます。細かいところまで話せるエピソードがあると、相手が受けやすくなります。質問リストは、デートを面接にしてしまいがちです。
初デートで元恋人の話をしていい?
自分から長々とは話さないこと。ただ、聞かれたら短く正直に答えてかまいません。比較や愚痴は避けて、一言二言で済ませ、話題を2人のことに戻します。
相手がずっと静か。私に興味がないのかな?
そうとは限りません。人見知りなだけの人や、初対面でとても緊張している人もいます。全体で見てください。聞き返してくるか、答えがだんだん長くなるか、次の話が出るか。最後までどれもなければ、相性の問題かどうかを考えます。
話しながら次に何を言うかばかり考えてしまう。どうすればいい?
よくあることで、そのせいで相手の話が耳に入らなくなります。意識を相手が今言った一言に戻して、そこからもう一段聞いてみてください。次の一言は、たいていその中にあります。